マイホームを購入する際は不動産の購入費用だけでなく、維持管理費にも着目しなければいけません。
特に固定資産税は毎年支払うことになる税金であり、不動産が高いほど支払う金額も大きくなります。
本記事では、固定資産税の仕組みと、固定資産税が節税できるケースについて解説します。
固定資産税の概要
固定資産税は、土地や建物などの固定資産に対して課される税金で、市町村税(東京都23区内は都税)として徴収されます。
「固定資産」は不動産だけでなく、工場の機械や会社の備品などの償却資産も含まれており、「償却資産」とは不動産以外で事業用に使うことができる資産をいいます。
固定資産の所在する市町村に固定資産税を支払うことになり、税額は所有している固定資産の価値に応じて決まるため、基本的に価値の高い不動産を所有している方ほど納税額は多いです。
固定資産税の計算方法
固定資産税は、固定資産の評価額から課税標準額を算出し、課税標準額に税率を乗じて税額を出します。
土地・建物の評価額は3年に1度(償却資産は毎年)評価替えを行い、3年間は同じ評価額をベースに固定資産税が算出されます。
景気や周辺地域の開発状況によって土地の評価額は変動する一方で、建物は年数が経過するほど老朽化しますので、基本的に評価額が上がることはありません。
課税標準額は固定資産の評価額と基本的に同じ額ですが、税負担の軽減を目的などの理由から、特例措置で減額補正が適用されることもあります。
たとえば住宅用地に該当する土地は、200平方メートルまで課税標準額が価格の6分の1(200平方メートルを超える部分は3分の1)に軽減されますので、同じ評価額の土地でも自宅の敷地と未利用の土地では課税標準額が違ってきます。
課税標準額が算出されましたら、
固定資産税の税率1.4%を乗じて税額を計算します。
ただ税率は市町村の条例で調整できるため、移住者を増やしたい市町村は新築の住居を購入した人の固定資産税を一定期間半分にする措置を施すなど、地域や条件で税額が異なるのも固定資産税の特徴です。
固定資産税は年4回に分けて納める
固定資産税は、税額等が記載された納税通知書が市町村から納税義務者に送付されますので、市町村が指定した期限までに固定資産税を納めることになります。
原則は下記のように、年4回に分けて固定資産税を支払いますが、一括で納付することも可能です。
参考:令和4年度の東京23区の固定資産税の納期
- 第1期 令和4年6月1日から6月30日
- 第2期 令和4年9月1日から9月30日
- 第3期 令和4年12月1日から12月27日
- 第4期 令和5年2月1日から2月28日
土地や建物が共有名義となっている場合、共有者全員が納税義務を負うことになり、納税通知書は代表者へ送付されます。
代表者を変更したい場合には、固定資産税の所在する市町村に「共有代表者変更届出書」を提出するなどの手続きが必要です。
都市計画税の支払いにも要注意
市街化区域内に所在する土地および建物については、固定資産税だけでなく、都市計画税も原則として支払うことになります。
都市計画税の税率は0.3%と固定資産税の1.4%と比べると低く、課税標準額の軽減措置も存在します。
しかし固定資産税と同様に毎年支払う税金ですので、都市計画税の対象となれば、家計の負担が増えることは間違いありません。
そのため不動産を取得される際は、自治体が実施している固定資産税の軽減措置だけでなく、都市計画税が課されるエリアに不動産が含まれているのかもご確認ください。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)
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