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会社員の立場が所得税の計算・手続き面で「優れている」理由


日本でも働き方の多様化が進んでいますが、収入を得る方法が変わると、同じ収入金額でも課される所得税の額が変わることもあります。

会社員は所得税の計算上、比較的優れている立場にありますので、今回は会社員として働いた際の税制上のメリットについて解説します。

会社員として働いた際の税制上のメリットについて

収入や貯蓄が少ない方は、「給与所得の源泉徴収票」を捨てない方が良い

年末調整を行えば確定申告が不要になる

所得税は年間で得た所得に対して課される税金であり、納税額の計算は確定申告で行うのが基本です。

確定申告書の手続き期間は翌年2月16日から3月15日と決まっており、申告・納税が遅れるとペナルティが発生するので、個人事業主は年明けから確定申告手続きに追われます。

それに対し会社員は、勤務先で年末調整が完了していれば確定申告が不要になりますので、申告書を税務署に提出する必要がありません。

複数の勤務先から収入を得たり、寄附金控除などの所得控除・税額控除を適用する場合には確定申告を行うことになりますが、多くの会社員は申告手続きの労力を省くことができます。

「給与所得控除」は無条件で適用できる控除

勤務先から給料・賃金・賞与などを得た場合、給与所得として所得税の計算を行います。

給与所得の所得金額は、収入金額から給与所得控除額を差し引いて算出しますが、給与所得控除には適用要件はありません。

個人事業主は、売上から経費を差し引いた額を事業所得とするため、経費が増えれば所得金額は少なくなりますが、利益が減れば手元に残るお金も減少します。

一方、給与所得は経費が発生していない場合でも給与所得控除額を差し引くことができますので、給与所得者と個人事業主が同程度の収入を得ている場合、給与所得者の方が手元に沢山のお金が残ることが多いです。

また給与所得者でも、通勤費等を経費として計上できる制度(特定支出控除)は存在しますが、適用するための条件が厳しいため、特定支出控除を利用できるケースは少ないです。

インボイス制度の直接的な影響がない

令和5年(2023年)10月から、インボイス制度が導入されます。

インボイス制度は事務作業が増加するだけでなく、消費税の免税事業者にとっては実質的な増税になる要素が強いため、個人事業主は特に大きな影響を受けます。

会社員もインボイス制度に関する事務作業が増加するなどの影響は想定されますが、給与所得者は消費税の課税事業者ではありませんので、税金面での直接的な負担はありません。

源泉徴収は先に税金を納める制度

給与所得者は勤務先から給与を受け取る際、税金があらかじめ天引き(源泉徴収)されています

個人事業主の中には税金の申告を行っていない人や、納税額を誤魔化している方も少なからず存在するため、税金がしっかり天引きされている会社員からすると不満があるかもしれません。

ただ源泉徴収された税額は、年末調整や確定申告で精算しますので手続きを行えば税金の払い過ぎにはなりませんし、過少申告や無申告の個人事業主は税務調査で摘発されます。

節税面だけで会社員から個人事業主に立場を変えるのはリスクが高いため、メリット・デメリットを十分に吟味してから舵を切ることをオススメします。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)

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