

家を買ったり売ったりすると、名義を移す登記が必要になります。専門家に頼むのが一般的ですが、法律上は当事者が自分で法務局へ申請できます。できるかどうかを分けるのは知識よりも、相手方から受け取る書類がそろうかどうかです。自分で出せる場面と、そうでない場面を確認します。
売買で名義を移すのは「所有権移転登記」
不動産の売買で名義を移す手続きは、所有権移転登記といいます。申請の方法は不動産登記法18条が定めており、インターネットを通じて申請する方法と、申請情報を書いた書面を提出する方法の2つです。法務局は所有権移転登記申請書(売買)の様式と記載例を公開しているので、書面を自分で作ることは可能です。
書面で申請する場合も、電子証明書がない人向けに、パソコンに申請用総合ソフトを入れて申請書を作成し、申請データを管轄の登記所へ事前に送信したうえで、印刷した申請書を提出する「QRコード(二次元バーコード)付き書面申請」が用意されています。窓口で一から書類を作る形だけではありません。
原則は共同申請。相手の書類がそろってはじめて出せる
自分で申請するときにつまずくのは、書類の入手です。権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者と登記義務者が共同して行うと定められています(不動産登記法60条)。売買なら、買主と売主がそろって申請する形です。
申請には、登記の原因を証明する情報を添える必要があります(同法61条)。共同で申請するときは、売主側の登記識別情報(または登記済証)も併せて提供します(同法22条)。これを提供できないときは、本人確認情報の提供など一定の例外を除き、登記官が売主へ通知します。期間内に売主から申し出がない限り、登記はされません(同法23条)。売主の協力が前提になるということです。

住宅ローンを使うと、当事者が自分たちだけではなくなる
住宅ローンを組んで買う場合、所有権移転登記と同時に抵当権の設定登記が入ります。これも権利に関する登記なので、金融機関と所有者の共同申請になります。つまり、登記をいつどう出すかは自分だけでは決められません。融資の実行と登記の申請が同じ日に重なるため、進め方は金融機関と相談することになります。
一方、結婚や引っ越しで登記名義人の氏名や住所が変わったときの変更登記は、名義人が単独で申請できます(同法64条1項)。なお、令和8年(2026年)4月1日から、所有権の登記名義人は住所や氏名・名称の変更日から2年以内に変更登記を申請しなければならない扱いになっています。義務化前に住所や氏名・名称の変更があり、まだ変更登記をしていない場合は、令和10年(2028年)3月31日までに申請が必要です。法務局は必要書類と入手先をまとめた資料も公開しているので、こちらは自分で進めやすい部類です。
まず、相手と足並みがそろうかを確かめる
自分で登記を申請できるかは、書き方を覚えられるかではなく、相手が同じ日程で動いてくれるかで決まります。売主と直接やり取りできて日程にも余裕があるなら、様式と記載例を見ながら進める価値はあります。金融機関が関わるときや期日が動かせないときは、無理に自分で抱えず専門家に任せるほうが安全です。
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