遺産分割で、「預金か不動産」どちらを選択するかといえば、換金自由な、預金を希望される相続人が多いでしょう。
問題は、遺産の中身がほとんど不動産の場合です。
「不動産と預金」相続するならどっちら
例えば、遺産が居住用の不動産と農地のみとします。
居住用の不動産に故人と相続人が居住していた、または家屋が相続人名義であれば、そこに居住していた相続人にしてみると当然その不動産を引き継ぎたいと思うのが自然でしょう。
視点を変え、他の相続人にしてみると、その不動産を取得できないことには納得できたとしても、残された遺産は、「農地だけ」となると、納得できるでしょうか。
農地が問題な訳
現在、先祖代々と農家、親は兼業農家で、相続人は農業自体をやっていないといったケースが多く、農地は要らないと思う方が多いようです。
その農地を売却しようと不動産業者に相談すると、あまり歓迎されないことがおおいのです。
それは、その農地が調整区域の農地の場合です。
調整区域とは、市街化を抑制すべき区域であり「原則、建物を建てることができない」土地ということです。
農業をやることはできますが、原則、家は建てることができません。
青地か白地
調整区域の農地の場合、その農地が青地か白地かでも大きな違いがあります。
青地の場合
農地転用がさらに厳しいものになります。
農地としてしか利用できず、購入者も見込めないわけです。
青地か白地かの区分
固定資産税の明細には記載されてなく、各地域の市区町村の農務課等に問い合わせると教えてくれます。
この情報は、所有者本人である必要はなく、場所が分かっていれば、図面上で色塗りされていますので確認できます。
市街化区域の農地であれば
農地の転用が許可でなく、届け出のみですので、家は建ちます。
相続で、取得する場合は、その農地が生産緑地に指定されていないか確認が必要です。
生産緑地に指定されていると、農業を指定期間継続する必要があります。
農業従事者に相続が発生すれば、指定を「市町村へ買取りの申し出」することで、解除ができ、宅地転用が可能で、土地活用ができるようにもなります。
生産緑地の確認も、市区町村でできます。
国庫帰属法は使えるか
対象は、相続で取得した土地であることが前提です。
建物は、対象でないのです。
土地の上に建物があれば、その建物を相続人にて取り壊さないと、その土地の申請もできません。
境界を明らかにしないといけないですし、隣地と争いがあると承認されません。
地下に屋根瓦など建築資材や井戸などがある場合、除去しないといけません。
崖(勾配が30度以上+高さ5メートル以上)があり、通常の管理に当たり過分な費用又は労力を要する場合も承認不可です。
青地は、使えるか
調整区域の青地であるを理由に不承認にはなりません。
ただし、国に引き取ってもらうのに、国に負担金(管理費用)を支払う必要があります。
青地でない農地の場合は、面積にかかわらず、20万円ですが、青地の場合は
面積が500平方メートルで72万円
1,000平方メートルで110万円
の負担金が必要となります。
農地に土地改良費等を支払っている場合、法務局の審査完了までにその債務を消滅させないと承認されません。
事前に、消滅が可能か土地改良組合と相談が必要です。
将来、売れることも
青地で難しいのは、最近農業を行わない相続人が増加し、耕作放棄地の問題解消のため該当農地を市街化区域に編入することもあります。
物流倉庫であれば、青地でも建てられる場合もあります。
所有土地が、売れる土地になるかどうかは,運しだいです。
その間の農地の維持管理を考えると、相続土地国庫帰属法の検討をおすすめします。
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