筆者は緊急入院を体験しました。
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「入院にかかるお金は退院時に精算する入院費だけ」と思っている人も多いのではないでしょうか。
緊急入院は「入院が決まったその瞬間から意外なお金」がかかります。
今回は、誰にでも起こり得る緊急入院に備えておきたい入院費以外のお金と負担を抑えるために知っておきたい「限度額適用認定証」についてお話しします。
救急車で病院へ! 帰りの交通費は盲点
12月上旬のある日、筆者は軽い気持ちで最寄りのクリニックに行きました。
問診後に検査をすることになりました。
検査の結果「すぐに救急車を呼びますから、このまま大きな病院へ行ってください」と言われたのです。
筆者は「クリニックまで歩いてきたので、タクシーで行かれます」と言い、救急車ではなくタクシーで紹介された病院に直行しました。
軽い気持ちでクリニックを受診したため、服装はデニムにネルシャツ、所持品は貴重品だけが入った小さなバッグと文庫本1冊だけです。
病院までのタクシー代…5,000円
すぐに入院が決まりましたが、あまりにも急だったため短時間という条件で一時帰宅の許可が出ました。
再びタクシーに乗り自宅へ戻り、万が一に備えていた「入院セット」を手に取り、病院にとんぼ返りしました。
病院と自宅の往復でタクシー代…約1万円
数時間で15,000円の出費です。
緊急入院は、救急車で病院に行くことがほとんどです。
救急車に乗るときには、本人だけでなく同乗する人たちも動転しています。
救急車に乗るときでもお金は必要です。
病院から帰るときには救急車ではなく公共交通機関で帰ることになるからです。
とくに筆者のように1人で移動する場合は、タクシーを利用することになります。
入院当日の交通費は出費の盲点ですが、意外と大きな出費です。
いきなり10万円! 入院保証金
入院セットを持って病院に戻った筆者は、病院着に着替えて病室に案内されました。
ベッドに横になろうとしたときです。
事務の方がやってきて「どなたか入院手続きに来られますか?」と言いました。
筆者は「手続きは自分でやります」と答えたところ、書類が入った封筒を渡されました。
事務の方は「明日でかまいませんので記入した書類と保証金10万円を窓口にお持ちください」と言い去っていきました。
入院保証金とは
入院保証金とは、入院前に支払う「前払い金」のようなものです。
入院保証金は病院によって金額は異なりますが、10万円程度が相場です。
入院保証金を支払うと預かり証が発行されます。
筆者の場合は、短期入院だったため退院時に預かり証を提示することで、保証金10万円と入院費用を相殺し、残額が返金されました。
入院保証金は、緊急入院でも必要です。クレジットカードで支払える病院もありますが「入院保証金だけは現金のみ」という病院も多くあります。
緊急入院の場合は、どこの病院に搬送されるかわかりません。
入院当日の保証金10万円が想定外の大きな出費になる人も多いようです。
入院保証金…10万円
入院保証金が払えないときにはどうするべきか
筆者は、親の入院経験から保証金の存在を知っていました。
そのため入院セットの中に現金10万円を忍ばせていたのです。
幸い翌日には書類も記入することができ、記入済みの書類と保証金10万円をもって手続きできました。
手続きをしてくれる家族が遠方にいたり、単身者だったりする場合は銀行やATMに行かれずに保証金がすぐに準備できない可能性もあります。
どんな理由でも入院保証金が払えない場合は、すぐに病院側に相談することをおすすめします。
院内にATMが設置されていたり、保証金ではなくクレジットカード情報の提供に変えたりすることができる病院もあります。
入院する前に知っておきたいこと「限度額適用認定証」
入院のように高額な医療費がかかる場合は「高額療養費制度」が利用できます。
高額療養費制度とは、1か月の医療費の自己負担額が高額になった場合に一定額を超えた分を戻してもらえる制度です。
「戻す」ということは、とりあえずは「超えた分も支払わなければならない」ということです。
入院が長期になれば、あとで戻ってくるとはわかっていても一時的な出費が大きな負担になります。
「限度額適用認定証」は、「あとで戻してもらう」のではなく、窓口で支払うお金に限度を設ける認定証です。
限度額適用認定証を病院の窓口に提示すれば医療費の負担は自己負担限度額(限度額は年齢や所得によって異なる)までになります。
限度額適用認定証の申請と手続き方法
限度額適用認定証は、申請と手続きをすることでもらえます。
国民健康保険の人は市区町村役場に申請します。
社会保険の人は各保険者などに申請します。
家族や自分が入院し「今回は費用が高額になりそうだ」と思ったときには、すみやかに申請手続きをしましょう。
本人が病院での情報提供に同意することで限度額適用認定証の申請手続きは不要になります。
筆者の入院は青天の霹靂でした。
医療従事者の方たちは、手続きやお金に関係なくずっと親切であり、全力で治療にあたってくださりますが、本人としては支払うものは支払わないと落ち着きません。
先の見えない入院生活は、回復だけでなくお金の面も気になります。
いざというときにお金の心配をしないためにも「入院に関する意外なお金」と限度額適用認定証は知っておきたい知識です。