年末は家計総点検のタイミングです
家計の収入・支出だけでなく、加入している保険の保障内容や投資商品のポートフォリオまで、じっくり点検して家族で情報共有したいところですよね。
そしてその時に忘れちゃならないのが、住宅ローンの金利と返済額の確認です。もちろん変動金利や期間固定金利で返済中の方は、今後の金利動向をさぐる必要があるでしょう。
しかし今回はその話ではありません
何かというと、住宅ローン契約の中には市場金利の変動とは別に、一定期間が経過すると金利が上昇するタイプのものがあるのです。
契約当初には了解していたはずでも、何年も返済している間に途中の金利上昇を忘れてしまうことも考えられます。
あなたの住宅ローンは、次のようなものではないですか? 今一度確認してみましょう。
フラット35S
住宅金融支援機構が提供する全期間固定金利の住宅ローンであるフラット35には、条件を満たした優良な住宅を取得する人限定の、フラット35Sというコースがあります。
このフラット35Sでは、住宅の質に応じて以下の2種類のお得プランが適用されます。
金利Aプラン
当初10年間の適用金利が0.3%引き下げ
金利Bプラン
当初5年間の適用金利が0.3%引き下げ
良質な住宅に居住でき、5年間または10年間もの長期間、0.3%も金利が引き下げられるのですから、とてもうれしい制度ですよね。
ただ反対に言えば、借入当初から5年後または10年後に金利が0.3%上昇するのです。
もし4,000万を借り入れていた場合、この金利上昇(引き下げ終了)により月々の返済額は約4,000円上昇することになります。それが青天の霹靂にならないよう、しっかりと予測しておきたいですね。
当初金利大幅引き下げ型住宅ローン
青天の霹靂というと、フラット35よりもこちらの方がそう感じてしまう可能性が高いと思われます。
それが、期間固定金利型(固定金利特約型)の住宅ローン商品でたびたび見かける、当初の金利を大幅に引き下げるプランです。
住宅ローン金利は…
毎月見直される店頭金利(これ今でも2.0%よりも遥かに高いんですよね…!)から優遇幅をマイナスすることによって、契約金利として決定されます。
このマイナスされる優遇幅が返済期間中一定のものと、当初数年間だけ優遇幅が大きく(適用金利が低く)なっているものがあるんですね。
ここ数年間の目玉商品
ここ数年間、金融機関が目玉商品として鎬を削ってきたのが固定期間10年または5年の住宅ローンでした。
そして金融機関の中には、金利の低さを際立たせるために、その当初の10年または5年間だけ優遇幅を大きくして、その後の優遇幅は低めに設定した商品を販売しているところもあります。
期間固定金利ですから、その10年または5年経過後には変動金利にするか再度の期間固定にするか選択できるのですが、どちらにせよ優遇幅は小さくなるので大幅な適用金利アップが予測されます。
契約プランによっては毎月の返済額が1万円以上上昇することも考えられるので、低金利が続く現在ですから、場合によっては借り換えてしまった方が良いかもしれませんね。
住宅ローン控除
最後にご紹介するのは、金利の上昇ではありませんが、近年住宅ローンを契約した人のほとんどに関係がある住宅等借入金特別控除、いわゆる住宅ローン控除のお話です。
住宅ローンの年末残高の1%が所得税から(不足すれば住民税からも)還付されるこの制度は、期間が10年(平成19年~20年に居住した人は15年の場合もある)と決まっています。
この期間が過ぎてしまうと、毎月の返済額が増えるということはないですが、年末調整か確定申告の時にドカンと還付されていたお金がもう手に入らなくなってしまいます。
この還付金を第二のボーナスとして当てにしている人も多いのではないでしょうか?
契約を確認して固定支出増加を予測し、早期の対策を!
住宅ローンは一生を左右する契約ですから、契約時に熟考したのは間違いないはずですよね。
ですから今になって、過去の決断のことをとやかく言っても仕方ありません。重要なのは、支出増が予定されているなら、そのために適切な対策をとることです。
家計の見直しや住宅ローン借り換え、必要なら保険解約や株式・投資信託の売却も視野に入れて、破綻しないように対策を練りましょう。(執筆者:徳田 仁美)