Wワーク等の多様な働き方が増えてきており、もちろん、一定の制限はあるものの兼業副業を容認する企業も徐々に増えてきています。
副業兼業時に問題となる雇用保険等の公的保険についてはどのようになるのかは、後回しにされがちですが、後々自身の生活に響いてくる重要な論点です。今回はWワーカーの公的保険関係について解説します。
前提
法律上、常時雇用する労働者が10人以上の企業には就業規則が備え付けてあり、ほとんどの企業では当該就業規則内に副業兼業に関する条文が設けられています。
例として、副業兼業全面禁止のケースや許可制等、内容は様々です。
許可制の場合、競合他社と自社での労務提供に支障をきたす業種(例えば労働時間が深夜)については許可しないといった制限が考えられます。また、副業と言っても雇用契約の元に労務提供をするのか、業務委託契約であるかも論点となります。尚、雇用契約の元に労務提供をする場合は後述する保険関係も理解しておく必要があります。
雇用保険
加入要件としては31日以上かつ、週20時間以上の労働契約を締結する場合に被保険者となります。
ただし、64歳以下の場合は同時に2か所以上の事業所で雇用保険被保険者となることはできません。よって、64歳以下のWワーカーの場合は、理論上2か所の勤務先でそれぞれ31日以上かつ、週20時間以上の労働契約を締結したとしても主たる賃金を受ける職場でのみ雇用保険に加入することとなります。
尚、65歳以上の場合、複数の事業所で勤務する65歳以上の方が2つの事業所での勤務を合計して要件を満たす場合に、本人からハローワークに申出を行うことによって、申出を行った日から特例的に雇用保険の被保険者となることができる制度としてマルチジョブホルダー制度があります。
労災保険
労働基準法上の労働者である限り労災保険は労働時間数に関わらず対象となります。もちろんパートやアルバイト等の呼称は問われません。注意点は実際に労災事故が起きた場合、どちらの事業所の労働保険番号を用いて申請をするかは論点となります。また、業務中は業務災害として扱われ、通勤途上では通勤災害として扱われ、申請用紙も異なる点が注意点として挙げられます。
社会保険
社会保険については雇用保険とは考え方が異なり、年齢に関わらず同時に2か所以上で報酬が発生しており、社会保険加入要件を満たしているのであれば、双方で加入義務が生じます。
例えば本業先では週に30時間のパートとして働きつつ、もう一方の事業所では役員として報酬を得ている場合は、双方で社会保険に加入するという理解です。この場合、保険証は2枚存在するのかという話になりますが、端的には主たる事業所を選択し、選択していない事業所の保険証は返納することとなります。
また、保険料については両事業所の報酬を合算した後に按分計算されますので、通常の社会保険料とは異なる点も留意点となります。特に給与計算ソフト等で保険料が自動計算されている場合、通常の保険料率を基に設定された標準報酬月額から紐づいた保険料とは異なるために、2か所以上で社会保険への加入が決定した際には保険料額も変更となる点を頭に入れておく必要があります。
制度を理解しながら検討していきましょう
Wワーカーの公的保険はそれぞれの保険制度によって考え方が異なり、制度ごとに分けて考える必要があります。また、雇用契約とは異なる業務委託契約の場合は、これらの公的保険の保護がないため、その点も踏まえて検討する必要があります。特に働き方改革以降、副業兼業は社会的にも広まりつつあるものの、労働時間の考え方や公的保険関係の仕組みが抜け落ちがちであることが少なくないため、制度の理解をしながら検討していくことが有用です。
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