中古住宅を、安く買う方法は、売買契約の仲介として、不動産会社に1社だけ(両手仲介)入ってもらうことです。
中古住宅の買主は、目当ての物件を管理している売主側の不動産会社(物元業者)に仲介を依頼します。
両手仲介の不動産会社は仲介手数料が最大2倍になります。
不動産会社は他にマージンが発生しない、両手仲介を望んでいます。
この際に、仲介会社へ一言頼んでみましょう。
「仲介手数料をおまけしてください。売主へ価格交渉をしてください」。
売主・買主から手数料がもらえる両手仲介なら、交渉に応じてくれるかもしれません。
仲介会社もあなたも得するwin winな取引で、強気にお願いしてみてください。
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宅建業者とは
最近はマイホームを見つける際、インターネット等の情報を集めます。
その問い合わせ先は、不動産会社であるはずです。
不動産会社といっても、不動産の売買・仲介・管理・コンサルタント・保守点検など多種に及びます。
この中で、不動産の売買・仲介を行うには、国や県に認可を受けなければなりません。
これを宅地建物取引業者といいます。
宅建業者は、法により仲介方法、報酬額の上限などが定められています。
両手仲介とは
不動産の仲介とは、不動産の売買などについて、間に入り契約の成立を助けることです。
宅建業法では、契約成立時にのみ請求できる仲介手数料上限を、 売買代金の3%+6万+消費税と定めています(400万円以下は別の計算方法あり)。
不動産の売買には、かならず売主と買主がいます。
不動産の売主・買主の多くは売買契約を成立させるため、宅建業者に仲介を依頼します。
売主から仲介を受託した宅建業者(物元業者)は、他の宅建業者に物件を紹介します。
買主から仲介を受託した宅建業者(客付業者)は、他の宅建業者に買主の要望や属性を伝え、条件の合う物件の提供を依頼します。
売主・買主のどちらかから仲介の依頼を受けた宅建業者を、片手仲介と呼びます。
一つの不動産について、一業者が売主・買主の仲介を行う場合、両手仲介といいます。
例えば、売主Aから「マネーマンション」を売却の仲介を受けた「達人不動産」(物元業者)。
(1) 自社のHPや不動産ポータルサイトに売買物件を掲載します。
(2) 支店や系列店。普段取引のある宅建業者と情報(売り物件情報と購入希望者の要望や属性など)を共有します。
(3) 国土交通省から指定を受けた「レインズ」や、不動産会社間情報流通サービスである「アットホーム」などに物件情報を掲載し、 広く情報を拡散します。
自社に問い合わせてきた買主Bに「マネーマンション」を紹介し、購入の仲介を受ける形になります。
「達人不動産」は (1) であれば、売手・買い手の双方の仲介を行います。
日本の民法でも108条で「双方代理」は禁止されていますが、仲介は代理でなく準委任とされていますので、両手仲介は合法的な商法です。
買主にとって両手仲介が有利な理由
宅建業者の両手仲介メリットは、手数料が最大で2倍になることです。
また一業者のみが、売主・買主と交渉に当たるので、他人を介する煩わしさが減ります。
これは、買主にとって仲介手数料の値引き・売価値下げの要件となります。
両手仲介は手数料が2倍ならば、多少の値引きは許容できるでしょう。
両手仲介ならば、売主へ売値値下げ交渉を積極的に行えます。
宅建業者からすれば、売主が値下げさえ容認してくれれば、すぐに手数料が手に入ります。
また、売主の個別条件(納税など)にもよりますが、迅速な売却はメリットが多くあります。
保有期間が長引けば長引くほど、コストが必要となるからです。
・ 固定資産税や都市計画税
・ 売却のための宣伝広告費
・ 物件管理,「商品」として価値を維持するための清掃費や諸経費
また仲介市場には繁忙期と閑散期があり、繁忙期中に売却しないと、売り残る恐れがあります。
売主からすれば、売れずに無駄な経費を使うより、多少の値下げなら素早く売るほうが得なのです。
物元業者は鮮度感ある情報を持っている
不動産は基本的に条件の良い物件から売れていき、成約しない物件の情報は、買主を求めて広がっていきます。
川上である物元業者の情報は玉石混交です。
この「玉」の情報を得られれば、条件の良い物件を速く押さえることができます。
売り物件の情報は
1:売主の媒介会社
2:売主と関係のある宅建業者
3:レインズなどを閲覧できる、1、2以外の宅建業者
と広がっていきます。
物元業者は、専任媒介契約,専属専任媒介契約仲介(媒介)契約を締結したら、定められた期限内にレインズへ登録せねばなりません。
しかし現実には、レインズに条件の良い物件はあまり掲載されていません。
条件の良い物件はレインズに掲載される前に、「売却の交渉中・商談中」になることが多いからです。
売主の仲介会社を効率よく探す方法
買主が、売主の仲介会社を探す方法をご紹介します。
下記の不動産業者に、自社で管理している(物元である)物件を、紹介してもらいましょう。
中古分譲マンション
都市部に比較的多い中古マンションは、下記の不動産会社が物元業者である可能性が高いです。
財閥や鉄道系不動産会社(CMをよく流している)で、売却マン在は5ションの最寄り駅か、最寄り駅に近い大きな駅の店舗
分譲ディベロッパー系不動産会社 → 自社開発のマンションを集中的に扱う、系列系の不動産会社(大京穴吹不動産など)
中古戸建住宅・住宅用地
都市部周辺や地方都市に比較的多い中古戸建住宅は、社歴が古い地場の不動産会社が物元業者である可能性が高いです。
免許更新回数が多い会社(免許番号が小さい会社) → 現年で更新
有名なフランチャイズに加入している会社(センチュリー21など)
ハウスメーカー系不動産会社 → 自社建設の戸建て住宅を集中的に仲介する子会社(積水ハウス不動産東京株式会社など)
中古住宅を購入する際に「裏技」を
両手仲介は、宅建業者にとって一番収益が高い。
両手仲介は「囲い込み」などの問題があると言われており、外国では禁止している場合もあります。
囲い込みとは、売主から媒介した不動産を他の宅建業者に紹介せず(レインズに登録しない)、自社で両手仲介が成立するまで、放置することです。
今回の提案は、物元業者に両手仲介をさせて条件を引き出すことでした。
極端にいえば、儲けさせてあげるから、少し譲歩しなさいということです。
よって買主にとってその住宅が適切であるか否か、客観的なアドバイスは望めません。
仲介業者(宅建士)は媒介(契約をまとめる)プロであって、買主のライフイベントやライフプランから購入の是非をアドレスする立場でありません。
それはファイナンシャルプランナーなどの第三者に臨むべきです。
ちなみに新築マンションの購入は、相手が販売代理である場合が多く、仲介手数料は発生しません(事務手数料などの名目がある場合はあります)。
新築戸建て(建売住宅)は相手が売主である場合が多く、これも仲介手数料がありません。
なので、この「裏技」はできません。
あくまで中古住宅を購入する際の裏技です。
このような方法があることを頭に入れて、マイホーム購入を検討してください。(執筆者:金 弘碩)
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