健康志向の高まりや宅配サービスの増加で、街中で自転車を見かけることが多くなりました。
その一方で、自転車関連事故の件数は全交通事故に占める割合の2割以上で、増加傾向です。
道路交通法が改正され、自転車の違反行為に対する罰則が強化されます。
2024年11月より自転車による違反の罰則が強化
≪画像元:ソフトバンク≫
現行の道路交通法でも、自転車の2人乗り運転や並進走行、傘さし運転やイヤホン等使用運転に対しては、罰金や科料が科されます。
2024年11月1日より施行される改正道路交通法では、自転車の運転中に危険な行為を行った際の罰則が強化されます。
改正道交法の自転車に関する主なポイントは、「ながらスマホ」と「酒気帯び運転」です。
「ながらスマホ」で最高1年以下の懲役又は30万円以下の罰金
≪画像元:政府広報オンライン≫
まずは、自転車運転中にスマートフォン等を使用する「ながらスマホ」です。
・ 自転車運転中にスマホで通話する(ハンズフリー装置を併用する場合等を除く)
・ 自転車運転中にスマホに表示された画面を注視する
が禁止行為で、現在は違反すると10月までは5万円以下の罰金です。
11月からはこの罰則が強化され、6か月以下の懲役又は10万円以下の罰金に、ながらスマホ中に事故を起こすなど危険を生じさせると、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金が科されます。
スマホスタンドで固定し地図アプリを注視して運転していても、違反です。
「注視」の基準が分かりにくいですが、おおむね2秒以上といったところでしょうか。
「自転車の酒気帯び運転」が新たに罰則の対象に
≪画像元:政府広報オンライン≫
現在の道路交通法では、酩酊状態で運転する「酒酔い運転」(5年以下の懲役又は100万円以下の罰金)のみが処罰の対象でした。
11月からは、酒酔い運転よりも軽微な「酒気帯び運転」(血液1mLにつき0.3mg以上又は呼気1Lにつき0.15mg以上のアルコールを身体に保有する状態で運転すること)も罰則の対象となります。
実際に自転車を運転する人だけでなく、酒類を提供した人、自転車を提供した人、自転車で送るよう依頼した人も、「酒気帯び運転のほう助」で以下のように罰せられます。
・ 酒気帯び運転の本人:3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
・ 自転車を提供した:自転車の提供者に3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
・ 酒類を提供した:酒類の提供者に2年以下の懲役又は30万円以下の罰金
・ 自転車で自分を送るよう依頼して同乗した:同乗者に2年以下の懲役又は30万円以下の罰金
「飲んだら乗るな、乗るなら飲むな」ですね。
罰金・反則金・科料の違いは?
罰金以外にも、似たような性質のものに科料と反則金があります。
これら3つの言葉、違いがよく分かりませんね。
ここでは、これら3つの違いを分かりやすく解説しましょう。
【罰金】重大な違反に対する前科付きの刑事罰
≪画像元:カープレミア≫
罰金は刑事罰の1つで、最低金額が1万円以上と定められています(軽減の場合あり)。
罰金の上限金額は、個々の犯罪によって定められています。
重大な交通違反を起こした場合は、道路交通法違反事件迅速処理のための共用書式(赤切符)が切られ、裁判が行われ刑事罰を受ける流れです。
罰金刑は前科に含まれます。
【科料】軽微な違反に対する前科付きの刑事罰
科料も罰金と同様に刑事罰ですが、1,000円以上1万円未満の金銭納付を命じられます。
科料も刑事罰の一種ですので、前科が付きます。
【反則金】前科が付かない行政罰
≪画像元:モーターファン≫
反則金は刑事罰ではなく行政罰です。
比較的軽微な交通違反である反則行為に課されるのが反則金です。
反則金の金額は、違反の種類によって定められています。
交通反則告知書(青切符)が切られ、反則金を納付すれば刑事処分を逃れられ前科が付きません。
罰金・科料・反則金の納付方法は?
青切符を切られると、金融機関で反則金を納付するための「納付書・領収証書」も渡されます。
コンビニでは納付できず、指定の銀行や郵便局での納付となります。
ただし平日のみの対応で、土日祝日には納付できません。
罰金・科料の場合は、検察庁が指定する金融機関に納付するか、検察庁に直接納付します。
原則として一括払いで、分割払いはできません。
キャッシュレス納付の拡大に期待
≪画像元:山口県≫
一部の県では、駐車違反の放置違反金(反則金)をキャッシュレス決済で納付できる取り組みが始まっています。
山口県では、LINE Pay、PayB、PayPayの請求書支払いや、コンビニでの納付が可能です。
酒気帯び運転やながらスマホではキャッシュレス納付ができないようですが、今後の拡大に期待したいところです。
科料・罰金を納付できない(しない)と「労役場」行き
反則金はあくまでも任意ですが、科料・罰金には強制力があります。
支払えない場合には、労役場留置となります。
刑務所や拘置所の中に併設されている労役場で、懲役刑の受刑者と同じように所定の作業を行います。
1日の作業を5,000円相当と換算するのが一般的で、金額に応じた日数分労働しなければなりません。
科料は最長30日、罰金は最長2年です。
「回避」も可能
反則行為に納得いかない場合、反則金を納付せずに裁判で反則行為の有無を明らかにすることも可能です。
その場合は検察官の取り調べを受け、検察官が起訴すれば刑事裁判へと移行します。
裁判で反則行為が認定されなければ取り消されますが、認定されれば刑事罰を受けることになります。
被害者がいる場合は、罰金や科料の付く行為であっても示談によって不起訴処分を勝ち取り、前科を回避することも可能です。
自転車の交通違反にも青切符が導入へ
≪画像元:徳島県警察公式インスタグラム≫
自転車による交通違反は、これまで「警告カード」(罰則なし)か赤切符でした。
今後は、自転車の交通違反にも青切符が導入されます。
青切符による取り締りは16歳以上が対象で、113種類の違反行為が適用範囲です。
一部の警察では、自転車の取り締まり専門部隊が編成されました。
気軽に乗れる一方、重大事故に発展する可能性のある乗り物ですので、ちゃんと運転したいですね。
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