2024年7月3日より新紙幣の発行が始まります。
「その決済、ポイント付きません」払ってはいけないキャッシュレス決済
完全キャッシュレス派のため、関心が薄いという方も多いのではないでしょうか。筆者もそうです。
もっとも紙幣を受け取る側のサービス業、中でも飲食業は無関心ではいられません。
特に問題なのが、券売機を導入している店舗の多い、ラーメン店です。
券売機を更新しなければなりませんが、その費用も経営を圧迫します。
券売機更新に費用を掛けるぐらいなら、キャッシュレス専用店舗にしてしまおうかと悩む経営者も多いようです。
業界に先駆け、荻窪中華そばの名店「春木屋」が8月から完全キャッシュレスにするというニュースがあります。
今後のラーメン店、飲食店のモデルケースになる可能性があると思っています。
春木屋、完全キャッシュレスへ
春木屋は荻窪ラーメンの老舗です。
荻窪本店と吉祥寺店を抱えています。
その他ラゾーナ川崎プラザのフードコートにもお店がありますが、こちらは当然キャッシュレス化していて、さらに今後も現金を扱うでしょうから関係ありません。
荻窪本店と吉祥寺店では、2024年8月1日から現金の取り扱いを廃止します。
完全キャッシュレス化です。
現金ほぼオンリーのお店が大転換
店舗の完全キャッシュレス化のお知らせには、新紙幣導入の件は一切書かれていません。
とはいえ、春木屋も券売機方式のため、当然この影響があったと思われます。
キャッシュレス化まで残り1か月となった7月1日、荻窪本店の近くまで来た筆者も、どうなっているのかと思い立ち寄ってみました。
すでにキャッシュレスが導入され、現金も併せて受け入れているのだろうと想像していたのですが、まるで違いました。
あくまでも券売機が基本で、キャッシュレスはPayPayだけでした。
つまり現在は、「キャッシュレスも例外として一応用意しているラーメン店」に過ぎません。
これがひと月後キャッシュレス化できるのかと勝手に心配してしまいました。
とはいえ確かに当初は混乱しそうですが、いずれスタッフもお客もすぐ慣れるでしょう。
価格はすでに値上げしており、大部分のメニューが「千円の壁」をすでに突破しています。
唯一千円以内におさまる中華そばを頼みました。
基本すっきりした醤油ラーメンですが、油が表面を覆っているのでスープは熱いです。猫舌の方はご注意を。
店内の写真撮影と通話はNGです。ただし頼んだ商品の撮影はOKです。
キャッシュレスの種類は豊富
8月以降、春木屋で使えるキャッシュレス決済です。現金は不可となります。
・ クレジットカード(ダイナース以外。ただしダイナースも恐らくJCBとして差し込み決済可能と思われる)
・ 電子マネー(交通系、iD 、QUICPay)
・ QRコード決済(PayPay、au PAY、メルペイ、d払い、楽天ペイ、J-coin、WeChatPay、Alipay)
券売機でキャッシュレス対応するなら新札も受け入れるはずなので、券売機は廃止されるのでしょう。
先払い方式を続けるものと思われます。
タッチ決済については書かれていませんが、更新端末なら対応しているのではないでしょうか。
ただしダイナースは、差し込み決済可能(JCBとして)だとしても、タッチ不可の場合が多いようです。
サービス終了が決定したLINE Payは不可です。
現在はユーザースキャンですからLINE Payも使えますが、ストアスキャンになって弾かれるパターンと思われます。
ともかく、これだけ決済方法が用意されていれば、Suicaすら持っていないという人でない限り、困ることはないはずです。
中高生も大丈夫でしょう。
完全キャッシュレス店舗に備えるには
これから、「たまたま入ったお店が完全キャッシュレスだった」というケースがどんどん増えていくでしょう。
「現金のみだった」よりよほどいいと思います。
とはいえ、キャッシュレス否定派ではないが現にあまり使っていないという人は実際にいるものです。
そして、得てして電子マネーのチャージが不足していたりします。店舗でのチャージなどできません。
クレジットカードが好きでないとしても、デビットカード(国際ブランド入りのもの。メガバンクやネット銀行の多くで発行されている)ぐらいは持っておいたほうがいいでしょう。
キャッシュカード一体型ですし、銀行に預金がある限りは払えない心配はありません。
前払いも立派なキャッシュレスです。
完全キャッシュレスラーメンは増えていくか?
最も現金を中心にしている飲食店、それも強い理由があってそうしている店舗が、新札導入により180度の転換を見せることになりました。
なかなかキャッシュレスが浸透しないという嘆きも多く見られる中、世間ではすでに完全キャッシュレスを受け入れる準備が整っていたわけです。
今後の予測について記します。
春木屋は完全キャッシュレスラーメンのはしりになる?
現在でも、完全キャッシュレス、現金不可の飲食店は存在します。
ラーメン店にもすでに存在します。
こうしている理由はおおむね、現金を扱うオペレーションを完全排除するためです。
現金はどうしてもレジ締めに手間が掛かりますし、数字が合わないこともあります。
銀行に出掛ける必要もあります。
そしてコロナを経験した現代人にとっては、言うまでもなく非衛生的です。
最初から現金を排除しているお店にとっては、新札導入も関係ありません。
キャッシュレスに関する手数料負担があるとしても、現金を扱う手間と相殺してあまりあるのでしょう。
とはいっても、現在はまだ例外的な店舗です。
有名ラーメン店の春木屋が完全キャッシュレス化することで、同じオペレーションにする店舗も増えるのではないでしょうか。
客離れなど一切生じないと予想しています。
ラーメン店とキャッシュレスは相性が悪かった
他の飲食店と異なるラーメン店の特色は、券売機が多いことです。
これはオペレーションとして外せないようです。
最近はそれでも、券売機でキャッシュレス対応しているお店も増えてきました。
そして現在の春木屋のように、券売機とPayPayの併用というお店はよく見かけます。
この場合券売機はスルーし、店舗スタッフにPayPay利用を申し出て、事前にPayPayで支払います。
利用者を観察していると、券売機がある限りそちらを使う人が多く、PayPay決済は例外的に思えます。
それでも、地域還元等多くのキャンペーンがあるQRコード決済で支払えるのは、ありがたいものです。
行きつけのお店のために現金で払うという文化は崩壊する
強い現金派だけの主張ではないのかもしれませんが、筆者にはよくわからない主義が存在します。
「店舗はキャッシュレスの手数料を負担している。だから行きつけのお店では気を遣って現金で支払うようにしている」
と言ったものです。
この主義主張も、じきになくなっていくでしょう。最初から現金不可のお店では、現金など迷惑でしかない存在です。
現金払いの聖域がひとつ崩れた
早くから完全キャッシュレスの筆者としては、今回の春木屋の大転換を歓迎します。
世の中が動くたび、現金派の人はなんとか現金払いを続ける理由を見つけ出すのですが、そろそろ限界でしょう。
「通信障害時はどうする」ぐらいしかなさそうです。
ただ、クレジットカードと電子マネー、QRコード決済の全種類で支払えないということはそうそうないので、障害があってもなんとかやっていけるでしょう。
キャッシュレスラーメンに期待します。