4/10〜4/14の5日間で約350社が決算を発表した。
筆者は毎日、発表される全ての決算に目を通している。
先週1週間だけの決算を見てみても、恐るべき成長を遂げている企業の存在を存分に感じられた。
今回の特集では、先週発表された決算の中で特に期待できると感じた5銘柄
- トレジャーファクトリー (3093)
- パルグループホールディングス (2726)
- コメダホールディングス (3543)
- ファーストリテイリング (9983)
- プログリット (9560)
について解説していきたい。
銘柄選定や投資戦略を立てる上で、企業業績の考え方や決算の見方など、参考にしてください。
※投資の最終判断は自己責任です。
株投資で10万円をいかに増やせるか? 実際にやってみました~第3回~
1.トレジャーファクトリー(3093):本決算 4/12発表
企業概要
首都圏でリサイクル店を展開し家電・家具・雑貨など品揃えは多彩。専門店も展開している。
決算ハイライト
前期比で大きな増収増益の実績を出し、コンセンサス予想に対しても上振れ着地。
今期の見通しも過去最高業績更新を予想し、増配も発表。
2024年〜2026年の業績を対象にしている中期経営計画を上方修正を行った。
キャッシュフローについても営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフローともに大きく成長している。
(中期経営計画修正の件 より引用)
株価チャート
決算翌日から火柱2連発となった。
(2023年1月からの日足チャート)
解説と見解
個人的には先週見た決算の中でズバ抜けて良い決算だったと考える。
中古屋やリサイクルショップと言われる事業の特徴は営業キャッシュフローマージンの低さであった。
過去3回の決算においても同社の営業キャッシュフローは良くなってはいるが、そのマージン率は3%前後であった。
今回はそれを大きく倍増した6%を越える内容を出してきた。
業績はいつもコンセンサスを超えて通過しても、本決算の着地見通しは、コンセンサスよりも低く、控えめな見通しであったのに対し、今回は新年度の見通しも大きくコンセンサス予想を越えてきた。
業績実績はコンセンサスを上振れした数字を出したことはもちろん、リサイクルショップの弱みとも言える営業キャッシュフローマージンを大幅に改善させ、新年度の通期見通しも、今まで越えることができなかったコンセンサス予想を超過した数字を出してきた。
この時点で「これ以上、何を出せばいいんだ」と思えるほど良い決算と考える。
しかしながら、同社はそれらに加え、
・増配
・中期経営計画の上方修正
まで出してきた。
この決算内容を精査し終えた後、全財産ぶっこんでも全く惜しくないほどの自信を感じ、当然、翌日から可能な限り全力でリスクを取った。
そのくらいの気持ちを持たせてくれた、稀にみる好決算内容だったと考える。
2.パルグループホールディングス(2726):本決算 4/11発表
企業概要
10~20代向けファッション衣料、雑貨で多ブランド展開。
雑貨店「3COINS」が拡大。
決算ハイライト
前期比で大きな増収増益の実績を出し、コンセンサス予想に対しても上振れ着地。
今期の見通しも過去最高業績更新を予想。
財務内容、キャッシュフローも非常に良くなっている。
株価チャート
決算翌日は寄付きこそ高かったものの、陰線を付け、前日割れにまでなったが、その翌日からは火柱噴出し、高値更新。
(2023年1月からの日足チャート)
解説と見解
同社の決算も前述したトレファク同様、文句なしの好決算だったと言える。
しかし、同社のリスクを把握しておくことが大切だと考えている。
300円ショップといわれる3COINSが有名だが、同社には他にも数十にもわたるブランド展開がされている。
正直、これら一つ一つの業績や動向を把握することは難しい。
全体として良い数字であればそれでいいという考え方もあるが、柱となる事業の推移は監視しなければならないだろう。
値動きの癖にも特徴がある。
今回同様、前回の1月発表の3Q決算も素晴らしい内容の決算であったが、前回の株価の動きは、決算発表から3日間下落し、上昇に転じたのは4日目からであった。
今回の決算も、決算翌日、下落した。
しかしながら、3Q決算後の教訓があったので、握り続けた。
幸い翌日から上昇に転じたが、好決算でも下落することがある銘柄、ということだけは頭の隅に入れておくと良いかもしれない。
3.コメダホールディングス (3543) :本決算 4/12発表
企業概要
注文した商品が写真より大きく見えるという「逆写真詐欺」で有名なコメダ珈琲店チェーンを運営。
決算ハイライト
前期比で売上+13.6%、営業利益+9.8%、経常利益+11.5%、最終益+9.9%という内容を見ると劇的な派手さは感じないが、堅調な業績成長と言える。
コンセンサス予想に対して、売上、経常利益は上振れ通過となった。
営業キャッシュフローは前期比で大幅に改善し、営業キャッシュフローマージンは27.1%という素晴らしい内容。
自社株買いと2026年2月に向けた中期経営計画の上方修正を行った。
(2023年2月期 通期連結決算説明資料 より)
株価チャート
決算翌日は前日比10%を超える暴騰となった。
(2023年1月からの日足チャート)
解説と見解
先に紹介した銘柄ほどの劇的な増収増益という内容ではないが、堅調に前年を上回る実績で増収増益した。
筆者が注目したのは累計実績での増収増益以上に、4Q単独で見た時の業績成長である。
この直近の単独Qで対前年業績を見た場合、前期比50%を越える営業利益成長、経常利益成長であることがわかる。
累計業績
(株探 より)
単独業績
(株探 より)
1月に発表した3Q決算においては前年比で、営業キャッシュフローが前年割れし、コンセンサス予想についても下振れしていた。
それを受けて今回の決算であったので、良い意味でのサプライズは大きかったと考える。
自社株買いと、2026年2月に向けた中期経営計画の上方修正も良いサプライズとなり、株価は爆騰したと考える。
4.ファーストリテイリング (9983) :上半期決算 4/13発表
企業概要
SPA大手で世界3位。「ユニクロ」「ジーユー」「セオリー」などを展開。
SPAとは
SPAとは、Speciality store retailer of Private label Apparelの略称で、「製造小売業」と呼ばれる垂直統合型のサプライチェーンモデルを指す。
もともとはアパレル業界発のビジネスモデルから始まったもの。
決算ハイライト
対前年比で売上+20.40%、営業利益+16.40%は、この規模の企業で考えれば、なおさらに素晴らしい成長と言える。
経常利益についてもコンセンサス予想を10%以上の上振れ通過をし、通期業績に対しての上方修正発表と増配発表も圧巻のサプライズと言える。
株価チャート
決算翌日は、前日比+8.49%で、窓を開けての大暴騰となった。
(2023年1月からの日足チャート)
解説と見解
1月に発表した1Q決算では利益が前年割れし、コンセンサスも下振れしたことから、完全に終わったと感じる内容だったので今回の決算は良い意味でサプライズとなった。
1Qのダメ決算があったことを受けて、コンセンサス予想も低くなっていたことから、今回はそれを大きく上振れすることとなった。
通期業績の上方修正、増配も好感される内容であり、
時価総額がたった1日で8,000億円ほど上昇したと考えると、このインパクトの凄さは伝わるだろう。
筆者もこの決算を見た直後に「これは全力で攻めるべき銘柄!」と感じた。
5.プログリット (9560) :上半期決算 4/14発表
企業概要
2022年9月に上場し、英語コーチングサービス、サブスクリプション型英語学習サービスの提供を手掛ける。
決算ハイライト
昨年9月IPO銘柄だけに前年データがなく、成長度合いを見れない状況なので個人的にはまだ様子見したい銘柄ではあるが、通期会社計画も順調に遂行しており、キャッシュフローも良好。
売上、利益ともに上方修正しているところを見ると、業績の成長は確実であることを感じる。
(2023年8月期第2四半期決算説明資料 より)
株価チャート
4月17日はストップ高で取引終了となり、4月16日9:40現在も株価は高騰しています。
筆者コメント
業績は堅調に成長していると考えられる。
財務内容も、例えば「自己資本比率が27%から42%になった」などからも良い兆しが感じられる。
注意点
2022年9月にIPO銘柄ということで、株主とロックアップ条件を確認してみると、多くの株主が180日縛りとなっており、それが先月の3月で縛りが切れることとなる。
今後プライム市場を狙っていくとすると、流動性比率の条件的にも岡田社長、または筆頭株主に名を連ねる資産管理会社の売りがどこかで入っていくことは想定しなければならない。
業績的には飛びついて買いたい気持ちが出る銘柄ではあるが、業績の好調さだけでは迂闊に飛びついてはいけない銘柄の典型例と言うことで、最後に記しておく。(株-1グランプリ優勝者 古賀真人)
※本記事は銘柄の売買を推奨するものではございません。投資の最終判断は自己責任です。
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