周囲の友人が年金機構から年金の請求書が続々と届いているにも関わらず私には一向に届かないという相談事例があります。
例えば一度も年金制度に加入したことがない(終始海外に赴任していた)という例外的なケースであればあり得ますが、これはそこまで多い事例とは言えません。
今回は年金の請求書が届かない場合の対応について解説します。
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「年金請求書」が届かない
≪画像元:日本年金機構(pdf)≫
ある程度の期間年金制度に加入しているにも関わらず「年金請求書」が届かない場合、日本年金機構に登録されている住所と現住所が相違している可能性があります。
請求にあたっては必ず送付されてきた請求書を使わなければならないということではなく、年金事務所に備え付けられている様式と同じであるため、大きな問題にはなりません。
それよりも今後も書類が届かない可能性があるため、早めに年金事務所に問い合わせておくのが無難です(請求書は日本年金機構のホームページからもダウンロード可能です)。
放置しておくことの最大のデメリットは年金の時効にかかってしまい、受け取れない年金が発生してしまう可能性です。
年金は傷病手当金等と異なり、時効は5年と長く定められています(傷病手当金は2年)。
これは金額が大きいことあり、万が一請求が遅れたことによって受け取れない分が発生したときのデメリットが大きいためと言われています。
労働基準法上でも残業代として請求できる時効は3年(将来的には5年になる)に延長していますが、年金と同様に金額が高額になりがちな退職金は5年とされています。
請求書が送られてきていなければ、年金受給資格の要件を満たしていないために送られてきていないと考えます。
しかし平成29年8月以降は旧来「25年」必要であった受給資格要件期間(端的には年金を受け取るのに必要な期間)が「10年」に短縮され、多くの方が要件を満たすように改正されています(10年のみの加入では年金額は低額になってしまいます)。
あわせてチェックしておきたいこと
現在付番されている基礎年金番号は平成9年1月から始まった制度です。
それまでは国民年金、厚生年金の制度ごとに番号が割り振られていました。
その後統合作業が行われ、中には統合されていない番号もあることが明らかになっています。
例えば手元に複数の年金手帳があるという場合は、その代表的な例で、統合されているか否かを年金相談時に確認しておくのが適切です。
未統合と思われる記録の有無は年金相談時に年金事務所側からも開示がありますが、別人の記録を統合してしまった場合は大問題になるので、ある程度慎重な対応となります。
その際に、当該年金手帳を提示することで本人確認が取れるということです(本人以外には持ち合わせているとは思えないため信憑性がある)。
基礎年金番号通知書とは
令和4年4月以降に初めて年金制度に加入する方には年金手帳は発行されず、「基礎年金番号通知書」という書面が発行されるようになっています。
既に年金手帳をお持ちの方については基礎年金番号通知書の発行はされませんので、引き続き年金手帳を保管しておく必要があります。
「年金手帳」は令和4年4月以降、廃止されているために、再発行はされません。
紛失した場合、基礎年金番号通知書は発行可能となりますので、年金事務所で手続き後に郵送されます。
マイナンバーの普及により基礎年金番号を活用する機会は減ってきていますが、個人情報であることには変わり有りませんので注意が必要です。
本題である年金の請求書が届かない場合は(特に転居に起因するケースが多い)早期に年金事務所へ相談するのが肝要です。(執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾)
年金事務所への請求手続きとは別に請求手続きが必要となる「厚生年金基金」とは