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今年から始動の「新NISA」  初めて投資をチャレンジする場合に知っておきたい基本的なこと


今年から始動の「新NISA」  初めて投資をチャレンジする場合に知っておきたい基本的なこと
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今年1月から始まっているNISA(ニーサ)は、Nippon Individual Savings Account(日本個人貯蓄口座)の頭文字を組み合わせて作った英語の略語で、日本名では少額投資非課税制度と呼ばれています。

経済評論家 山崎元さんの記事まとめ

「貯蓄から投資」という国の政策の一環で2014年から始まっているNISAですが、ここでは、なぜ「貯蓄から投資」なのか、また、この制度の簡単な仕組みや特徴などについて解りやすい説明をしていきます。

なぜ「貯蓄から投資」なのか

なぜ、今「貯蓄から投資」なのか?

日本は、ゼロ金利水準がここ30年間続くデフレ状態であったので、今までは、お金を現預金で持っていても目減りする心配がなく、そのため、敢えて株や投資信託などのリスク商品で運用しなくても特に問題はありませんでした。

また、少子高齢化の社会問題となっている今、低い出生率による生産年齢人口の減少の、高齢者人口の増加によって年金の支払い原資が不足し若者が年金をもらう頃には、現在の年金の受給額がかなり目減りすることも容易に予想できます。

このような要因から、将来にわたっての生活設計に向けた資産形成を自発的に取組むことが求められてきています。

なぜインフレになるとお金が目減りするのか?

新型コロナやウクライナ状勢等によりエネルギーや原材料価格の高騰に加え円安進行の影響で物価高を招くなど、その状況は今やインフレ状態に変わっています。

その理由の一つは、たとえば、消費者物価が5%上昇すると、モノを購入するためには5%余分に出費しなければならないため、お金の価値は完全に目減りするからです。

つまり、これはインフレ率を上回る儲け(利益)がないと、今持っているお金が不足することを意味します。

それゆえ、現金や預貯金などの安全資産を持っているから安全ではなく、安全資産だけ保有することもリスクとなる可能性は十分にあります。

インフレが進んでいる現況は、お金の価値が確実に下がっているため、安全資産である預貯金や現金などもリスク資産となり得ます。

NISAは、資産形成において、非常に有効なツールの一つでもあります。

「リスクは一切取りたくない」という人にとっても、この制度の利用を検討してみる価値は十分にあります

新NISAの特徴について

NISAとは?

NISAは、証券優遇税制の廃止に合わせて導入された税制優遇制度の一つで、2014年1月より10年間の時限措置でスタートしました。

この制度は、NISA口座を開設している個人の投資家が購入した金融商品から得た利益にかかわる税金(20.315%)が非課税となる税制上のメリットがあります。

NISAは、元々イギリスの金融制度を参考に導入されましたが、日本の場合、将来の資産形成にとっては、英国の恒久的な制度と異なり投資期間や非課税となる期間が限定されていたため、中途半端な制度となっていました。

この問題を改善するのが今年からスタートしている新制度です。

このコースは「成長投資枠(一般NISA)」と「つみたて投資枠(つみたてNISA)」の2つから成っていますが、新NISAの主な特徴は次のとおりです。

新NISAの主な特徴

1.利用可能な年齢は年齢制限あり

新制度においては、旧制度同様、18歳以上が対象となります。

なお、旧制度ではジュニア新NISAの主な特徴があり18歳未満の人も利用できましたが、ジュニア新NISAの主な特徴は昨年末で廃止となっています。

ジュニア新NISAの主な特徴に口座を持っている場合は18歳になるまで、非課税での保有が可能です。

2. いつまで投資が可能なのか?

投資が可能な期間は、旧新NISAの主な特徴においては、一般新NISAの主な特徴最長5年間、つみたて新NISAの主な特徴最長20年間などの上限が決められていましたが、新NISAの主な特徴の場合は、無期限です。

投資期間の恒久化は、「長期的なライフプランと資金計画がより立てやすくなる」「投資期間を気にする必要がなくなる」など、使い勝手が良くなることが大きなメリットといえます。

3. 非課税となる期間は?

非課税期間は投資可能期間と同様に無期限です。

具体的なしくみについては次の税制上の措置の項目で触れています。

4. 税制上の措置、最大のメリットはなにか?

運用期間中や払出時は、たとえば、株の配当金や投資信託の分配金(普通分配金)または売却益などにたいして税金が課されないので、運用益は全額手元に残るかたちとなります。

これが最大のメリットです。

その一方、つみたて投資枠の積立時においては、積立金の掛金が全額所得控除となるiDeCo(個人型確定拠出年金)と異なり、その優遇措置は受けられません。

そもそも、税金というのは、稼いだ所得に対して課税されるので、NISAは利益に対してのみ特典を得ることができるといえます。

したがって、税の優遇措置は利益が出なければこの制度のメリットは活かせません。

更に、NISAの運用中や払出時に損益が発生しても損益通算や繰越控除も利用できません。

これは、NISA以外の口座との損益通算も不可となります。

損益通算とは、課税対象となる一般的な資産運用において、一年間に発生した利益と損失を合算できることをいいます。

5. 一年間の投資の上限額と累計でいくらまで購入可能か?

一年間に投資可能な上限額は、旧NISAより増額し、「成長投資枠」240万円、「つみたて投資枠」120万円と2倍から3倍に増加しています。

累計では、「成長投資枠」・「つみたて投資枠」合わせて1,800万円、その内、「成長投資枠」は1,200万円(内数)まで可能です。

また、売却した部分の枠は再度利用することも可能なので資金に余裕があればより効果的な運用が期待できます。

6. 購入可能な最低投資金額は?

NISAの対象商品は、最低100円から少額で買えるネット証券などもありますが、つみたてNISAの場合は金融機関によって最低積立金額は異なります

7. 購入できる投資対象商品と投資方法

「成長投資枠」は、※国内外の上場株式、ETF(上場株式投資信託)、REIT(不動産投資信託)、投資信託など選択範囲は「つみたて投資枠」と比べかなり広いといえます。

「成長投資枠」の投資方法については、一括購入と積立が可能です。

※海外の証券取引所に上場している株式やETFについては投資可能な証券会社もあります。

一方、「つみたて投資枠」は、投資信託およびETFが対象ですが、投資信託は、金融庁に届出されている金融商品から選びます。

投資信託の本数や銘柄は、金融機関によっても異なります。

「つみたて投資枠」の投資方法については、文字通り積立だけなので一括購入はできません。

また、「成長投資枠」と「つみたて投資枠」は併用が可能なので、自分でコースの選択が自由にできます。

8. 取扱金融機関は?

新NISA制度を利用できる金融機関は、証券会社(ネット証券含む)、銀行、信用金庫、JA、郵便局など多くの金融機関で取扱っています。

また、取扱う金融商品については、証券会社が、上場株式・ETF・REIT・投資信託

などに対し、銀行・信用金庫などの金融機関は、投資信託のみです。

9. 金融機関の変更は?

新NISAの口座開設は、旧制度と同様に、一人につき1金融機関でのみ可能ですが、「成長投資枠」と「つみたて投資枠」を別々の金融機関で開設することはきでません。

金融機関の変更は1年に1回のみ可能です。

その手続きは、変更したい前年の10月1日から変更する年の9月末までに行うことが必要です。

ただし、変更する年に1度でも買い付けなどの取引を行うとその年は変更できません。

変更手続きについては、変更前の金融機関にNISA口座の廃止申請と変更する金融機関にNISA口座開設の申請が必要です。

10. 口座管理手数料などのコストも知っておく

口座開設および維持管理に関する手数料は、どの金融機関でも無料です。

また、「つみたて投資枠」で対象となる投資信託の販売手数料は無料(国が定めている)です。

投資信託の保有時にかかる運用管理費用(信託報酬)は、※ファンドの保有期間中の運用・管理に関わる費用です。

その料率はファンドによって異なりますが年利(税抜き)で約1%未満から約3%が目安です。

また、この費用は毎日計算され基準価格から差引かれています。

また、投資信託の売却時にかかる費用は、信託財産留保額といい、売却額に対して最大0.3%の料率が目安です。

この費用はファンド換金時に直接支払いますが、無料のファンドも数多くあります。

上場株式の売買において発生する株式取引手数料は、無料、約定代金に応じた手数料、約定代金に料率を掛けた手数料など、証券会社によって基準が異なります。

※ここでは、ファンドは投資信託の銘柄を表します

初めて、NISAで投資をチャレンジする人にとって、「何をどのように投資するか」ですが、NISAで取扱っている投資信託や株式などの金融商品は、基本的なしくみや自分で許容できるリスクなどを、まずは事前に確認しておくことです。

また、忘れてならないのは、「NISAは元本を保証する金融商品ではない」ことです。

購入した金融商品は、値下がりのリスクも当然のことですが伴います。

しかし、一旦、新NISA口座を開設し、投資を始めてからは、購入した金融商品の値動きに一喜一憂しない少しの覚悟、少しの勇気と心の余裕が必要かもしれません。

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