先日ニュースサイトを見ていたら、公的医療保険(国民健康保険、健康保険、後期高齢者医療など)に関連した興味深いニュースを、2つほど見つけました。


マイナ保険証に 一本化した時に 起きる問題


そのひとつは公的医療保険の加入者が負担する保険料の、算出方法に関するものです。


例えば株式の売却によって譲渡益が生じている場合、原則として確定申告が必要になります。


ただ「源泉徴収あり」の特定口座で取引している場合、証券会社などが税金を計算したうえで、個人投資家の代わりに納付してくれるので、確定申告は必要ないのです。


また確定申告しない場合には、株式の売却による譲渡益を、公的医療保険の保険料を算出する時の所得の中に、含めないというルールになっているのです。


そのため株式の売却によって、大きな譲渡益が生じている場合でも、給与や年金などの他の所得が少ない時には、公的医療保険の保険料の負担が軽くなります


政府は2022年6月頃に閣議決定する予定の、骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)の中に、株式の売却による譲渡益なども含めて、公的医療保険の保険料を算出することを、明記する方針のようです。


ただ改正の目的は社会保障の支え手である、現役世代の負担を和らげることなので、改正の主な対象になるのは、後期高齢者医療に加入する75歳以上の方になるようです。


もうひとつのニュースは、将来的には健康保険証としての登録を済ませたマイナンバーカード、いわゆるマイナ保険証に一本化し、健康保険証を原則廃止することを、骨太の方針の中に明記するというものです。


これによって健康保険証が原則廃止になったら、一部の例外的な方を除いて、マイナンバーカードの保有と健康保険証としての登録が、不可欠になると思います。


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カードリーダーが設置された病院などでは追加徴収がある


マイナ保険証は2021年10月から本格運用が始まっているため、すでに8か月くらいの期間が経過しております。


また健康保険証としての登録手続きや、公金受け取り口座の登録手続きを済ませた方に対して、マイナポイントを付与するキャンペーンを実施しております。


そのためマイナ保険証を持っている方は、以前より増えていると予想されます。


ただ2022年5月時点において、マイナンバーカードを読み取るためのカードリーダーを設置している病院などは、19%くらいに止まっているそうです。


これに加えて病院などの4割超は、カードリーダーの申し込みをしていないそうなので、マイナ保険証を持っていたとしても、ほとんど使う機会がないという問題があるのです。


もうひとつの問題はカードリーダーが設置された病院などで、マイナ保険証を使う時は、例えば医療費の自己負担が3割という方の場合、初診時に21円、再診時に12円、調剤に9円が追加徴収される点です。


またカードリーダーが設置された病院などで、紙やプラスチックの健康保険証を使う時にも、例えば医療費の自己負担が3割という方の場合、初診時に9円が追加徴収(2024年3月までの措置)されます。


わずかな金額であっても負担増になるとしたら、マイナ保険証の普及を妨げてしまうと思うのです。


マイナ保険証


«画像元:厚生労働省»


懸念されている診療情報とマイナンバーの紐付け


病院などに設置されたカードリーダーに、マイナンバーカードをかざすと、本人確認と資格確認が行われます。


こういった仕組みのため、病院などの職員に対して、マイナンバーカードを見せる必要はありません。


また資格確認が行われる際は、マイナンバーカードのICチップに格納された電子証明書が使われるため、マイナンバーは使われないのです。


そのため各人の診療情報とマイナンバーは紐付けされないと、政府は説明しているのです。


ただマイナンバー法案が可決されてから2年後には、特定健診や予防接種履歴に関する情報を、マイナンバーと紐付けする改正案が可決されているため、将来的に政府は診療情報も紐付けするかもしれません


またマイナ保険証に一本化したタイミングなら、診療情報とマイナンバーの紐付けに反対であっても、紙やプラスチックの健康保険証に戻れないため、紐付けを実施しやすくなると思うのです。


マイナンバーの電子証明書に関連した2つの問題


マイナ保険証に一本化したタイミングで政府が、診療情報とマイナンバーを紐付けするという問題は、あくまでも推測であり、実際には起きないかもしれません。


それに対して次のような電子証明書に関連した2つの問題は、実際に起きる可能性があるのです。


(1) 電子証明書の有効期限切れでマイナ保険証を使えない


電子証明書には5年という有効期限があるため、これを過ぎるとマイナ保険証を使えなくなります。


こういった事態が起きないようにするには、有効期限を迎える前に、所定の更新手続きを行えば良いのです。


ただこの手続きをするには本人か代理人が、市区町村の窓口まで行く必要があるため、例えば一人暮らしで、平日は遅くまで仕事をしているという方は、更新手続きを行うのが難しいと思います。


またマイナンバーカードを利用する機会が少ないと、有効期限が切れている事実に、気が付かない場合があると思います。


実際のところ2020年5月に、1人10万円となる特別定額給付金のオンライン申請が始まった際には、有効期限が切れた方やパスワードを忘れた方が、市区町村の窓口に殺到したのです。


(2) 健康保険証として登録する手続きができない


電子証明書の有効期限までの期間が5日以内となると、マイナンバーカードを健康保険証として登録する手続きができません。


また電子証明書の更新から24時間以内も、マイナンバーカードを健康保険証として登録する手続きができません。


このように登録手続きができないのは、僅かな期間(時間)だけになりますが、その間に運悪く、病気やケガになった場合には、マイナ保険証を使えないため、困ってしまうと思うのです。


確定申告すると有効期限を確認する機会ができる


マイナンバーカードを使って、e-Taxで確定申告すると、この表面に記載された有効期限などを、最低でも年に1回は確認する機会ができます。


また電子証明書の有効期限が切れていたら、確定申告ができないため、この時点で有効期限が切れていることに気が付きます。


そのためマイナンバーカードを使って、e-Taxで確定申告することは、電子証明書の有効期限が切れて、いざという時にマイナ保険証を使えないという問題の、予防策になると思うのです。


会社員の方は年末調整によって、所得税の過不足が精算されるため、原則的には確定申告する必要はないのですが、次のような場合には確定申告が必要になります。


・「医療費控除」を受ける時


・「雑損控除」を受ける時


・ふるさと納税などで「寄附金控除」を受ける時(ワンストップ特例が利用できる場合を除く)


こういった機会を活用して確定申告すると、節税になるだけでなく、上記のように電子証明書の有効期限などを、確認する機会ができるのです。(執筆者:社会保険労務士 木村 公司)





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情報提供元 : マネーの達人
記事名:「 健康保険証を原則廃止し「マイナ保険証」一本化した時に起きる問題