遺族年金には、国民年金の給付である遺族基礎年金と厚生年金保険の給付である遺族厚生年金があります。
遺族年金とは、国民年金や厚生年金保険の被保険者や被保険者だった方が亡くなった場合に、条件を満たした一定の遺族が受給できる年金です。
最近、この遺族年金が、廃止されるのではという噂が広まっています。
これは、2024年7月に厚生労働省が、子どものいない現役世代の方の遺族厚生年金の受給期間を男女ともに5年間の有期年金とする案を審議会に示したことから広がったのです。
今回は、この遺族厚生年金の見直しについて、詳しく解説していきます。
遺族厚生年金の受給要件
遺族厚生年金は、以下のいずれかの要件を満たした方が亡くなった場合に、一定の遺族が受給できます。
・ 厚生年金保険の被保険者である間に死亡した場合
・ 厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがなどにより初診日から5年以内に死亡した場合
・ 1級・2級の障害厚生(共済)年金を受給している方が死亡した場合
・ 老齢厚生年金の受給権者であった方が死亡した場合
・ 老齢厚生年金の受給資格を満たした方が死亡した場合
遺族厚生年金の受給対象者
遺族厚生年金は、亡くなった方に生計を維持されていた以下の遺族のうち上から優先順位の高い方が受給できます。
・ 子のある配偶者
・ 子
ここでいう子とは、18歳になった年度の3月31日までにある子、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある子です。
・ 子のない配偶者
子のない配偶者のうち30歳未満の妻は、5年間のみ受給ができます。
また、子のない夫は、55歳以上の方のみ60歳から受給可能です。
・ 父母
55歳以上の方のみ、60歳から受給可能です。
・ 孫
ここでいう孫とは、18歳になった年度の3月31日までにある孫、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある孫です。
・ 祖父母
55歳以上の方のみ、60歳から受給可能です。
遺族厚生年金の見直し案
現行の遺族厚生年金は、子のない配偶者のうち30歳未満の妻は5年間の有期年金です。
また、子のない夫の遺族厚生年金は、55歳以上の方のみ原則60歳から受給できます。
2024年7月の厚生労働省による遺族厚生年金の見直し案は、5年間の有期年金である子のない妻の遺族厚生年金を、現行の「30歳未満」から「60歳未満」に段階的に引き上げていくものです。
また、これと同時に「60歳未満の子のない夫」についても、段階的に引き上げ後の60歳未満の妻と同様に、5年の有期年金の対象とするものです。
この見直し案では、60歳未満で子がいない配偶者は男女とも一律5年の有期年金になります。
男女差をなくしていくものです
この改正は現在の生活状況に合わせて、男女差をなくすもので、2024年中にはまとめられる見込みです。
ただし、該当する方は今よりも確実に年金受給額は減ることになりますので、注意が必要です。
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