多くの方が実感していると思いますが、現在の日本では急激な円安が進行しています。
つい先日までは1ドル110円代程度だった為替レートが2022年5月初旬現在では1ドル130円を超えるまでになっています。
これまで1ドルと交換するのに110円程度で済んでいたはずが、今では130円必要ということになっています。
つまりドルに対して円の価値が大きく目減りしているということになります。
これが円安ドル高です。
コンビニやスーパーに並んでいる商品の値段が高くなるなど、日常生活にも徐々に影響が出始めています。
同じように投資商品についても円安の影響があるということはしっかりと認識しておくべきでしょう。
つみたてNISAやiDeCoなどでも人気の米国株式インデックスファンドもその名の通りドル建商品です。
投資信託の入口通貨は円なので気付きにくいという点はありますが、円高の時よりも投資コストは確実に高くなっています。
円安が進行する現在、投資はいったんストップしたほうが良いのか。
そもそもなぜ円安が起きているのか。投資家として取るべき行動とは。
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悪い円安
「円安=円の価値が低くなる」ことなので海外からの輸入品の値段が上がります。
日本は多くの日常生活品を輸入に頼っている国ですのでその影響は家計を直撃します。
これに伴い賃金も上昇するならばダメージは少ないのですが、我々日本の賃金は過去ほとんど上がっていません。
収入は上がらないのに物価だけが上がっていく。
今の円安がずっと進めば日本の衰退に拍車をかけることになるかもしれません。
鈴木財務大臣が現在の円安を「悪い円安」と表現し、ニュースなどにも大々的に取り上げられていましたが、これも危機感からきたものでしょう。
ですが円安=マイナスの影響のみではありません。
しっかりとした対策を打てば円安のダメージを抑えることは可能です。
なぜ円安が起きているのか
円安の原因はさまざまありますが、一番の主要因は日米の金利差にあります。
通常、金利の低い通貨よりも金利の高い通貨のほうが好まれます。
「金利=利息」と考えるとわかりやすいでしょう。
低金利のAという商品に対して高金利のBという商品があったとします。
どちらに人気が出るかというとより大きい利息のもらえる高金利商品Bのほうが人気が出るはずです。
同じ期間、同じ金額でより大きな利息を受け取ることができるということなので当然でしょう。
つまり円とドルでも金利の高い通貨の方が人気だと言い換えることができます。
それでは円とドル、どちらの金利が高いのでしょうか。
アメリカでは新型コロナウイルス対策として2020年初頭には大きく利下げを行い、経済の活性化をおこなってきました。
ですが極端な利下げをおこなったために想定以上に経済が加熱し、今では8%を超えるインフレが起きてしまっています。
インフレとは物の値段が上がることです。
急激なインフレは社会生活にとって負担となることは想像に難くないでしょう。
行き過ぎたインフレを抑制するために今度は利上げをおこない、過熱感を冷ます施策を取っているのが今のアメリカです。
利上げをおこなうと利息をたくさん払う必要が出てきます。
ということは個人や企業はお金を借りづらくなってしまいます。
そうすることにより行き過ぎた経済活動に落ち着きを取り戻そうとする動きが現在おこなわれている利上げです。
先日のFOMC(アメリカの金融政策を決定する会合)でも0.5%の利上げをおこなうことが決定され、今後も段階的に利上げをおこなっていくことがほぼ確実視されています。
つまりアメリカでは今後も継続して利上げをおこなっていくということが決まっている状況にあります。
対して日本は利上げに消極的な姿勢を取っています。
日銀は0.25%よりも金利を上げさせない施策、指値オペをおこなっていますのでこのままの金利水準が維持されるというのが大方の見方となっております。
金利が上がっていくドルと金利が上がらない円のどちらが買われるかは明白だと思います。
多くの投資家が円を売ってドルを買っているのが現状です。
必然的に円の価値は落ち、ドルの価格が上がることになります。
他にもさまざまな要因がありますが、日本とアメリカの金利差が円安ドル高(円売りドル買い)の主要因ということになります。
投資家として取るべき行動は
円安になると相対的に海外資産が高くなってしまいます。
多くの投資家に人気の米国株も例外ではありません。
投資信託では円で購入するのでわかりづらい点がありますが、ドルで買付をおこなうETF(上場投資信託)に投資している方は今の円安を実感しているのではないでしょうか。
ですが円安は悪いことばかりではありません。
実際に既に米国株式へ投資している方はそのメリットも教授しているはずです。
現在S&P500やナスダックといった米国の主要指数が大きく落ち込んでいます。
ですがご自身の保有銘柄の損益率は思いのほか悪くないのではないでしょうか。
この理由は円安にあります。
値下がり分を完全に相殺することはできていないかもしれませんが、そのマイナス幅を軽減していることは間違いありません。
円資産しか保有していない場合は「円安=資産価値の目減り」です。
ですが海外資産を保有しておくことによって円安リスクを相当程度抑えることができるということになります。
幸いなことに米国株式は投資初心者にも大人気です。
多くの方が実際に投資をし、海外資産を保有していることでしょう。
今後も米国株式への投資を継続することが円安対策につながり、ポートフォリオ(資産配分)の充実にもつながります。
そして過去の例からすると大きなリターンも見込めるのが米国株式です。
目先の値動きや為替の動きに惑わされることなく投資を継続する。
つみたてNISAやiDeCoならなおさらです。
これが将来の利益につながると考えています。(執筆者:冨岡 光)
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