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所得税の確定申告は、人によって申告手続きが必要になるかどうかは異なります。
申告義務がある人が手続きをしない場合、ペナルティの対象となるので注意が必要です。
今回は、会社員・アルバイト・パートの方が、所得税の確定申告が必要になるケースとならないケースについて解説します。
給与収入が103万円以内のみ人は申告不要(令和6年分以前)
所得税の確定申告は、年間の所得に対する納税額を計算するために行う手続きです。
各種の所得(給与所得や公的年金等の雑所得など)の合計額から、所得控除を差し引いて課税所得金額を計算し、算出された課税所得金額に所得税の税率を乗じて所得税額を求めます。
給与所得には給与所得控除額があり、最低でも給与収入から給与所得控除として55万円を差し引くことができます。
また、所得控除には基礎控除額として48万円がありますので、年収が103万円以下であれば課税所得金額はゼロとなるので、所得税の納税額は算出されません。
48万円-48万円(基礎控除額)=0円(課税所得金額)
⇒課税所得金額が0円なので、所得税の納税額は0円となる。
令和7年1月時点において「103万円の壁」を移動させるか否かが話題になっていますが、令和6年分以前の所得税では壁は103万円のままですので、アルバイトやパートなど、給与による年収が103万円以内であれば所得税の確定申告手続きは不要です。
年末調整済みの人は原則申告不要
年末調整は、勤務先で税金の過不足を精算する手続きをいい、年末調整が完了している人は所得税の精算が済んでいますので、原則確定申告をする必要がありません。
ただし、医療費控除や住宅ローン控除(初年度)は、年末調整で適用できない所得控除・税額控除ですので、それらの控除を適用して税金の還付を受けるためには確定申告手続きが必要です。
還付申告は納税申告と違い任意申告ですので、確定申告書を提出しなくてもペナルティの対象にはならないため、還付金の額が少ないときは、あえて還付申告を行わないのも選択肢の一つです。
給与所得者が確定申告をしなければならないケース
次の給与所得者に該当する方のうち、次のいずれかに当てはまる人は確定申告をしなければなりません。
<確定申告が必要になる主な給与所得者>
(1) | 1か所の勤務先から給与を得ている人で、給与所得および退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人 |
(2) | 2か所以上の勤務先から給与(すべてが源泉徴収の対象)を得ている人のうち、年末調整をされなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)との合計額が20万円を超える人(例外あり) |
(3) | 給与等の支払いを源泉徴収義務のない者から受けている人 |
(4) | 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人 |
年末調整をしていない場合、確定申告で所得税の精算を行うことになりますが、確定申告書を提出することで税金が還付される場合があります。
還付申告は任意なので、申告義務はありません。
年末調整済みの人でも、一時所得など、給与所得および退職所得以外の合計額が20万円を超える場合は確定申告が必要です。
上記の(2) に該当する人で、給与所得の収入金額の合計額から、所得控除の合計額(雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除を除く)を差し引いた額が150万円以下で、かつ、各種の所得金額(給与所得と退職所得を除く)の合計額が20万円以下のときは申告不要です。
複数の勤務先から給与を得ている人は原則確定申告が必要になりますが、例外的に申告不要となるケースもあるので、ご自身の収入状況を確認して申告が必要になるかを判断してください。