キャッシュレスの世界は刻々と変化していき、1年前の知識がもう古くなる状態です。
最先端の使い方をしているつもりで、すでにまったく得していない人も多いと思われます。
2023年のキャッシュレス決済、特に引き続き主役となるQRコード決済について、最新の戦略を整理し、そして各決済利用に優先順位を付けてみます。
あくまでも、2023年初頭の考え方です。
まったく新しいサービスが登場し、1年の途中で大きく変わることも予想されます。
その点はお含みおきください。
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主役は変わらずQRコード決済 還元率には注意
2022年と同様、キャッシュレスの主役は2023年もQRコード決済です。
クレジットカード直接決済や、電子マネーより活躍シーンも多くなりました。
小規模な店舗でも導入していることが多いのが特徴です。
ただ、QRコード決済を使って得になる理由が、若干変わってきています。
使う目的もシフトチェンジしていかないと、気づかないうちに損していることになります。
細かく見ていきましょう。
還元率は低下する一方だが、PayPayのみ朗報
QRコード決済の還元率は、すでに最低水準に落ちました。
ただし、PayPayについては還元率アップの朗報があります(2023年1月より)。
支払い方法により還元率が変わるので、確認しておきます
・ PayPayあと払い → 1.0%(改善)
・ PayPayカードをセットした決済 → 0.5%(※新規登録不可)
・ PayPay残高での支払い → 0.5%(チャージ時のポイント付与なし)
・ PayPay+他社カード(VISA、Mastercard) → 0%(カード独自の還元率のみ)
現在PayPayカードをセットして支払っている人は、必ずPayPayあと払いに切り替えましょう。
カードユーザーならすぐ登録できます。
PayPayあと払いに変えても、PayPayカードからの引落しの点に変更はありません。
カードを持っていない人も、PayPayカードを申し込む、あるいはPaypayあと払いだけ申し込むこともでき、それによって1.0%還元になります。
気を付けたいのは、PayPayあと払いを使ってたまったポイントを使う際は、PayPay残高での支払いとなるので0.5%還元となるということです。
ただ、「ポイント払いなのに0.5%つく」と考えれば、損した気にはならないはずです。
LINEクレカ(P+)で使うLINE Payなら還元率5.0%ただし月上限あり
2022年末に登場のLINEクレカ(P+)もおすすめです。
月500ポイントまで(1万円までの実店舗決済)という制限はありますが、月が替わってからすぐ、優先して使うと快適です。
d払いとau PAYの実質還元率ダウン
d払いとau PAYでは、Wポイントの消滅による実質還元率低下が起きています。
d払いは、dカードをセットしたうえで1.0%となり、還元率が低下しました。
PayPayステップのように、多く使うと翌月の還元率が上がるステップボーナスの仕組みができました(ドコモ携帯ユーザー限定)が、PayPayボーナスと同様にハードル高めです。
・ 「ギガホ」または「ahamo大盛り」の契約、およびd払い5回決済 → 0.5%加算
・ (一例)20〜49回の決済 → 0.5%加算
回数については「80回以上の決済」で1.5%加算となるのが最大です。
1日3回決済しないと、月80回は達成しません。
常にクレジットカードより還元率の高いQRコード決済は、結局次の2種類のみとなりました。
楽天カードから楽天キャッシュをチャージして使う楽天ペイ(1.5%)
・ Orico Card THE POINT(例)からチャージして使うau PAY(1.5%)
ただ、どちらも安泰とはいえません。
楽天キャッシュの還元率低下や、au PAYにチャージしてもポイントの付かないカードの増加など今年中にもありそうです。
QRコード決済については、還元率ではなく、別のメリットがまだまだあります。
次に見ていきます。
QRコード決済のメリットは大型還元とクーポンに
QRコード決済は、還元率については一部期待ができるものの、全般的には長期低落傾向です。
とはいえ、価値が落ちたわけではないのです。
大型還元とクーポン利用にシフトしていきましょう。当然、ユーザーの工夫がより重要になります。
大型還元の機会は積極的に利用する
2022年終盤の東京は、自治体ごとの大型還元ラッシュでした。
同時多発的に多くの自治体で20〜30%還元が実施され、筆者もあちこちに出かけて実益を得ました。
特に、還元対象となる中小スーパーが存在し、還元を受けられるドラッグストアのある地域では、積極的にQRコード決済を使いたいものです。
中でも、PayPayはほぼ必ず還元対象決済に入っているので、使い甲斐があります。
ドラッグストアで特定の商品購入での還元(地域不問)なども繰り返し実施されています。
この機会は逃さず使いましょう。
2023年の東京23区では、2月までに実施が決まっているのはPayPay30%還元の墨田区(1月10日~2月12日)と、昨年から続く港区(~2月28日)しかありませんが、追って開催されるでしょう。
PayPayとau PAY、普段使いではクーポンの活用
キャンペーン以外では使わないほうがいいかというと、クーポンがあります。
特定の店舗で使えるクーポンを取得すると、5〜10%程度の還元が受けられます。
こちらを使う限りは、還元率の低下を気にする必要などありません。
還元率が0.5%低下するよりも、5.0%の還元のほうがずっと大きなものです。
特に、次の2決済がクーポンを強化しています。
・ PayPay
・ au PAY
au PAYについてはauスマートパスプレミアム(月額548円)ユーザー向けのものが多いため、基本はPayPayとなります。
auスマートパスプレミアムは、クーポンのために加入しても元を取りづらいので、「音楽」「動画」「雑誌」の使い放題その他のメリットの、おまけとして考えるといいでしょう。
PayPayも、ソフトバンク携帯ユーザー対象に最大半額のクーポンが多数発行されます。
その他のクーポンはやや難あり
LINE Payにもクーポンがあります。
ですが2022年中に5%還元程度のクーポンが減ってしまい(残ったのは「出前館」程度)、さらに実店舗に対応したクーポンが消滅しました。
前述のLINEクレカ(P+)と組み合わせ(チャージ&ペイ)ても、オンライン決済ではカード自体の還元はありません。
このため別の三井住友カードに切り替えて使う手間もあって、クーポンの価値は落ちていると言わざるを得ません。
d払い、楽天ペイにもクーポンはありますが、数は多くありません。
d払いの場合、パーセンテージ還元でなく「○円オフ」のものが多い(例:ドトールコーヒー30円オフ)のは貴重です。
ただ、PayPayとau PAY以外のこれらの決済は、クーポンを探す手間も考え合わせると、優先順位としては下げざるを得ないのではないでしょうか。
結論:2023年はPayPay中心で
上記を振り返り、2023年のQRコード決済について、優先順位を付けてみます。
《1位:PayPay》
PayPayが「還元率改善」「クーポン豊富」という点で抜けています。
ソフトバンク携帯ユーザーにはさらにおすすめです。
ただしPayPayステップの達成まで狙うぐらいなら、他のペイも併せて使うことをおすすめします。
《2位:au PAY》
クレジットカードからのチャージ時還元率を解決する必要がありますが、クーポンの多いau PAYは引き続き活用したいものです。
サブスク好きなら有料のauスマートパスプレミアムに加入すると、クーポンをさらに得られます。
au携帯ユーザーである必要はありません。
Androidユーザーなら、au PAY残高からモバイルSuicaへのチャージもできてより便利です。
《3位:LINE Pay》
LINE Payそのものを推奨するわけではありません。
チャージ&ペイで組み合わせるLINEクレカ(P+)の5.0%還元にメリットがあります。
利用でたまったLINEポイントは、PayPayポイントに等価交換するのがいいでしょう。
《4位:楽天ペイ》
楽天ペイは、楽天キャッシュを使うことで還元率を0.5%プラスできるメリットがあります。
いっぽうクーポンは多くありません。
加盟店もまだ多くなく、楽天カードを持っていない場合、価値は大きくありません。
《5位:d払い》
d払いは還元率が下がり、dカードユーザーにとってすら魅力が落ちました。
思い切ってヘビーユーザーになって還元率アップをする方法もありますが、ごく普通にはPayPay(とPayPayあと払い)を使うところでしょう。
クーポンは「ドトールコーヒー」や「ローソン」など、楽天ペイより多めなので、狙って使うといいでしょう。
2023年もぜひ、お得な生活を味わいましょう。(執筆者:金融系ライター 沼島 まさし)