2024年から新しいNISAが始まります。
生涯非課税投資枠として1,800万円もの金額を非課税運用できるとても素晴らしい制度です。
しかも期間も無期限。
投資をするなら使わない手はないといえるのが新NISAです。
書籍やYouTubeなどで大きく取り上げられていることもあり、これまで投資をしたことがない方でも「これを機に始めてみよう!」というブームが起きていることはうれしい限りです。
ですが大きく進化した新NISAとはいえ、良いところばかりではありません。
特にこれまで投資をしたことがない初心者ほど、良い面ばかりに目がいき、負の面を見逃してしまう可能性があると考えています。
新NISAはとても素晴らしい制度です。
良い制度だからこそ、しっかりと理解して活用していただきたい。
そんな思いから今回は「忘れてはならない負の部分」について解説したいと思います。
特にこれから投資を始める方には、絶対に知っておいていただきたい内容となります。
新NISA積立「予約受付開始日」発表! 改めて積立設定しておかないと損することも
新NISAでもリスクがあることに変わりはない
2024年から新しく生まれ変わるNISA。
現行NISAと比べて投資可能額、期間ともに大幅に改良されることとなりました。
現行つみたてNISAでは年間40万円×20年間=最大800万円の非課税枠がありました。
現行一般NISAでは年間120万円×5年間=最大600万円の非課税枠です。
これが新しいNISAではつみたて投資枠と成長投資枠の併用可となり、最大1,800万円もの大きな金額が無期限で非課税運用できる形となっています。
SNSなどでも大きく取り上げられており、世間の注目度も高いことがうかがえます。
人気の米国株や世界株は過去、長期で見ると成長し続けていたため、より早くより多くの資金を投資に回せた方が将来の利益も大きくなると、「いかに多くの資金を新NISAで投資するか」の議論が活発に行われています。
確かに長期的視点で見ると米国株や世界株は右肩成長、つまりなるべく早くに多くの資金を投入できた方が将来のリターンが大きくなるというのは正しい見方でしょう。
ですが、忘れてはならないのは
「非課税枠が大きくなったからといって、リスクが小さくなったわけではない」
ということです。
新NISAで投資できる商品に元本保証はない
新NISAで投資できる商品は、株式などの寄せ集めでできている投資信託やETFといった投資性商品です。
株式である以上、値動きがあります。
多くの方がご理解されているとは思いますが、預金とは全く性質が異なります。
当然のことながら、元本保証はありません。
仮に株価の暴落が起これば、資産も大きく目減りします。
耐えきれずに売却してしまったら負け確定、少なくなった資産が手元に返ってくることになってしまいます。
国が後押ししているからといっても、「安全なもの」ではありません。
あくまでも投資商品である、増えることもあれば減ることもあるということを忘れてはいけません。
積立投資はリスクを抑えた比較的安全な投資手法ではあるが、無リスクではない
投資初心者でも始めやすい投資として、積立投資があります。
これは毎月一定額を投資に回すことによって時間分散をかけ、価格が高い時も低い時も変わらず投資ができる手法です。
株価の高値掴みを避けることができ、また、安い時にも投資をすることができる手法として人気です。
相場の天井や底は誰にもわからないという考え方に基づき、どんな株価であろうが機械的に投資を続ける。
とても理にかなった投資手法だと考えております。
筆者としても積立投資を実践しておりますし、これから投資を始める方にもおすすめできる手法であることは間違いありません。
ですがこの積立投資とて、万能な投資ではありません。
あくまでも一括投資よりリスクが低く、再現性が高いという話です。
相場が上がり下がりを繰り返すことによって、その効果が発揮されます。
ずっと右肩上がりの相場であれば一括投資の方が断然リターンは大きくなりますし、そもそも右肩下がりの相場であれば積立投資でも大きな損失を抱えることとなります。
- 多くのインフルエンサーがすすめているから
- 安全な投資だと聞いたから
- 初心者にもおすすめだと聞いたから
と安易に飛びつくのは考えものです。
どんな投資でも投資である以上、必ずリスクがあります。
違いはそのリスクの大小で、リスクがゼロになるということはありません。
皆さんが一生懸命貯めた大切な資産、投じるからにはしっかりとリスクは把握しておきたいものです。
リスクを理解しているからこそ続けることができる
積立投資で大きな利益を得るためには、何よりも「続けること」が重要です。
しっかりとリスクを理解しておらず、暴落相場の時に含み損に耐えられず、狼狽売りしてしまっては元も子もありません。
しっかりとリスクを理解さえしておけば続けることができたかもしれないのに、理解できていなかったがための損失。
とても残念です。
相場に暴落、暴騰はつきものです。
特にこれまで投資をしたことがない方にとっては、その値動きに慣れることから始める必要があります。
米国株も世界株も例外なく暴落、暴騰を繰り返して今の株価があるのです。
短期的な値動きに一喜一憂することなく、将来を見据えた投資を行う必要があります。
不安であれば、無理せず少額から始めましょう。
新NISAでは非課税投資期間は無期限です。
あせらなくても非課税枠は逃げません。
周りの声に振り回されることなく、自身のペースで始めてみるのも大切なことだと考えます。(執筆者:FP技能士2級、証券外務員1種 冨岡 光)