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過度な相続税対策は裏目に出ることもあるので要注意 その3つの理由を解説


相続税の納税額を抑えることができれば、その分だけ財産を多く引き継ぐことができます。

しかし、相続税対策は状況に応じて適度に実施するのが望ましく、過度に対策を講じてしまうと、相続税の支払いが多くなってしまう可能性すらありますので注意してください。

過度な節税対策はかえって裏目に出ることも

相続税の申告手続き、他の税金とは違う「3つのポイント」

1. 相続が順番通りに発生するとは限らない

家族構成が夫婦と子の場合、寿命の長さで考えると夫婦の相続の後に子の相続が発生します。

男女では男性の方が平均寿命は短いので、多くのご家庭では「夫⇒妻⇒子」の順番で相続する可能性が高いです。

相続税対策としては、相続財産を減らすために夫が保有する財産を生前に妻や子へ渡す方法が一般的ですが、相続の順番が必ずしも寿命通りに発生するとは限りません

贈与税の特例等を活用して夫から妻に財産を移動した場合、夫の相続財産は減少し、妻の財産は増加します。

夫が先に亡くなった場合には生前贈与したことによる相続税の節税効果を得られますが、妻の相続が先に発生してしまうと、渡した贈与財産も相続税の課税対象となるので注意が必要です。

2. 相続税以外の税金が負担になることもある

相続税対策として生前に財産を移動させるのは、効果的な節税手段のひとつです。

不動産を生前に贈与すれば相続税の対象から除くことができますが、生前贈与は贈与税の課税対象です。

贈与税の特例制度等を活用して、非課税で贈与する方法も存在します。

ただ不動産の贈与の場合には贈与税だけでなく、登記手続きをする際にかかる登録免許税や不動産取得税の課税対象となります。

登録免許税は登記する原因によって適用される税率が定められているのですが、贈与登記は相続登記よりも税率が高いです。

また不動産を相続で取得した際には課されない不動産取得税は、贈与で不動産を取得したときは課税対象となりますので、相続のタイミングで不動産を取得した方が税負担は軽いです。

3. 相続税関係の法律は毎年改正されている

相続税は、相続が発生した時点の法律に基づき計算することになります。

税金に関する法律は毎年改正されており、税制改正の内容次第では現在の相続税対策が無駄になってしまうことも考えられます。

将来的な話なので相続税が今後増税と減税のどちらに傾くかはわかりませんが、直近10年における状況は増税傾向です。

増税する方法は適用税率の引き上げや基礎控除額の減額だけでなく、特例制度の適用要件の厳格化および特例制度自体の廃止などさまざまです。

現時点で利用できる見込みの特例制度も、相続開始した時点では制度が廃止となって利用できない可能性もありますので、相続税対策は状況に応じてその都度調整しなければなりません。

税制改正は毎年行われている

相続税対策は費用をかけずに計画的にやるべき

相続税対策は、手元に残るお金を多くするために行いますので、対策のために多額の費用を支払うのは本来の趣旨から外れる行為です。

相続税には基礎控除額がありますので、相続財産が基礎控除額以内に収まるのであれば基本的に相続税対策は不要です。

そのため対策を講じる前に全財産がどの程度あるのかを把握していただき、基礎控除額を超えた場合に具体的な対策方法を検討してください。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)

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