還付申告書を提出したのに、思ったほど税金が戻らなかった人もいるかもしれませんが、実は同じ税金対策を実施したとしても、申告する人の所得や納税状況によって還付される金額は異なります。
そこで本記事では、税金が還付される仕組みと、還付される金額に差が生じる理由について解説します。
納めた税金がゼロだと還付金は発生しない
確定申告書を提出することで税金が還付されるのは、前もって支払った税金がある場合に限られます。
所得税の確定申告は、その年の所得金額に応じた納税額を算出するための手続きですが、先に納めていた所得税がある場合には差額が納付または還付となります。
医療費控除や住宅ローン控除を適用して税金が還付になるのは、所得控除・税額控除の額が増えることで算出される所得税額が減少し、払い過ぎていた分の所得税額が戻るからです。
しかし、先に納めていた所得税が無ければ控除額が増えたとしても戻す税金はゼロなので、還付金は発生しません。
所得控除額が同じなら高額所得者ほど還付金は多くなる
所得税は、所得金額から所得控除額を差し引いた課税所得金額に、税率を乗じて算出するため、所得控除額がそのまま所得税から控除されるわけではありません。
配偶者控除や扶養控除などの所得控除を適用できれば、その分だけ課税所得金額は減少し、算出される所得税額も小さくなります。
しかし、所得税の税率は課税所得金額が大きいほど上がる仕組みなので、所得控除額が同額の場合、高額所得者ほど節税効果が高くなります。
所得税の最高税率である45%が適用されるのは、課税所得金額が4,000万円以上の方ですので、該当する方はほんの一握りです。
「最大〇〇円の節税効果」と謳っている所得控除については、所得税の適用税率が最も高いケースに該当しない限り、満額の節税効果は得られません。
所得控除より税額控除の方が節税効果は高い
所得控除は控除額に税率を乗じた額が節税額となるため、所得税の最高税率が適用される方でも、所得控除額の45%しか節税になりません。
それに対し、税額控除は所得税から直接差し引く控除なので、基本的には「税額控除額=節税額」となります。
所得税額と税額控除額が同額であれば、税額控除の方が高い節税効果を得られますが、税額控除で差し引くことができる金額は、その人が課税所得金額に応じて算出された所得税額が上限です。
たとえば、20万円の税額控除を適用できる場合であったとしても、算出された所得税額が20万円未満であれば、所得税額までしか控除することはできません。
また、税額控除を全額差し引くことができたとしても、先に納めた所得税が無ければ、還付金は生じない点にも注意してください。
確定申告で還付される金額は個人差が大きい
所得税の確定申告書を提出することで税金が還付になるのは、所得税を納め過ぎていた場合に限られます。
先に納めた税金がゼロの方は、所得控除や税額控除を適用することで納税額を減少させることはできますが、税金が還付されることはありません。
収入がそこまで多くない方については、いろいろな所得控除を適用したとしても、世間で謳われているほど税金が還付されないことも考えられます。
確定申告手続きをすることで税金が還付されるのは嬉しい反面、還付手続きのためのコストが還付額を超えてしまっては本末転倒ですので、税金対策についても費用対効果を求めるのがポイントです。