65歳以上の人口が総人口に占める割合の21%を超える社会のことを「超高齢化社会」と呼びます。
日本は既に超高齢化社会に突入しており、2000年に創設された介護保険制度によってさまざまなサービス(例えば自宅で暮らす要介護者を訪問して入浴)が提供されています。
今回はその財源となる、介護保険料にフォーカスをあて解説します。
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介護保険料はどのように負担するのか
会社で社会保険に加入する方の場合は、給与天引きされますので、会社員の方が直接的に介護保険料を負担しているわけではありません。
なお、会社員の場合は健康保険料と同様に、標準報酬月額に紐づき保険料が決まっています。
考え方としては、月々の給与が高ければ保険料も高くなる構図です。
これは介護保険料に限らず、健康保険料も厚生年金保険料も同じ理屈です(ただし、厚生年金保険料は健康保険料よりも上限の設定が低くなっています)。
介護保険料の徴収時期
「介護」と聞くと、多くの場合、入社間もない若手のビジネスパーソン目線では、遠い先の話に感じることが多いでしょう。
そこで、介護保険料の徴収が始まるのは、40歳到達月から65歳到達月の前月までです。
例えば4月2日が誕生日の場合、4月分から介護保険料の対象となりますので、一般的にはその翌月である5月の給与から保険料が徴収されるという理解です。
なぜ翌月になるのかというと、社会保険料はその月の保険料を翌月に納めるという構造になっているためです。
なお、4月1日誕生日の場合は4月の給与から徴収されることとなります。
なぜなら、民法により、誕生日の前日に年齢が加算されることとなるため、4月1日生まれは3月31日に年齢が加算されることになるからです。
ここで、65歳以降は保険料をどう納めるのかという話になってきます。
一般的には「介護」となれば、40歳~65歳になるまでの間よりも、むしろ65歳以降に必要となることが多いでしょう。
65歳以後は年金から天引きされることとなります。
ただし、年金額が概ね年額18万円以上受給されている方の場合は天引きの対象という理解です。
もちろん、最終的には保険料を納めることには変わりありませんが、あまりにも年金受給額が低い方にまで天引きの対象を広げてしまうと、生活に与える影響度が無視できなくなるからです。
40歳から64歳までの医療保険加入者の方を介護保険第2号被保険者と呼び、65歳以降の方を介護保険第1号被保険者と呼びます。
年金制度の第1号被保険者から第3号被保険者とは全く異なる意味ですので分けておさえておきましょう。
扶養する配偶者の介護保険料と夫が65歳到達後の注意点
例えば、夫の被扶養者である、妻の介護保険料はどうなるのかという問題があります。
夫が妻を扶養する場合、健康保険料と同様に、被扶養者である妻が介護保険料を負担することはありません。
しかし、夫が65歳到達後、介護保険料は給与天引きされなくなります。
それでも介護保険料は納める必要はないのでしょうか。
結論としては、「被扶養者」という立場に変更はありませんので、これまでと同様に個別に保険料を納める必要はありません。
被扶養者の介護保険料は健康保険の財源全体で負担されるからです。
しかし注意点として、夫が65歳以後も(70歳までは)会社員として働き続け、かつ老後の年金の受給資格を持っている場合、夫は70歳までは厚生年金の被保険者ではあるものの、国民年金第2号被保険者の資格は喪失します。
そうなると副次的に妻は国民年金第3号被保険者の資格を喪失しますので、(60歳未満の妻であれば)自ら国民年金第1号被保険者の資格を取得し、国民年金保険料を納めなければ、滞納扱いとなり、年金額が減額となります。(執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾)
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