2024年1月19日(金)~1月21日(日)に東京ビッグサイト開催された「資産運用EXPO【春】」にて、株式会社プログリット(証券コード:9560)のIRセミナーが行われました。
【2月権利確定】株主優待銘柄9選 食費・被服費の節約に・10万円予算銘柄も紹介
代表取締役社長 岡田祥吾氏に今後の経営について、さらに話題となった「社長の育休取得」についてインタビューしてきました。
2022年10月、テレビ朝日の弘中綾香さんとの結婚を発表。
上場後1年での育休取得が話題となりました。
資産運用EXPO【春】へ参加しました。
今回はその模様と、代表取締役社長 岡田祥吾さんへのインタビューをレポートいたします。
プログリットの「英語コーチング」
プログリットのメインの事業は主に2つあります。
1.祖業である英語コーチングサービス
自社で英会話スクールを運営せず、顧客に対して英語学習の仕方をコーチングするサービスが特徴です。
英語コーチングサービスが売上の69%を占めています。
2.サブスクリプション型英語学習サービス
「シャドテン」というサービスを提供しており、売上の 31%を占めています。
プログリットが取り組んでいる日本の課題は、日本人が英会話スクールに使っているお金が年間で1,650 億円もあるにも関わらず、日本の英語力の世界ランキングが下がっている現状です。
この課題を解決するため、事業コンセプトである「人×テクノロジ ー」を融合させ、英語学習に革新をもたらすことを目標に事業展開しています。
プログリットのサービス内容は、従来の英会話サービスとは全く異なり、英会話レッスンや英会話の先生がいません。
英語のコンサルタントがお客様1人1人について伴走し、顧客には1日2時間から3時間の自学自習を実施してもらう方針です。
大変なプログラムですが、多忙な方でもしっかりとやり切れるようにコーチングという手法を 使い、生活習慣から見直すことによって実現していることが特徴です。
プログリットの業績について
業績は右肩上がりで伸びており、コーチングは前年同期比+40.5%、サブスクは前年同期比+85.3%と急成長しており、順調に推移しています。
特にコーチングは需要の伸び、コンサルタントの生産性アップ、そして採用による供給力アップと、需要と供給の両方がマッチしながら伸びたところが、この業績につながったとのことです。
営業利益率は31%となっており、前年同期と比較してかなり良い水準となっています。
売上総利益率がしっかり伸びたところと、固定費をあまり増やさず売上を増やすことができたことが営業利益の改善の要因だそうです。
今後の事業展開について
プログリットは、法人研修の市場にも参入しており、こちらも順調に売上を伸ばしています。
現在の導入企業は約250 社で、着実に増えており、企業向けの分野も成長が期待できると思いました。
説明の中で印象的だった内容は、従来の英会話スクールはアメリカで話す英語を教えるところがほとんどの中、プログリットはAIを活用し、今後は実際に話す相手の英語(イギリス、インド、オーストラリアなど)に合わせて学習できるという点です。
これはビジネスマンにとって、実践的な英語を効率的に学ぶことができ、プログリットの企業向けサービスの優位点になるのではと感じました。
プログリット代表取締役社長 岡田祥吾さんにインタビュー
Q,岡田さんは育休から復帰されたばかりですが、上場まもない企業の社長が1か月間育休を取るというニュースには驚きました。社内の反応はいかがでしたか?
A,私としては特別な事ではなくて、 ただ子どもを授かったから育休を取るというだけの話なんです。
でも、社内では評判良かったですね。
プログリットは、社員の平均年齢が30歳くらいで女性社員も多いですし。
社長が育休を取ることで社員も取りやすくなると思います。
Q,今回の育休取得から仕事に活かせることは何かありますか?
A,男性社員が育休を取りづらい環境だと、エンゲージメントが下がりますし、業績にも影響を及ぼすだろうと強く感じました。
働きがいも重要なんですが、いわゆる働きやすさも重要だと思いました。
Q,英語コンサル職のスタッフの給与を一律50万円引き上げるというのは、思い切った経営判断だと思うのですが、これは人材確保の観点が大きいのでしょうか?
A,そうですね。私の経営の考え方は、大きく分けて2つあります。
1つは利益を上げること、もう1つは社員の給料上げることです。
創業以来、この2つを実現したいというのが私の考え方です。
ある意味では、ただそれをやっているに過ぎないんですけど。
結局、我々はお客様のために仕事をしていて、それを誰がやってるのかっていうと、社員なんですよね。
そうすると、彼ら(社員)の給料が上がっていくことが、会社にとって適切なお金の流れだと思うんです。
給料が上がることにより、当然社内のエンゲージメントも上がりますし、採用力も高まるので、一石二鳥だと思います。
Q,英会話業界で上場している企業はまだ少ないですが、なぜ上場しようとお考えになられたのですか?
A,おっしゃっるように英語業界で上場企業は少ないですよね。
だからこそ、上場するということが1つの差別化というか信頼につながるという風に思ったので、上場したというのが1つです。
もう1つは、我々の成長戦略として、上場までは※オーガニックグロースで行こうと決めていました。
未上場でも資金調達できるという話もあるんですけど、私の感覚的には、上場してる方が資金調達は多様になりやりやすいと思い、上場しようと思いました。
※オーガニックグロースとは、企業が内部資源を活用して現状のサービス売上を伸ばし、成長しようとすること。
Q,上場後に利益率が上がっています。上場した効果は大きいと感じられてますか?
A,多少ありますね。
すごく多くはないですが、上場したことによる信頼度のアップは業績にも貢献していると思います。
Q,現在の株価について、どのように思われていますか?
A,現状の株価が高いか安いかは、正直私もわからないと言うか、自分が決めることではないと思います。
ただ、 我々が目指している株価からすると、低いと感じています。
今の株価の上げ下げは、どちらかというと誤差の範囲だと思います。
今後、最低でもプライム市場へ市場変更を目指していますし、そこで安定していける規模にならないと話にならないと思っています。
そういう意味でいくと、今の株価は低いと認識しています。
Q,目標はプライム市場への移行なんですね。現在の配当や株主優待についてどのようにお考えですか?
A, 配当を出していないという意思決定は、感覚的には51対49で出さないと意思決定をしてるっていう感じです。
配当に関しては、常に検討しています。
株主優待に関しても、社内で議論をしています。
(配当や優待の実施は)メリット、デメリットがありますし、フェーズもあります。
今は配当を出さず、事業にベットする方が、株主の皆さんにとってもベストな選択だということを難しい判断ながらしているという感じです。
Q,個人投資家を含めた安定株主を獲得するために、どのような施策をお考えですか?
A,配当を行っていない状況ですので、株価がしっかりと上がることは重要だと考えています。
基本的に業績を継続的に上げ続けるコミットをする。
そこが、私は1番かなと思います。
業績は嘘つかないですから。
あとは時間を使って個人投資家も機関投資家も隔たりなく、直接だったり、オンラインだったり、色々な媒体も含めてコミュニケーションを図っていきたいです。
極力、我々が考えてることを透明性高く、伝えていくという努力は、継続的にやっていきたいです。
Q,今後、生成AIが競合になるということはお考えでしょうか?
A,私は全く思ってないですね。
生成AIによって英語業界に変化が起きることは間違いないと思うんですよ。
変化が起きるっていうことは、絶対勝者が現れます。
その勝者になるためにあらゆる努力をしていきたいと思っています。
Q,岡田さんにとって英語とはなんですか。
A,英語とは、自分の幅を広げてくれたものです。
元々私は英語が全くできなかったんです。
英語ができるようになって、世界の友達もできましたし、海外に目が向きました。
英語によって人生の幅が広がりました。
経営者として海外のビジネスを見るのもそうですし、海外に関心が向きました。
英語ができるだけで、海外のことに関心が向きやすいです。
Q,プログリットには元サッカー日本代表の本田圭佑氏も出資されていますが、岡田さんにとって本田圭佑氏はどのような人物ですか?
A,私にとっては、良いメンターですね。
本田さんとは話す機会がありますけど、彼から僕が教えてもらうのは、やはり圧倒的な視座の高さ、 目標の高さです。
現状に甘んじない部分がすごくあります。
僕自身もそういうの得意だと思ってましたけど、彼はやはり飛び抜けてそれがすごいので、それを話すたびに痛感させられるっていうのは、僕にとってすごく刺激的です。
もちろん、広告に出てもらってるとかそういうのはあるんですけど、 それは関係なく、彼のそういう考えが及ぼしてる影響は絶対あると思います。
Q,マネーの達人をご覧の方、個人投資家の方へ何かメッセージをお願いできますか?
A,プログリットとしてはまだ準備段階で、 プライム市場に行ってからが始まりだと思っています。
まずはそこに行けるように、頑張っていきたいですし、株主の皆さんに喜んでいただけるような経営をしたいと思っていますので、ぜひ応援していただけると嬉しいです。
本日は、素晴らしいプレゼンテーションと貴重なお話、ありがとうございました。
「投資したい」が詰まった経営者
インタビューを通じて、社員を大切にする方針を強く感じました。
この方針からより良い人材が集まり、業績の成長にも繋り、投資してみたい会社になるのだと感じました。
説明会の時間は30分でしたが、岡田さんのスピーチは途中で話のスピードを変えることなく、29分50秒ほどで時間ピッタリ話を終えられました。
色々な企業のIRセミナーを聞いていますが、今回ほど素晴らしいプレゼンテーションをされる方はなかなかいらっしゃいません。
岡田さんは経営者として、経営能力はもちろん、プログリットのビジョンや想い、優れている点を正確に顧客や投資家に伝えるプレゼンテーション能力にも長けている方だと感じました。
今後プログリットはさらに成長し、英会話業界をけん引する企業となり、投資対象として市場からも注目される企業になっていきそうです。