みなさんから寄せられた資産運用などの質問にお答えするコーナーです。
第4回目のご相談者は、保険商材が多すぎて、何を選べばよいか分からない方です。
金融教育家の上原千華子がアドバイスします。
【生命共済】「全年齢同じ掛金」の落とし穴 年齢に応じたリスクと保障内容を加味して、割安か判断
相談内容
保険商材が多すぎて、悩んでいます。
相談内容
・給料の手取りの何%をかければいいか
・世帯収入のどれくらいかければいいか
・子供がいたら入っておくべき保険は何が良いか
保険に関しては様々な意見があり、商品の種類も多いので選ぶのが難しいですよね。
必要な保険は、家族構成やライフステージによって大きく異なります。
そのため、給料の何%などの明確な基準はありません。
まずは保険の考え方や種類をご紹介した後、商品の選び方のポイントや見直すタイミングについて解説します。
生命保険の考え方
家族の死亡・けがや入院など、不測の事態から生活を守ってくれる保険。
その重要性から約8割の人が生命保険に加入しています(生命保険文化センター 令和元年度「生活保障に関する調査」より)。
特にお子さんなど扶養家族が多い人にとっては、心強い存在です。
ただ過剰な保険契約は生活を圧迫しかねません。
そこで知っておきたいのが、充実している日本の社会保障制度。
いざという時に、国や地方公共団体などが一定水準の保障をしてくれます。
たとえば、治療費の払戻しが受けられる「高額療養費制度」や、仕事ができなくなった場合の「傷病手当金」などです。
民間の保険は公的保険や貯蓄を補うものと考えましょう。
必要な分だけ加入すれば、賢く保険を活用できます。
生命保険の種類
生命保険にはいろんな種類があり、分類方法もさまざまです。
「何に備える保険なのか」と考えると、以下のように分けられます。
死亡保険
死亡した場合、または高度障害状態になった場合に保険金を受け取る
「定期保険」と「終身保険」の2種類があります。定期保険は、たとえば80歳まで、20年間など保障される期間が決まっています。
一般的に掛け捨てで、終身保険より保険料が安いのが特徴です。
一方、終身保険は一生涯保障されます。
途中で解約すると「解約返戻金」を受け取れますが、保険料は定期保険より高くなります。
医療保険・がん保険
入院や通院、手術をする時に給付金を受け取る
がんと診断された場合に給付金を受け取れるのが「がん保険」です。
病気やケガで働けなくなった場合に生活費を補償してくれる「就業不能保険」もあります。
介護保険
介護が必要になった場合に備える保険で、給付一時金や年金が受け取れる
ちなみに公的介護保険は、自己負担1割で介護予防や介護サービスを受けられます。
貯蓄性保険
- 子どもの教育費に備える「学資保険」
- 老後に備える「個人年金保険」
- 死亡保障と貯蓄性を兼ね備えた「養老保険」
などがあります。
保険の選び方3ステップ
必要な分だけ保険に入るには、自分に合っている商品かどうかを見極める必要があります。
以下の手順で考えてみましょう。
ステップ1: 自分と家族のライフイベントを考える
まずは、結婚や子供の誕生、住宅購入や教育費などのライフイベントを考えましょう。
10年単位のざっくりとしたもので構いません。
人生の三大資金である教育費、住居費、老後資金を中心に考えるとよいでしょう。
一般的な目安は下記の通りです。
- 教育費:1,000万円〜2,500万円 / 人(幼稚園~大学まで、塾代や習い事代含む)
- マイホーム購入費:全国平均4,400万円、ローン頭金の目安は20%
- 老後資金:2,000万円〜3,000万円 / 世帯
ステップ2:保険に入る目的を明確にする
なぜ保険に入るのか、目的をはっきりさせましょう。
たとえば、死亡、病気やケガ、介護、教育資金や老後資金など、どのリスクに備えたいのか優先順位をつけます。
ステップ3:必要保障額を知り、目的に合った保険を選ぶ
民間の保険は、公的保障や貯蓄などを補うものです。
必要保障額は
となります。
詳しくは下記の表を参考にしてください。
保険を見直すタイミング
生命保険は、ライフステージ毎に定期的な見直しが必須です。
下記のライフステージを目安に保険の見直しを行うとよいでしょう。
保険料が家計の負担になっている時も、その都度見直しましょう。
- 就職して社会人になる時
- 結婚する時
- 子供が誕生する時
- マイホームを購入する時
- 子供が独立する時
- 定年退職する時
保険と資産運用を組み合わせて賢い備えを
民間の保険は、いざという時にとても心強い存在です。
ただ、毎月の保険料が生活を圧迫しては、本末転倒になります。
保険は公的制度や貯蓄を補うものと位置付けると、賢い備えができるでしょう。
必要に応じて資産運用を組み合わせることも選択肢の一つです。
本記事は、中立・公正な情報提供を目的としており、特定の商品を説明・推奨・勧誘するものではありません。
保険の保障内容は、保険会社や商品により異なりますので、よく中身を理解してから契約しましょう。(執筆者:上原 千華子)
元保険外交員が教える「終身保険」の有効活用法(1) 年金を保険で確保