老後の資産形成として脚光を浴びているiDeCoですが、単に年金を増やせるだけがメリットではありません。
今回はiDeCoの税法上のメリットについて解説します。
iDeCoの税法上のメリットとは
iDeCoは原則として国民誰もが加入できる「自分年金づくり」として注目を集めています。
NISAや通常の定期預金等とは異なり、原則として60歳までは引き出せません。
掛金額を決めるにあたっては誰もが慎重になる傾向です。
長い人生の中で、働き方が変わることは何ら珍しいことではないため、掛金額の変更や一時的に納付を中断すること(例えば育児休業にはったため)は可能です。
会社員であれば原則として毎年11月頃から職場にて年末調整の案内が始まるでしょうが、もちろん生命保険料控除等と同様にiDeCoの保険料も「小規模企業共済等掛金控除」として、所得控除の対象です。
自分年金づくりをしながら税法上の恩恵も受けられることを意味します。
このことのみでは民間保険会社等で扱われている個人年金であっても個人年金保険料控除として、所得控除はできるので、運用が自己責任となるiDeCoに固執する必要はないのではないかとの声もあります。
個人年金とiDeCoによる所得控除額の比較
長期的な目的は同じはずの個人年金とiDeCoによる所得控除額の比較をしてみましょう。
生命保険料控除の場合、上限は年間4万円となります。
これは毎月1万円の保険料を納めた場合、1万円×12か月で12万円の保険料を納める計算になりますが、生命保険料控除の上限は4万円に固定されているため、4万円となります。
会社員がiDeCoを始める場合、最低拠出金額が5,000円という制約はありますが、原則として月額2万3,000円(企業年金加入の有無で拠出額の上下動があり)となります。
掛金の全額が小規模企業共済等掛金控除として所得控除の対象になるため、節税効果のみを比較するとiDeCoの方が優れていると言えます。
年末調整や確定申告時の注意点
小規模企業共済等掛金控除として認められるのはご自身で加入するiDeCoの保険料です。
例えば家族を扶養するようになり、妻の国民健康保険料や国民年金の保険料を世帯主である夫が払った場合を検討します。
この場合、社会保険料控除として、年末調整や確定申告時に納めた保険料を含めて申告できますが、iDeCoの場合、自身で加入するiDeCoの保険料のみが小規模企業共済等掛金控除の対象なので、上限に余裕があるからと言って、含めて申告することはできません。
社会保険料控除とは考え方が異なりますので、混同しないように注意が必要です。
生命保険料控除の場合、契約者名義が妻であっても保険料を負担したのが夫の場合は夫の所得控除として扱え、医療費控除についても受診したのが妻であっても当該医療費を負担した(例えば夫)方の所得控除とすることは問題ありません。
その年が全て育児休業中で無給という場合、実際にはハローワークから育児休業給付金が支給されている場合でも当該給付金は非課税であるため、所得税や翌年6月から控除開始される住民税がゼロというケースもあります。
そのような年は実質的に税法上のメリットがないため、iDeCoの掛金の拠出を一時中断するなどの判断も必要です。
節税効果が魅力、申告は忘れずに
iDeCoについては加入者数が軒並み上昇傾向で老後の資産形成の代名詞になりつつあります。
運用についはあくまで自己責任であるため、必ず得をするということは言えませんが、節税効果については魅力があることは明らかです。
年末調整や確定申告時には誤解のないように(社会保険料控除等と混同しないよう)申告することが重要です。(執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾)
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