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【最新情報まとめ】地震など緊急時の金融機関の対応 払い戻し、ローン返済・新規融資・破損した紙幣の取り扱いなど


【最新情報まとめ】地震など緊急時の金融機関の対応 払い戻し、ローン返済・新規融資・破損した紙幣の取り扱いなど
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大地震などの災害時に、必要なお金を確保する方法は、普段の生活ではなかなかイメージしにくいかも知れません。

いざ「そのとき」になったとき困らないように、いまから準備しておけることがあります。

今回は、災害時における金融機関の顧客への緊急対応など、災害とお金にまつまる情報を銀行員がまとめました。

現在(記事執筆時2024年2月)地震災害で大変な思いをされている方もいらっしゃいます。

皆さんに、1日でも早く、もとの生活へ復帰できるよう願っております。

そのため、災害時の預金引き出しなどの内容は、記事執筆現在の政府など公的な情報源から正確に伝えるよう、なるべく余分な解説は廃して事実のみを伝えるようにしていますので、添付した参考サイトなどで詳しく確認するようにしてください。

地震など緊急時の金融機関の対応

地震など緊急時の金融機関の対応

地震などの大災害時に金融機関が取るべき対応などは、その基本事項があらかじめ決められています。

令和6年能登半島地震など、実際に発生した災害の状況などにより、基本事項にその現地状況などを踏まえて、災害発生後に時間を置かず政府(財務省、金融庁、日本銀行などが中心)より金融機関に対し特段の対応が指示されます。

政府や金融機関は平時から「その時」の準備をしている

災害時など、金融機関は政府の指示にもとづき対応しますが、もともとそれぞれの金融機関独自が制定している「緊急時対応計画(コンティンジェンシープラン・Contingency Plan)」に基づき顧客対応をすることになっています。

金融機関は、定期的な防災訓練と同じように、こうしたコンティンジェンシープランに沿って年に数回「大地震が発生した場合」「金融機関が経営破綻に陥り、ペイオフが発動された場合」「預金引き出しに顧客が殺到(いわゆる『取り付け騒ぎ』」など、具体的な想定のもと訓練を行い、緊急時に備えることになっています。

訓練の具体例【災害時のコンティンジェンシープラン準備・訓練】
・ 大地震が発生して銀行店舗やオンラインシステムの甚大な障害が起きたと想定

・ 稼働可能な店舗への人員配置など、速やかに災害地住民の預金引き出しに備える訓練

・ 緊急時の現金輸送手段の確保や輸送の訓練(警備会社委託の場合は共同訓練も)

・ 銀行オンラインが停止したとき、復旧までのサブシステム等の構築

・ 災害時に協力体制を取る提携系金融機関とのオンライン接続テスト

・ 他金融機関との相互協力(集金中の地震で、最寄りの協力金融機関に現金を一時的に預ける)
訓練の具体例【ペイオフが発動した場合のコンティンジェンシープラン準備・訓練】
・ 店頭に顧客が殺到したとの想定で、窓口体制・顧客誘導など役割分担と訓練

・ 電話応対における回答例、電話を使った実地訓練

・ ATMへの現金補充や機器トラブル時の復旧マニュアルと実際を想定した訓練

・ データ処理が集中しダウンした場合のサブシステム稼働など、システム関連の訓練

銀行では想定されるさまざまなトラブルに対処するような体制があり、災害時にも利用者のみなさんがスムーズに手続きできる準備を整えています。

災害時・金融機関の対応 政府から指示されていること

令和6年能登半島地震で実際に政府や財務省、日銀などから金融機関に対し指示されている、金融機関の緊急的な対応を紹介します。

政府・日銀からの指示について、箇条書きにまとめました。

(石川県の場合)日本銀行から金融機関へ、災害時における金融上の措置・指示事項

令和6年1月2日、令和6年能登半島地震で石川県内の被災者等に対し、状況に応じ金融上の措置を適切に講ずるよう、日銀(政府)より金融機関に対して文書で指示がありました(被災した他県も同様)。

地震発生翌日の指示なので、ここでは時間をおかず緊急かつ迅速な動きがあったことがわかります。


【内容】店舗営業・ATM関連

  1. 現地の状況等に応じ、休日営業や平日でも営業時間外での営業延長など適宜配慮する

  2. 窓口の営業ができない場合でも、顧客及び従業員の安全に配慮し、ATMによる預金払戻しなど、被災者の便宜を考慮した措置を講じる

  3. 営業している店舗と営業時間、営業停止中の店舗、利用可能なATMや提携金融機関、コンビニATMなどの情報を、ポスター掲示や新聞・公式ホームページなどで顧客に周知徹底する

【内容】預貯金関連

  1. 預金通帳を紛失した顧客には、被災状況等を踏まえ柔軟な本人確認方法で払戻しに応じる

  2. 届出印がない場合も、本人確認できれば拇印、署名などで対応するなどの便宜を図る

  3. 顧客から依頼があれば、定期預金の期限(満期)前の払戻しにも応じる

  4. 災害で支払いできなかった手形・小切手は、個別事情(災害で入金ができなかったなど)を確認して、不渡報告(*残高不足で手形支払いが不能なことを「不渡り」と呼び、一般的にこれが倒産の意味となる)などへの配慮を行う

  5. 損傷したり燃えてしまったりなど、部分的にしか残っていない紙幣や貨幣の引換えに応じる

  6. 国債を紛失した場合の相談にも応じる

【内容】住宅ローン、融資関連

  1. 依頼があれば、定期預金などを担保にした貸付(預金担保融資)にも柔軟に応じる

  2. 被災状況や、応急的な資金需要など緊急性を重視して、融資審査の提出書類を必要最小限にするなど、手続きの簡便化と融資の迅速化を図る

  3. 「返済中の融資(住宅ローン、事業資金融資など)の返済がむずかしい」などの相談があった場合には、一時的に返済猶予の相談に乗るなど、被災者の災害の状況を考慮した措置を講ずる

参照:日本銀行「令和6年能登半島地震にかかる災害等に対する金融上の措置について(pdf)」

営業店舗、営業時間

災害後も営業を継続している店舗やATMなどは、各金融機関の公式ホームページで情報公開しています。

営業店舗、営業時間

≪画像元:北陸銀行

特に営業日や時間帯はしっかり確認するようにしてください。

店頭にはお客様が殺到していることも予想されます。

アポなしで来店しても受け付けてもらえなければ、結局は貴重な時間を無駄にしてしまうことにもなりかねません。

事前に電話で問い合わせや来店予約などをしてから出かけることをおすすめします。

預金の払い戻しなど

通帳がなくても印鑑があれば、あるいは印鑑がなくても、本人確認書類(*)があれば金融機関は預金の払い出しに応じてくれます。

金額は10万円~20万円程度なので最低限、当座をしのぐことはできるのではないかと思われます。

*本人確認書類は運転免許証や顔写真のあるマイナンバーカードなどですが、悪用を防ぐ目的からも、あまり詳しく説明している金融機関はありませんので、必ずご自身で確認してください。

参照:

郵便局「ゆうちょ銀行/通帳・証書等や印章をなくされた被災者の貯金等の非常取扱い等(pdf)」

JAバンク「令和6年能登半島地震にかかるJAバンクでの貯金の緊急払い出し等について(お知らせ)

破れたり燃えたりして一部しか残っていない紙幣について

「損傷紙幣」(破れてしまったり、燃えてしまったりして部分的にしか残っていない紙幣)は、残っている面積の割合などに応じて、金融機関に持ち込めば現金に替えることが可能で、原則的には以下の通りのルールになっています。

一部しか残っていない紙幣

≪画像元:財務局(pdf)≫

損傷紙幣の交換基準
・ 残っている面積が全体の3分の2以上→全額:1万円紙幣なら1万円

・ 残っている面積が全体の5分の2以上3分の2未満→半額:1万円紙幣なら5千円

・ 残っている面積が全体の5分の2未満→0円(「価値なし・失効」となる)

ここで紹介した面積などは日銀による原則であって、個別の判断は実際に金融機関に持ち込んだうえで日銀の「鑑定」(損傷紙幣を金融機関に持ち込むと、日銀に送られ「鑑定」を受けることになり、結果が出るまで平時でも数日から数週間かかる場合がある)で判定されるので注意してください。

実際に交換を希望する場合などは、各金融機関にご自身で確認をするようにしてください。

参照:みずほ銀行【令和6年能登半島地震】破れた紙幣の交換などの対応はしてもらえるか。

実体験に基づく銀行員からのアドバイス

ある日「電子レンジでお金を加熱してしまった!」とお客様が半泣き状態でお札を持参しました。

応対した私は(「なぜレンジに!?」と聴きたい気持ちもあったのですが)、日銀の鑑定が必要で日数もかかるし、いくらのお金が戻ってくるかわからないなどの説明をしたうえで預かりました。

数十年前、私の勤務する銀行の処理ですが、燃えてしまったお金は、ぱっと見で一枚の紙幣でも触った瞬間にポロポロと崩れてしまうと言うことを映画か何かで見ていたのですが、実際にそのとおりでした。

破れたお金や焼け焦げたお金は、銀行員が専用の台紙などに張り合わせてから日銀に提出するなどの方法があります。

ここから選出の「3分の2以上残っていれば全額(原則)」などにつながるのです。

大事なのは、持参する場合などなるべく手は加えないほうが良いということです。

破れてしまった紙幣をテープなどで張り合わせたりしますが、これも鑑定する場合が銀行ではがすことがあるので注意が必要です。

焼け焦げた紙幣などは、食品保存用のビニール袋などにそのまま入れるのがおすすめです。

こうしておけば万が一、袋の中で崩れても散逸は防げます。

地震災害などの緊急時は対応も変わる場合がありますので、必ず金融機関などに確認するようにしてください。

融資返済の相談、新規融資の申込みなど

住宅ローンやマイカーローン・カードローン、あるいは事業資金融資など借入を返済している人には、一時的に返済を軽減するなど柔軟な対応をするように、金融機関も準備していますので、まずは相談してみることをおすすめします。

災害により、事業に必要なお金を借りたいなどの場合も、通常時より必要書類を減らすなど柔軟、スピーディーな審査をしてくれます。

災害時だからと言っても無審査で融資はしてもらえませんし、返済軽減などでも災害より前から支払い滞納が続いていた場合などは、どういった対応になるか未知数です。

悪質な業者や詐欺行為に注意

災害時における、金融機関の対応などを銀行員が解説しました。

誰でも、いつ、どこで災害にあうかわかりませんし、実際に災害にあわれて大変な思いをされている方もいると思います。

最後にひとつ銀行員から注意すべきことを紹介します。

たとえば災害時に「すぐにお金貸します!」といったチラシや電話・メールなどがあっても登録された正規な業者かなどを確認するよう注意してください。

悲しいことではありますが、災害時など被災された方が経済的・精神的にも疲れていることに漬け込んで悪質な詐欺行為なども横行します。

犯罪に巻き込まれないようにする手間にも、大変な状況であったとしても、ほんの一瞬でもいいので「大丈夫かな?」と思い返すようにしてください。

冷静な行動と正確な情報収集をして、大切な資産を守ってください。

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