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元がとれるまでの期間に影響を与える、ねんきん定期便に記載がない保険料と年金


ねんきん定期便には、従業員が納めた厚生年金保険料が記載されますが、事業主の負担分は記載されていません。このため、受給する年金額が実際より多く見えがちです。2025年4月からようやくこの点の説明が追加されますが、大きな改善とは言えません。また、国民年金保険料の一部も記載がなく、受給額や年金制度を正しく理解するための情報が不十分です。支払った保険料に対する年金の受給期間、「元がとれる」までの期間は16年ほどと計算されますが、これは個々の年金制度や家族構成によっても左右されます。例えば、第3号被保険者である配偶者がいると受給額が変わり、元がとれる期間も変わります。しかし、ねんきん定期便が詳細を提供していないため正確な判断が難しい状況です。これにより、公正な情報提供と透明性が求められる声が高まっています。

元がとれるまでの期間に影響を与える、ねんきん定期便に記載がない保険料と年金

所定の加入要件を満たすと、70歳まで加入する厚生年金保険の保険料は、従業員と事業主が半分ずつ納付します。

ねんきん定期便(2009年4月から毎年誕生月に送付)には、従業員が納付した分だけが記載されてきたので、納付した保険料と比較した時の年金額が多く見えるのです。

これに対する批判が高まったので、2025年4月からは「厚生年金保険料は、被保険者と事業主が折半して負担することとされています」という説明が、ねんきん定期便に追加されました。

ただ説明が追加されただけなので、従来と同じように事業主が納付した厚生年金保険の保険料は記載されていません。また元がとれるまでの期間に影響を与える、次のような保険料や年金についても、ねんきん定期便に記載がないのです。

国民年金の保険料は種別によって納付方法が違う

国民年金の被保険者(加入者)の種別は、職種などによって次のような3種類に分かれます。

【第1号被保険者】

日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満のうち、自営業者、農業者、20歳以上の学生、無職の方などが第1号に該当します。この第1号だけは第2号や第3号と違って、2025年度額で月1万7,510円となる国民年金の保険料を各自が納付するのです。

【第2号被保険者】

厚生年金保険に加入する会社員や公務員などは、20歳未満や60歳以上も含めて第2号に該当します。ただ公的年金の保険料を納付した期間などが原則10年以上あるため、老齢基礎年金を65歳から受給できる方は、65歳以降に厚生年金保険に加入しても第2号になりません。

【第3号被保険者】

年収130万円未満などの要件を満したうえで、所定の届出を行った第2号の配偶者は、20歳以上60歳未満の間は第3号に該当します。

満額の老齢基礎年金と老齢厚生年金の目安

月給から控除される厚生年金保険の保険料は、次のように月給が多くなるほど金額が増える仕組みのため、第3号に該当する配偶者の有無は保険料の金額に影響しません。

  • 月給10万円:月8,967円

  • 月給20万円:月1万8,300円

  • 月給30万円:月2万7,450円

また従業員と事業主が納付した厚生年金保険の保険料の一部は、第2号と第3号が納付する国民年金の保険料に変わります。実際にどのくらいの金額が変わったのかは、ねんきん定期便を見てもわからないので、第2号と第3号の国民年金の保険料は、ねんきん定期便に記載がない保険料のひとつです。

ただ記載がなくても変わっているので、20歳から60歳までの40年(480月)に渡って厚生年金保険の保険料を納付した場合、65歳になると国民年金から満額の老齢基礎年金が支給されます。

また2025年度に支給される満額の老齢基礎年金は、生年月日によって次のような金額になります。

【1956年4月2日以降生まれの方】

83万1,700円(月あたり約6万9,308円)

【1956年4月1日以前生まれの方】

82万9,300円(月あたり約6万9,108円)

老齢基礎年金を65歳から受給できる方のうち、厚生年金保険の加入期間が1月以上ある方は、厚生年金保険から支給される老齢厚生年金を65歳から受給できます。

この老齢厚生年金は勤務先から受け取った給与(月給、賞与)の平均額と、厚生年金保険に加入した月数で金額が決まるのです。例えば20歳から60歳までの40年(480月)に渡って厚生年金保険に加入し、その間の月給が30万円で賞与はなかった場合、老齢厚生年金の目安は次のようになります。

・30万円×5.481/1,000×480月=78万9,264円(月あたり約6万5,772円)

月給が30万円だった時の元がとれるまでの期間

月給が30万円だった時の厚生年金保険の保険料は、月2万7,450円になるため、40年(480月)納付した時の合計は次のような金額になります。

・2万7,450円×480月=1,317万6,000円

また月給が30万円だった時は、老齢基礎年金(83万1,700円)と老齢厚生年金(78万9,264円)の合計である、162万964円を受給できる可能性があります。そのため次のような計算により、65歳から受給を初めて約8年で元がとれるとわかります。

・1,317万6,000円÷162万964円=8.128…

ただ事業主が納付した厚生年金保険の保険料を含めると、次のように保険料は2倍になるため、元がとれるまでに約16年もかかるのです。

・2,635万2,000円(1,317万6,000円×2)÷162万964円=16.256…

男性は平均寿命くらいまで生きないと元がとれないうえに、これより月給が増えると元がとれるまでの期間が更に長くなるので、厚生年金保険は損と主張する方がいるのです。

こういった主張の方は、厚生年金保険の保険料の一部は第2号と第3号の国民年金の保険料に変わるため、二人分の老齢基礎年金を受給できる点を考慮していない可能性があります。また第3号に該当する配偶者がいる方は次のように、第3号だった期間を元にして算出した配偶者の老齢基礎年金も含めて、何年で元がとれるのかを計算した方が良いのです。

・2,635万2,000円÷245万2,664円(自分の老齢基礎年金と老齢厚生年金:162万964円+配偶者の老齢基礎年金:83万1,700円)=10.744…

試算だと約10年で元がとれますが、配偶者の老齢基礎年金は満額と仮定した場合の計算結果なので、実際はもう少し期間がかかると思います。

ねんきん定期便に記載がない加給年金

厚生年金保険の加入期間が原則20年以上ある方が65歳に到達した時に、その方に生計を維持されている次のような親族がいる場合、老齢厚生年金に加給年金が加算されます。

(1)65歳未満の配偶者

厚生年金保険の加入期間が原則20年以上ある配偶者が、65歳になる前に老齢厚生年金を受給する権利を得た時は、その時点から加給年金は支給停止になるのです。ただ60歳から65歳の間に支給される特別支給の老齢厚生年金は、段階的に支給開始年齢が引き上げされ、次のような方から受給できなくなるので、支給停止は減少する見込みです。

  • 1961年4月2日以降生まれの会社員の男性、公務員(私立学校教職員)の男性と女性

  • 1966年4月2日以降生まれの会社員の女性

(2)18歳到達年度の末日までの間の子

1級または2級の障害状態にある子は、20歳になるまで加算の対象になります。前者の配偶者を対象にした2025年度の加給年金は、老齢厚生年金の受給者の生年月日によって、27万4,700円~41万5,900円(月あたり約2万2,891円~3万4,658円)になります。

ねんきん定期便には加給年金の記載がないのですが、受給資格のある方が手続きすると、例えば配偶者が65歳になるまで加算されるため、受給資格の有無を調べた方が良いのです。また第3号ではない配偶者も加給年金の対象になるため、共働きの夫婦は加給年金の受給によって、元がとれるまでの期間が短くなる可能性があります。

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