高齢になってくると身体が思うように動かなくなり、ちょっとした困りごとが増えてきます。
今回は、高齢者の日頃の困りごとの助けになる社会福祉協議会の事業を紹介します。
介護保険だけが介護サービスではありません。
地域の資源を有効活用して、無理なく介護費用の節約につなげていきましょう。
【高齢者の窓口】介護だけじゃなく、金銭的な困りごとでも相談できる「社会福祉協議会」
高齢者のちょっとした困りごとは社会福祉協議会に頼める?!
例えば、転倒の恐れがあるから布団が干せなくなったり、持病があるひとり暮らしの高齢者の方など何かあった時に緊急通報ができるのかという不安が出てきたりします。
また、家族とお墓参りや旅行をする際には、急な坂や長距離歩くことがある可能性があると予想して、行こうという思いがそがれてしまい、家族との貴重な思い出を作る機会が失われてしまいます。
社会福祉協議会が行っている事業では、そのようなちょっとした困りごとを無料や安価な料金で解決することができます。
社会福祉協議会(以下:社協)とは、民間の社会福祉活動を推進することを目的とした、営利を目的としない民間組織です。
お住まいの市区町村にもあり、いろいろな事業を行っています。
営利を目的としない組織ですので、無料や安価な料金の事業が多いのが特徴です。
社協は、身近にありいろいろな事業を行っていますが、ボランティアを募集しているところ、生活に困っている人を助けているところ等のイメージがあるのではないでしょうか。
自分には社協は関係のないところと思っている方もいると思いますが、社協の事業は高齢者の生活を手助けするものが多いです。
社協の事業は、困りに困って利用するものではなく、ちょっと困ったが起こった時から利用することができます。
実際に、社協が行っているちょっと困ったを解決する事業を紹介します。
ちょっとした困りごとを解決する事業
社協の日常生活のちょっとした困りごとを解決する事業を恵庭市と越前町の事例で紹介します。
事例1:ひとり暮らし高齢者等緊急通報システム事業
ひとり暮らしで、日常生活に支障がある高齢者などの、いざという時の不安を解決する「ひとり暮らし高齢者等緊急通報システム事業」を行っています。
毎月300円で、急病などの緊急通報ができる携帯端末を高齢者などに貸し出してもらえます。
ココがお得
緊急通報システムは、スマートフォンや警備会社のプランなどを利用することで代替できますが、月額300円で利用することは、難しいです。
参照:社会福祉法人恵庭市社会福祉協議会 ひとり暮らし高齢者等緊急通報システム事業
事例2:寝具洗濯乾燥消毒サービス
ひとり暮らしの高齢者で、布団などが干せなくて悩んでいる方に、1回3,140円までは自己負担なしで、年2回まで利用可能です。
掛け布団や敷き布団、こたつ布団などが対象です。
利用を開始するには、地区担当の民生委員の意見と印が必要です。
ココがお得
寝具の洗濯乾燥消毒もクリーニングに出せば可能ですが、一定の料金まで無料というわけには、いきません。
参照:社会福祉法人 越前町社会福祉協議会 在宅福祉サービス 寝具洗濯消毒サービス
事例3:一時的に車いすの貸出
一時的に車いすなどの福祉用具が必要になった方に無料で貸し出しています。
貸出期間を1年以内とし、車いすやシャワーチェアーなどの貸出を行っています。
4週間以上の貸出を希望する方が介護保険などで福祉用具貸与の利用が可能な場合は、利用対象外となりますのでご注意ください。
ココがお得
車いすやシャワーチェアーなどは、家に高齢の方が泊りに来た時や旅行に行く時など、何日間か利用したい時があります。
ホームセンターで購入する方法もありますが、利用し終わった後、片付けて保管しておくのもひと手間です。
社協の日常生活の不便を解決する事業は、お得に手助けを受けられる事業と言えます。
参照:社会福祉法人 恵庭市社会福祉協議会 社協の事業 福祉用具貸出事業
介護事業も担っています
社協では、介護が必要になった場合の介護事業も行われています。
主に、ヘルパーが家に来て家事の支援や入浴などの身体の介助を行ってもらえる訪問介護やケアマネージャーが相談に乗ってもらえたり、ケアプランを立ててもらえたりする居宅支援が設置されています。
本格的な介護が必要になっても頼れる部門があることで、困ったら社協に聞いてみようと言う気持ちを持って、生活の不安が軽減できるのではないでしょうか。
いつも利用していた社協を介護でも利用すると、今までの情報を社協内で共有できますし、事情を分かってもらえていると、介護で話しにくいことも話しやすくなります。
ケアマネや訪問介護などは、家族や本人と自宅で密にかかわっていく介護の専門職です。
家の事情を家族と共有できていた方が、良いケアができます。
初めての人には話しにくい内容であっても、今まで利用していた社協の別部門であれば、話しやすいのではないでしょうか。
サービス導入に消極的な方も、利用していた社協に関わりのあるサービス事業所と分かれば、サービスの受け入れが良くなる可能性もあります。
社協は、高齢者の日常生活上のちょっと困ったを安価で解決するだけではなく、介護が必要になっても、頼れる組織です。
高齢者の生活にとって欠かせないもの
社協のそんな事業は知らなかったと思われた方も多いのではないでしょうか。
社協の窓口は、地域の方々に向けて開かれています。
高齢者の生活で困ったが身近な社協で、お得に解決できるとなれば、うれしい限りです。
困ったをそのままにせず、解決することは高齢者の生活の安心や安全につながります。
ひとり暮らしの高齢者の生活に関わる人が増えると、見守りの目が増えることになり、本人が気づかない変化を家族に伝えてくれることもあります。
社協の事業は、高齢者の生活にとって欠かせないものと言えます。
今回紹介した事業以外にも社協にはさまざまな事業がありますので、お住まいの市区町村の社協に確認してみましょう。(執筆者:現役老人ホーム施設長 佐々木 政子)
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