令和2年分の所得税の確定申告書は2,200万件以上提出されていますが、そのうち1,300万人以上は還付申告と、過半数以上の方は払い過ぎた税金を返してもらうために申告手続きしています。
ただ還付申告をしても税金が返ってこなかったり、なかなか還付金が振り込まれないケースもありますので、今回は還付金が振り込まれない4つの原因をご紹介します。
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書面申告はe-Tax申告より還付金の振り込みが遅い
確定申告書を提出する方法は、電子申告(e-Tax)と書面申告の2種類存在しますが、申告書の提出方法によって還付金が振り込まれるタイミングは異なります。
書面申告の場合、申告してから還付金が振り込まれるまでの期間は1か月から1か月半程度とされており、確定申告期限ギリギリ(3月10日から3月15日)に提出した場合、さらに振り込まれるのが遅くなる可能性もあります。
一方、e-Taxで申告書を提出した際の還付金が振り込まれる期間は、2週間から3週間程度と書面申告の約半分ですし、確定申告期限間近に提出しても書面申告より早く還付手続きが行われます。
税金が還付されるタイミングに差が生じるのは、e-Taxで申告してもらいたい国税庁の思惑もありますので、書面により申告書を提出した人は同時期にe-Taxで手続きした人より還付金が振り込まれるのは遅いです。
法定に添付義務のある書類を提出していない
源泉徴収票など、平成31年4月1日以後に提出する申告書からは添付省略となっている書類も増えています。
しかし特例制度を適用する際は申告書に添付しなければいけない書類もあり、たとえば住宅ローン控除は住宅借入金の残高証明書や売買契約書(請負契約書)などを添付する必要があります。
添付義務がある書類を提出していない場合、特例の適用要件を満たしていないのと同じなので、必要書類が提出されるまで還付金は振り込まれません。
不足書類があれば税務署から催促の連絡が来るのが一般的ですが、いつ連絡が来るかは税務署次第なので、特例を適用した人は必要書類を添付したか確認してください。
税務署の還付手続きが遅れている
税務署の規模は管轄エリアによって異なり、職員数や所得税の提出される申告件数もバラバラです。
還付手続きは税務署ごとに行っていますので、作業が遅れている税務署の管内にお住まいの方は、他の税務署管轄内にお住まいの方に比べて還付金が振り込まれるのが遅くなることもあります。
また適切に申告書を作成し提出したとしても、残念ながら税務署の手続きミスにより還付金が振り込まれないケースもあるので、還付申告をしてから2か月以上音沙汰がない場合は、管轄税務署へ確認してもいいかもしれません。
申告内容に誤りがある
税金が一定期間以上還付されない場合、申告内容に誤りが発生している可能性もあります。
申告書の計算ミスがあれば、税務署は申告内容の修正を促す連絡を行いますが、申告期限前に申告書の誤りを指摘することはほとんどないです。
そのため税務署へ問い合わせる前に提出した申告書の内容を確認していただき、計算誤り等があった場合は修正申告書を提出し、申告内容に誤りがなければ管轄税務署に還付金が振り込まれていない旨を伝えて現状を把握してください。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)
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