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【マイナ保険証のカラクリ】「健康保険証」の廃止など、とんでもない!


今ある「健康保険証」が、来年秋には廃止され、代わりに、「マイナンバーカード」の電子証明の1つ「マイナ保険証」が義務化されます。

本連載では、昨年、「マイナ保険証」をつくらなくてもいい5つの理由ということで、いかに不便かということを書きましたが、利用者の不便など考えず、話はどんどん進んでいます。

4月27日には、「健康保険証」を廃止する法案が衆議院を通過しましたが、なぜ、政府はそんなに急いでいるのでしょうか。

理由は、簡単です。

全国民の個人情報を政府が把握するには、「健康保険証」廃止して「マイナ保険証」を義務化するのが、最も手っ取り早い方法だからです。

本当に大丈夫?「健康保険証」の廃止

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「マイナンバー」と「マイナンバーカード」は別物です

マイナンバーは、全国民に強制的に割り振った背番号のようなものですが、この番号だけでは、個人情報の収集はできません。

そこで、「マイナンバーカード」を発行し、ここにICチップをつけて、個人情報を把握できるようにしました。

中間とりまとめ資料

 

上の図は、令和5年2月24日「マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会」の中間とりまとめ資料です。

これを見ると、マイナンバーは法律でやたらに利用することはできないけれど、ICチップでは、さまざまな個人情報とリンクするだけでなく、国が認めれば民間企業もこの情報を広く利用でき、さらに空き領域も民間利用が可能になっています。

つまり、「マイナンバー」だけで個人情報の収集や民間利用はできないけれど、「マイナンバーカード」なら、これができます。

カードにICチップが付いているからです。

ただ、「マイナンバーカード」は、顔写など個人情報が入っているのでプライバシーの問題があり、国民全員に強制的に持たせることが法律でてきません。

そこで「強制ではない」このカードを、強制的に全国民に持たせるために考えたのが、今ある保険証を廃止して「マイナ保険証」を義務化すること。

ですから、「マイナンバーカード」をつくるのは「任意」ですが、このカードがなくてはできない「マイナ保険証」は義務という、なんだか本末転倒なことになってしまっています。

「任意」のカードをつくらせるため、「健康保険証」なくすなんて!

では、ここまでして、なぜ政府はカードをみんなにつくらせたいのか。

それは、下の厚生労働省の資料を見ていただくと一目瞭然です。

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政府が将来像として描いているのは、個人情報がすべて見られるプラットホームをつくること

表の「全国医療情報プラットホーム」はその1つで、個人の医療情報や介護情報がすべて見られます。

同様に金融資産や借金の状況など、さまざまな個人情報が、すべてマイナポータルから見られるようにしたいと同時に、国が把握したいということです。

表の左下の「PHR事業者」というのは民間企業。

つまり、官民でみなさんの個人情報を活用していくということです。

心配なのは、個人情報ダダ洩れの日本で、大切な個人情報が守られるのかということ。

すでにマイナンバーの情報流出やカードのトラブルは多々起きていて、医療界では昨年だけでも全国39箇所で情報漏洩を含むトラブルが発生

厚労省でも難病患者5,640人の個人情報を流出していて、今回、オンラインの回線を独占的に使うことになっているNTTデータなどは、昨年、医療機関から患者約9万5,000人の医療情報を不適切に取得する事件を起こしています。

極めつきは、データ管理の要であるはずのデジタル庁で、「GビズID」の個人情報が漏洩するという驚くべき事件が起きています。

ハッキングで個人情報が漏れても、政府の責任ではない?

日本よりもはるかにIT先進国のシンガポールでは、2018年に公的な医療情報がハッキングされ、リ・シェンロン首相をはじめとした150万人ぶんの医療情報が漏れて大騒ぎになりました。

なぜ、医療情報をハッカーが狙ったのかといえば、高値がつく情報だからです。

たとえば、少し前にプーチンの「ガン説」が流れましたが、もしこれを裏付けるような医療情報が手にはいれば、ウクライナの戦況も大きく変わることでしょう。

マイナポータル規約24条では、

「マイナポータルの利用に当たり、利用者本人又は第三者が被った損害について、デジタル庁の故意又は重過失によるものである場合を除き、デジタル庁は責任を負わないものとします」

とありますが、もし、「デジタル庁の故意又は重過失」ではないハッカーの攻撃での情報流出なら、政府は責任を負わないということでしょうか。

こうした杜撰で無責任な情報管理を見ると、なんだか、「原発はどんどんつくりますが、事故が起きても責任取りません」というのと同じ構図という気がして、なんだか怖くなります。(執筆者:経済ジャーナリスト 荻原 博子)

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