2024年春にVポイントとTポイントが統合され、新たなVポイントとなります。
統合の際、終了が予想されるTポイント側のサービスに、電子マネーの「Tマネー」があります。
使っている人が少なく、また決済インフラに乗っていない、孤立したシステムも時代遅れです。
継続する理由がない決済方法ですが、Vポイント側にも類似のサービスがあります。
「Vポイントの決済利用」です(現状、確固たる名称が存在しません)。
少々わかりにくいこのサービスに、「Vマネー」という名称が新たに付けられ、Tマネーの要素が引き継がれるのではないかと予想しています。
本記事はあくまでも、予想を書いたものです。
予想が外れても最大限役立つよう、Vポイントの現況はお伝えします。
10/10でd払い(iD)が新規申込終了 期限内の手続きか、「dカードのiD」へ乗り換えを
世界一短い「Tマネーとはなにか」
QRコード決済の前から存在するのに普及しておらず、消える見込み濃厚なサービスについて深く知る必要はないでしょう。
Tマネーを最速でご紹介します。
・Tマネーは(プリペイド式)電子マネー。事前にチャージしてその範囲で利用する
・電子マネーとはいうが、Tポイントアプリで支払う際はバーコード決済
・クレジットカードチャージ(=オートチャージ)可能なカードは、Tカード機能のあるカードのみ
・Tポイントからもチャージ可
・加盟店店頭での現金チャージも可
・ペイディで後払いチャージも可
・使えるお店が非常に少ないまま推移してきている
・決済時のポイント還元率がわずか0.2%と低い(Wポイント手段にしては利用価値が乏しい)
Wポイントなどわずかなメリットも、QRコード決済等後発サービスがほぼカバーしてしまっています。
いっとき底を見たTポイントの、終わったイメージを強化している存在かもしれません。
Vポイントのチャージ機能がVマネーになる?
Vポイントは三井住友カードのポイントプログラムです。
Vポイントの決済利用は、電子マネーというべきものであり、Tマネーにやや似ています。
Vポイントの電子マネー機能が、廃止するTマネーの受け皿として説明されるのではないか(実際に引き継がれるものはなにもない)と予想しています。
三井住友カードを使うとVポイントがたまりますが、このVポイント、実質2種類あります。
(1) クレジットカードのポイントプログラム
Vポイントアプリ上では「Vポイント(移行前)」と表示されています。
(2) Vポイントアプリで決済に使うポイント(チャージができて、実質電子マネー)
(1) でたまったポイントを決済に使うためのものですが、これを的確に示す用語が現状ありません。
- WAON POINTに対する電子マネーWAON
- nanacoポイントに対する電子マネーnanaco
をイメージするとやや近いかもしれません。
(2) に「Vマネー」という名称を与えるだけで、たちどころにわかりやすくなるはずです。
さらにもう1種類、Vポイントの「素」があります。
(3) Vポイントアプリにチャージできる「ギフトコード」
当初プリペイドバリューと呼んでいましたが、いつの間にかギフトコードに名称が変わっています。
仕組み自体は多くの電子マネーやプリペイドカードにもあるもので、Vポイントアプリにチャージして利用できるギフトです。
入会時等、キャンペーンでもらえるポイントは、(1) 〜(3) すべての場合があります。
価値は同一です。
仮称Vマネーは電子マネーの性質を持つ
Vポイントのうち電子マネー部分に「Vマネー」という名が与えられると予想しました。
以下、現Vポイントから統合後も引き継がれるであろう電子マネー部分を「仮称Vマネー」と呼びます。
仮称Vマネーはバーチャルカードで利用
仮称Vマネーは、Vポイントアプリで設定されるバーチャルカード(デジタルカード)で決済します。
この仕組みにより、Apple Pay、Google Payで利用できます(タッチ決済またはiD)。
電子マネーより「デジタルプリペイドカード」のほうが正確かもしれませんが、現Tマネーが電子マネーを名乗っていることを思えば、電子マネーでもいいでしょう。
三井住友カードのラインナップにすでに、プリペイドカードが存在している理由もあります。
新生Vポイントの野望につき、予測を元に明らかにしていきます。
新生Vポイントの野望とは
統合後のVポイント陣営は、仮称Vマネーにより、共通ポイント界で圧倒的な地位を占めようと考えているに違いありません。
公式リリースの記載はいささか漠然としていますが、これを踏まえて野望は次の通りと思われます。
- 上流(カード決済、ポイント提示)から下流(ポイント利用、交換)までをスマホ操作だけでワンストップ提供
- 非三井住友カードユーザーも、予備軍として新生Vポイントに導く
- タッチ決済が、QRコード決済から地位を奪う
具体的に見ていきます。
10月開催のドトール×Vポイントキャンペーンにヒントがある
2023年10月は、ドトールコーヒーでのキャンペーンが3種類重なりました。
(1) Tポイント提示で1回100ポイント、最大1,000ポイントもらえる(400円以上の決済)
共通ポイントを提示するキャンペーンです。
(2) 三井住友VISAカードスマホタッチ決済で10%上乗せ還元
決済方法についてのキャンペーンです。
ドトールコーヒーは三井住友カードの特約店で、日頃からスマホタッチ決済で7.0%以上の還元があります。
キャンペーンでさらに上乗せを行うことで、日頃の行動をパターン化して欲しいわけです。
(3) Vポイントのタッチ決済で10%還元
(2) と同様で、決済方法についてのキャンペーンでが、いささか不可解な点があります。
(2)に参加できない三井住友Mastercardユーザーには役立ちますが、多数派のVISAユーザーにとっては、(2) を使い終わって(上限還元1,000ポイント…決済ベースで1万円)からでないと、意味がありません。
(1) と(2) 、(1) と(3) は併用できます。
(3) の「Vポイントのタッチ決済で10%還元」をなぜやるかに、新生Vポイントの戦略がうかがえます。
Vポイントを、クレジットカードと切り離しても確固たる地位の存在にしたいのでしょう。
そしてそのためには、仮称Vマネーにも大きな意味が求められます。
仮称Vマネーは、現状でも実は他社カードからチャージが可能です。
今回の3のキャンペーンにも、チャージ時の手数料204円はありますが、他社クレジットカード(VISA、Mastercard)からチャージして参加できます。
他の共通ポイントと異なり、電子マネーというポイント利用法がある
共通ポイントは、決済に使えるのも特徴です。
ただし、ポイントのまま使う場合、加盟店でしか受けつけてくれません。もう少し、汎用性の高い利用法が求められます。
他の共通ポイントには、キャッシュレス決済と組み合わせたこのような使い方があります。
- (現)Tポイント … PayPayポイントへ移行
- 楽天ポイント … 楽天Edyにチャージ/楽天ペイで決済
- Ponta … au PAYにチャージ
- dポイント … d払いで決済
これに対抗する新生Vポイントの決済用ツールが、仮称Vマネー(電子マネー)です。
現TポイントからのPayPayポイント移行ルートが残るかどうかはわかりません。消滅の可能性もあると思っています。
それでも、Apple PayやGoogle Payで使える仮称Vマネーがあれば、ポイント利用の対抗手段として心強いものでしょう。
タッチ決済そのものの地位を上げていくこともにらんでいると思われます。
仮称Vマネーの全体像
新生Vポイントの電子マネー部門の全体像を想像込みで展望します。
なお「電子マネー」という用語はTマネーから引き継がれると推測していますが、残らないかもしれません。
「プリペイド」でもなく、なにか新しい用語が登場するかもしれません(失敗例多数)。
ともかくも、用語より本質を見極めたいものです。
・三井住友カード利用でVポイントがたまる(現状まま)
・他社カードからVポイントに移行(現Tポイント)
・VポイントからWAON POINTに移行(現Tポイント)
・VポイントからPayPayポイントに移行(現Tポイント…消滅するかも)
・Vポイントを三井住友カード代金にキャッシュバック(現状まま)
・Vポイントを仮称Vマネーにチャージする(現状まま)
・三井住友カードから仮称Vマネーに無手数料でチャージする(現状まま)
・他社カードから仮称Vマネーにチャージする(現状まま)
・仮称VマネーをApple Pay、Google Payで決済する(現状まま)
・仮称Vマネーを利用するとポイントが付く(予想)
現行Tマネーが存続し得ないのは明らかです。
特定店舗でしか使えないTマネーと、タッチ決済またはiD加盟店で使える仮称Vポイントマネーでは、仮称Vマネーの比較対象にもなりません。
Tマネーにわずかにあったメリット「決済時0.2%のポイント付与」が残るかもしれないと考えます。
QRコード決済と対抗するためには、0.5%程度のポイント付与は必要かもしれません。
三井住友カードからのチャージ利用は曲がり角
現状でも、三井住友カードから無手数料で仮称Vマネーにチャージ可能です。
「タッチ決済またはiD加盟店で使える、プリペイド式電子マネー」という、他に例のない存在となっています。
ですがチャージ時還元率が通常の半分、0.25%と押さえられています。
・チャージ時還元率は「0.25%⇒なし」
・仮称Vマネー利用時に0.5%のポイント付与
これならかろうじて存在感が出るでしょう。ただ、まだまだ足りません。
Wポイント(チャージと利用、双方でポイントがたまる)なら活躍することは間違いないですが、これは新生Vポイントの戦略次第です。
未成年にVポイントアプリを解放し、保護者から「送金」ができればQRコード決済にも対抗できます。
他社クレジットカードからのチャージ利用は未知数
現Vポイントにおける電子マネー部分も、他社カード(VISA、Mastercard)からチャージして利用できます。
手数料1回204円が掛かる以上、このような使い方をしている人はほぼいないと思われます。
ただし前述のドトールコーヒーキャンペーンなど、手数料を埋め合わせるプラスがある場合は別です。
ただそれ以外での使い道はあまり考えられません。
あるとすれば、「スマホタッチ決済のできないカードを決済原資にして、どうしてもタッチ決済に使いたい」ぐらいでしょうか。
ただし仮称Vマネー利用時にポイントが付与されるようになると、著しく変わります。
当初はWポイント、やがて、
という、よくある流れに乗ることになります。
新生Vポイントは期待大だが、落とし穴もある
現状のVポイントとTポイントが統合される新生Vポイントポイントは非常に楽しみな存在です。
ただし、恐らく現状の「Tマネー」を廃止して新たに名前が与えられると思われる(予想「Vマネー」)にも、課題が山積みです。
このままでは、カードチャージのユーザーは増えないでしょう
仮称Vマネー利用時にポイントが付くようになることを期待しています。(執筆者:金融系ライター 沼島 まさし)
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