今、年金改革関連法案の中で、基礎年金の底上げをどうするかが話題になっています。基礎年金とは日本の公的年金制度の中の「国民年金」のことで、20歳以上60歳未満で日本に居住するすべての方が加入しなければならない年金制度のことです。
また、日本の公的年金制度には、もうひとつ会社員や公務員などが加入する「厚生年金保険」があります。
厚生年金保険の被保険者は、70歳未満の厚生年金保険の適用事業所に常用的に使用される方や、一定の条件を満たしたパートやアルバイトなどの短時間労働者の方です。日本の公的年金制度は2階建てとなっており、1階部分が「国民年金」、2階部分が「厚生年金保険」です。
すなわち、厚生年金保険の被保険者は国民年金の被保険者でもあるため、将来国民年金の給付と厚生年金保険の給付との両方を受給できる可能性があるのです。国民年金も厚生年金保険も被保険者は、それぞれ保険料を支払わなければなりませんが、被保険者の種類などにより自ら支払う保険料が異なります。
今回は、国民年金保険料と厚生年金保険料の違いについて分かりやすく解説していきます。
国民年金保険料
国民年金には、第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者の3種類の被保険者区分があり、以下のように国民年金保険料の納付方法がそれぞれ異なります。
第1号被保険者
20歳以上60歳未満の国民年金の被保険者の中で、自営業者、フリーランス、学生などで第2号被保険者、第3号被保険者以外の方が第1号被保険者です。第1号被保険者の方は、自ら納付書による納付や口座振替により国民年金保険料を支払わなければなりません。
令和7年度（令和7年4月～令和8年3月）の国民年金保険料は、月額1万7,510円です。
第2号被保険者
国民年金の被保険者の中で、会社員や公務員などの厚生年金保険の被保険者の方が、第2号被保険者です。厚生年金の被保険者は、毎月の給与や賞与時に厚生年金保険料を支払います。第2号被保険者の国民年金保険料は、勤務先の加入する厚生年金保険からまとめて「基礎年金拠出金」として支払われるため、第2号被保険者は自ら国民年金保険料を支払う必要はありません。
第3号被保険者
国民年金の被保険者の中で、第2号被保険者に扶養されている配偶者の方が第3号被保険者です。第3号被保険者の方の国民年金保険料は、第2号被保険者の勤務先の加入する厚生年金保険からまとめて「基礎年金拠出金」として支払われます。
そのため、第3号被保険者は、自ら国民年金保険料を支払う必要はありません。
厚生年金保険料
厚生年金保険料は、厚生年金の被保険者が毎月の給与時と賞与時に原則天引きで支払わなければなりません。厚生年金保険料は、被保険者の方ごとの毎月の給与額（標準報酬月額）や賞与額（標準賞与額）によってそれぞれ保険料額が異なります。
厚生年金保険料は、保険料の半分を使用者が負担して、残りの半分を被保険者が負担します。厚生年金保険の給付である老齢厚生年金は、納付した保険料に応じて受給額が異なるため、収入が高く長い期間保険料を納付した人ほど多く受給できる仕組みです。
加入していた年金の種類により将来の年金額が異なる
このように、国民年金と厚生年金保険は、加入対象者や保険料などが異なります。国民年金だけ加入していた方と、国民年金と厚生年金保険の両方に加入していた方とでは、将来受給できる年金額も違ってきますので注意が必要です。
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