2000年問題や2024年問題など、最近はその年に発生する問題のことを◯◯年問題と言うようになりました。
社会保険料の算定対象範囲の変更で保険料の負担が増えるかもしれない
多くの◯◯年問題の中で、日本で生活していく上では必ず知っておきたい問題が2025年問題です。
では、2025年問題とはどのような問題でしょうか。
団塊世代が75歳以上の後期高齢者になる
2025年問題とは、団塊の世代(1947~1949年生まれ)約677万人全員が75歳以上を迎え国民の約5人に1人が後期高齢者になります。
日本は高齢社会から超高齢社会へと突入していきます。
そのことで、下記の問題が生じると言われています。
・ 年金、医療、介護費の負担がこれまで以上に増大する
・ 医療や介護サービスも含めた働き手が全体的に不足する
・ 国内市場の縮小
・ 事業承継の困難化
今後の高齢化の進展 ~2025年の超高齢社会像~
厚生労働省は2006年に「今後の高齢化の進展 ~2025年の超高齢社会像~」を公表しています。
人口構造の今後の予測は経済予測などよりも確実性が高いと言われていますが、18年前には既に厚生労働省は公表していたのです。
公表内容の抜粋は次の通りです。
・ これまでの高齢化の問題は、高齢化の進展の「速さ」の問題であったが、 2015年以降は、高齢化率の「高さ」(=高齢者数の多さ)が問題となる。
・ 認知症高齢者数は、2002年現在約150万人であるが、2025年には約320万人になると推計される。
・ 2025年には、高齢者の世帯の約7割を一人暮らし・高 齢夫婦のみ世帯が占めると見込まれる。中でも高齢者の一人暮らし世帯の 増加が著しく、一人暮らし世帯は約680万世帯(約37%)に達すると見 込まれる。
・ 今後急速に高齢化が進むと見込まれるのは、首都圏をはじめとする「都市部」である。今後、高齢者の「住まい」の問題等、従来と異なる問題が顕在化すると見込まれる。
今後の高齢化の進展 ~2025年の超高齢社会像~(厚生労働省)
≪画像元:厚生労働省(pdf)≫
75歳以上の1人当たりの医療費が最も多い
令和3(2021)年度 国民医療費の概況<厚生労働省>によると、年齢階級別の人口一人当たりの国民医療費は次の通りです。
<令和3年度(2021年度)・年齢階級別国民医療費(年間)>
【65歳未満:19.86万円(39.4%)】
0~14歳:16.35万円(5.4%)
15~44歳:13.33万円(11.9%)
45~64歳:29.07万円(22.1%)
【65歳以上:75.4万円(60.6%)】
70歳以上:82.45万円(51.9%)
75歳以上:92.34万円(38.3%)
参照:令和3(2021)年度 国民医療費の概況<厚生労働省>より
70歳以上よりも75歳以上となると、1人当たりの医療費は年間10万円増加しています。
また、国民医療費全体の38.3%が75歳以上となっています。
なお、国民医療費全体では、平成13年度(2001年度)31兆998億円、平成23年度(2011年度)38兆5,850億円、令和3年度(2021年度)45兆359億円と20年前と比べると10兆円も増加しています。
財源は公費(国または公共団体の費用)と保険料ですので、団塊の世代の約677万人全員が75歳以上になることで、今のままでは限界になるのも時間の問題です。
家計への影響は?
昨今、物価上昇による家計への影響が言われておりますが、今後は2025年問題の影響が家計にも影響を及ぼすようになります。
具体的には、税金や社会保険料の負担増加または給付の削減になります。
政府は高齢者に長く働いてもらうことや税金・健康保険料の負担増加などを検討しています。
一覧は下記の通りです。
・ 在職老齢年金(長く働いてもらう)
→ 年金の給付とともに一定の給付水準があれば年金額が一部支給停止となる制度
・ 退職金における勤続期間20年超の優遇の見直し(負担増加)
・ 国民健康保険料の計算に株式の譲渡益・配当金も考慮する<NISAを除く>(負担増加)
・ 国民年金の納付期間を65歳まで延長
負担増加、給付についてはその分増加するがマクロ経済スライド次第です。
老後の生活資金不足を自助努力で備える
なお、今年から拡大された新NISA制度、iDeCoの掛金納付期間も65歳までから70歳へと延長する方針も出ています。
NISAやiDeCoは老後の生活資金の不足を自助努力で備えるための制度ですので、より自助努力が重要になってきます。
今後は、人生の中で今日が一番若い日と言われますが、今後は人生の中で今日が一番貯蓄がしやすい日になっていく可能性があります。
この2025年問題は大きな話題になっていないのが不思議ではありますが、不安を煽りたい訳ではございません。
目の前に形となって現れる前に、今後の日本の状況を理解した上での家計管理や今後のライフプランが必要です。