

離婚届の用紙を前にして、手が止まる人がいます。未成年の子どもがいる場合、親権者を決めるか、親権者の指定を求める家庭裁判所への申立てをしてからでないと、役所が受け取れない決まりになっているからです。2026年4月1日からは、父母の双方を親権者にする選び方も加わりました。何をどの順で決めるのか、ひとつずつ確かめていきませんか。
用紙をもらって半年、切り出せなかった40代の夫婦
「気持ちはとっくに固まっているのに、離婚届が出せないんです。」小学生の子どもがふたりいる40代の会社員は、そう打ち明けます。用紙は半年前に役所でもらいました。ところが子どもをどちらが育てるのかで話が止まり、そこから先へ進めないまま時間だけが過ぎたといいます。
協議離婚は、夫婦の合意を前提に、届出が受理されて効力が生じます。民法763条は「夫婦は、その協議で、離婚をすることができる」と定めていて、理由を説明する必要も、誰かの許可を得る必要もありません。届出の用紙には、当事者ふたりに加えて成年の証人ふたり以上の署名が要ります。
未成年の子がいるなら、届出より先に親権者の定めか申立て
止まっていたのは、この夫婦の性格の問題ではありませんでした。民法765条は、夫婦の間に成年に達しない子がいる場合、親権者の定めがされているか、親権者の指定を求める家事審判か家事調停の申立てがされているか、そのどちらかを確かめた後でなければ届出を受理できないと定めています。つまり、決まっていなくても「家庭裁判所に申し立てた」段階で受理の道は開きます。
そして2026年4月1日からは、選べる形が増えました。民法819条は、協議上の離婚をするときは協議で「その双方又は一方」を親権者と定めると改められています。父母の双方を親権者とすることもできる、ということです。

あわせて民法766条は、子どもの監護をする人、監護の分掌(子育ての分担)、父または母と子との交流、監護に要する費用の分担を協議で定めるとしています。この場面では「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」と条文に書かれています。
話し合いがまとまらないときは家庭裁判所へ
協議が調わないとき、または協議ができないときは、父または母の請求によって、家庭裁判所が協議に代わる審判をします。離婚そのものを争う場合も、いきなり訴えを起こすわけではありません。家事事件手続法257条が調停前置主義を定めており、訴えを提起しようとする人は、まず家庭裁判所に家事調停を申し立てることになります。
裁判で離婚が認められるのは、民法770条が挙げる場合に限られます。不貞な行為、悪意の遺棄、生死が3年以上明らかでないこと、その他婚姻を継続し難い重大な事由の4つです。
決める順番が見えれば、動き出せる
止まっている理由が「気持ちの問題」ではなく「決めていない項目がある」ことだと分かれば、次の一歩は具体的になります。未成年の子どもがいるなら、まず親権者について話し合います。決まらないなら家庭裁判所への申立てという道があり、それ自体が届出を前に進めます。用紙を眺めて悩む前に、決めるべき項目を紙に書き出すところから始めてみませんか。
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