最近、家族に少し手がかかるようになってきた、これ以上手がかかるようになるのだろうか、これからの介護費用を抑えるためにはどうしたら良いのかと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
さらに介護費用がかかってきた時には、いろいろな制度を利用することはもちろんですが、要介護度が重くなり介護期間が長くなると、介護費用は確実に高くなっていきます。
つまり、介護期間を短くすること、要介護度を低く保つことで介護費用は抑えられるということになります。
今回は、介護期間を短くし、要介護度を低く保つ為には、どうしていくことが重要なのかにスポットをあてていきます。
介護期間を短くする為には健康寿命を延ばす
日常生活を制限されず、健康に生活できる期間を「健康寿命」と言います。
介護が必要なく健康に生活できる期間のことです。
「寿命-健康寿命=何らかの手助けや介護が必要な期間」となります。
介護が必要のない期間の健康寿命を延ばすことにより介護費用が抑えられます。
まずは、定期的に検診を受けるなど体調管理をしていくことが健康寿命を延ばすことには重要です。
では、それ以外に健康寿命を延ばす為に必要なことは何でしょうか。
高齢者で介護が必要になるきっかけとしてよく聞くのは「転倒して骨折すると寝たきりになる」ことです。
転倒して尻もちをついた時によくある骨折は、股関節部分の大腿骨頚部骨折です。
治療は主に手術になり、歩かずに安静にすることやリハビリが必要になります。
その為、高齢者の場合、入院中に体力が落ち認知機能の低下につながることもあります。
また、退院後も元の生活に戻れず、介護が必要になる可能性があります。
健康寿命を延ばす為にも、転倒予防のための運動をして転倒を防いでいくことが必要です。
そこで地域では、運動教室や健康番組など転倒予防の運動を紹介しています。
その中で、自分の生活の中に取り入れられる運動を続けていくことが重要です。
自分で歩ける状態を保つことは、要介護度を低くすることにもつながります。
参照:厚生労働省(pdf)
意外?お口の健康を保つこと
高齢になると飲み込む力が低くなり、誤嚥しやすくなります。
咳をして異物を肺から出す力も弱まっているので、出せずに、誤嚥性肺炎になる可能性が高くなります。
誤嚥性肺炎で入院すると体力全般が落ちてしまう方が多く、その後、なかなか体力が戻らず生活に支援が必要になることもあります。
予防の対策としては、歯磨きなどで口の中の雑菌を少なくすることです。
さらに、舌や唇などを鍛える口腔体操により、より低くすることができます。
また、口の中が不衛生な状態だと歯周病などにより、歯を失うリスクも高まります。
定期的な歯科検診や歯磨きの習慣、正しい入れ歯の手入れ方法をしていくことがお口の健康を保つ為には重要です。
≪画像元:財団法人 8020推進財団(pdf)≫
身体の不便はそのままにしない
なんとなく毎日を同じように過ごしているという方は、脳への刺激が弱くなり、認知症のリスクが高くなります。
他者との交流がないのも良くありません。
料理番組を見て新しい料理に挑戦する、興味が持てそうな教室や講座などに出かけてみるなどの新しいことに挑戦し、刺激のある生活を送ることが予防につながります。
施設によっては、地域に向けた認知症予防教室や運動教室を行っているところもありますので、ぜひ利用してみてください。
また、耳が聞こえづらい状態も良くありません。
聞こえにくいことで人と会話することを避け、引きこもりがちになり認知機能が低下する恐れがあります。
聞こえにくい場合は、耳鼻科で原因や疾患を診断してもらい、必要ならば補聴器や集音器などを利用することを検討してみてください。
≪画像元:厚生労働省 日本補聴器販売店協会≫
健康寿命をのばそう
介護費用を抑えるために、健康寿命を延ばすのに必要なことを見てきました。
今回ご紹介した方法は、要介護状態にならない為に気をつけることですが、買い物の介助や服薬確認など軽い援助が必要になった方が、さらに介護が必要になる状態になるのを防ぐためにも有効です。
基本的なことだと気づいた方は、今が健康寿命をのばすチャンスです。
いつもの日常を少し意識するだけで良いのです。
介護はいつ始まるかいつまで続くのか誰にもわかりません。
今どうするかを大切にするだけでも将来的な介護費用を変えることができるという点をお忘れなく。
無理のないところから、ぜひ取り入れてみてください。(執筆者:現役老人ホーム施設長 佐々木 政子)