現在所有するNISA口座を現状のまま別の金融機関に移す「金融機関の変更」を検討中の人は多いようです。
しかし、3種類あるNISA口座の中には、全額払い出しを伴う口座の廃止を行わないと金融機関を変更できないケースがあります。
また、別の金融機関にそのまま口座を移せるNISAについても、金融機関の変更手続きは複雑です。
そこでこの記事では、複雑なNISA口座の金融機関変更手続きについて詳しく説明します。
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口座を現状維持したまま金融機関の変更ができるNISAと、できないNISAがある
まず、口座を現状維持したまま金融機関の変更ができるNISAとできないNISAがあることを知っておきましょう。
金融機関の変更ができるNISA:一般NISA、つみたてNISA
金融機関を変更できないNISA:ジュニアNISA
ジュニアNISAの口座を別の金融機関に移す場合、現在口座がある金融機関で「課税口座への払い出しを伴うジュニアNISA口座の廃止」が不可欠です。
その後、新たに口座を開設したい金融機関を通して、税務署にジュニアNISA口座の再開設を申請します。
その他のNISAについては、口座を現状維持しながら金融機関の変更ができますが、変更前の金融機関と変更後の金融機関の双方を通して税務署に変更の申請を行う形となります。
NISA口座の金融機関変更や再開設が可能な時期
次は、一般NISA口座やつみたてNISA口座の金融機関変更やジュニアNISA口座の再開設が可能な時期について、2022年~2023年に手続きを行うケースを例に説明します。
(1) 2022年中にNISA口座で1度も投資商品を購入していない人
2022年10月1日~2023年9月31日の間に所定の手続きを行うと、2022年または2023年に金融機関の変更や口座の再開設ができます。
(2) 2022年中にNISA口座で1度でも投資商品を購入した場合
(1) と同じ期間に金融機関変更の手続きを行う場合、2022年の金融機関変更は不可能、2023年の金融機関変更や口座の再開設が可能です。
なお、年を記述した部分については、ご自身が金融機関の変更等を希望する年の数字に差し替えると、以上の説明がよりわかりやすいかと思います。
NISA口座の金融機関変更や再開設の手順
次は、ジュニアNISA口座の再開設を含めた、NISA口座の金融機関変更の手順について説明します。
1. 現在NISA口座がある金融機関に口座廃止の申し出を行う
現在NISA口座がある金融機関(以下「変更前金融機関」と表記)に、金融機関変更などを理由とする口座廃止の申し出を行い、その金融機関を通して税務署に以下の書類の交付を申請します。
・ NISA口座で投資を行っていない場合:非課税口座廃止通知書
・ NISA口座で投資を行っている場合:金融商品取引業者等変更届出書
ジュニアNISA口座の変更にあたっては口座廃止一択となるため、「非課税口座廃止通知書」を提出する形となります。
2. 変更前の金融機関から変更先の金融機関に提出する書類を受け取る
1の手続きが終わると、変更前金融機関を介して税務署から「非課税口座廃止通知書」または「金融商品取引業者勘定廃止通知書」が交付されます。
それらの書類は、これから口座を移す金融機関または口座を再開設する金融機関(以下すべて「変更先金融機関」と表記)に提出するものなので、提出まで大事に保管しておきましょう。
3. 変更先金融機関でNISA口座の開設手続きを行う
今度は変更先金融機関でNISA口座の開設申込を行い、その金融機関から「非課税口座開設届出書」を受け取ります。
そこに必要事項を記入した上で、変更前金融機関より交付された「非課税管理勘定廃止通知書」または「非課税口座廃止通知書」と一緒に変更先金融機関に提出します。
以上の手続き完了後2~3週間たつと、変更先金融機関のNISA口座でこれまで所有していた投資商品の運用や新たな投資ができるようになります。
NISA口座の金融機関変更手続きにおける注意点
次は、NISA口座の金融機関変更手続きにおける注意点についてお伝えします。
1. NISA口座の金融機関変更手続きは完了までに2~3週間かかる
NISA口座の金融機関変更や再開設は税務署での手続きがあるため、金融機関の変更完了まで最短でも2~3週間、書類に不備があればもっと時間がかかります。
2. 金融機関変更を希望する年の最初の投資を行う前に手続きを完了させる必要がある
NISA口座で1度でも投資を行った年は、NISA口座の金融機関変更はできません。
したがって、金融機関の変更を希望する年の最初の投資を行う前に金融機関の変更手続きを完了させる必要があります。
たとえば、つみたてNISAで毎月投資信託を購入している人は、最初の投資日(通常は1月の投資信託購入日)までに金融機関の変更手続きを完了することが必須です。
以上のことを念頭に置き、時間に余裕をもって金融機関変更の手続きを行いましょう。(執筆者:元銀行員 大岩 楓)
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