介護施設では、夫婦で認知症になって、一緒に入居されている方が増えてきています。
夫婦で認知症になるということは、介護するご家族の大変さも2倍になります。
今回は、夫婦で認知症になった場合の介護について、対応と施設介護の選び方をお伝えしていきす。
遠距離介護の場合はどうするか
夫婦で認知症になった場合、その家族が近場に住んでいる場合には、すぐ様子を見に行くことができますが、遠方に住んでいるとそうも行きません。
遠方に住んでいる認知症の親を介護する時の対応例として次のようなケースがあります。
・ 単身赴任のような形で、一時的に親御様と同居されて介護にあたります。
・ 同居できない場合は、週に1度、または月に1度、様子を見にいきます。
遠方に住んでいる家族の方は、週に1度または月に1度、泊まりで様子を見ています。
遠距離介護は、何が大変かというと交通費がかかる点が大きな負担になります。
多くの家族は、公共交通機関の割引サービスを使って、交通費をやりくりされています。
鉄道や高速道路には、割引サービスがあります。
鉄道
JRといった鉄道関係は、介護割引はありませんので、誰でも使える鉄道を利用するときの節約方法を活用しましょう。
早期割引サービス | 早めに予約すると、運賃が割引になります。 ネット予約をする際に、会員登録をする手間はありますが、年会費は無料です。 利用する日から、1日でも早く予約すると割引率があがります。 |
株主優待券 | 10%~50%の割引になります。 金券ショップやメルカリで販売されている事がありますので、株を買わなくても、そこで購入すれば誰でも手に入ります。 |
高速道路
ETCがあれば、時間帯割引、休日割引が適用され30%割引されます。
時間帯割引深夜0時から4時・休日は地方都市の高速道路であれば、割引が適用されます。
ETCの割引サービスは、使用する高速道路によって、割引が適用される、されないがありますので、詳しくは、「ドラプラE-NEXCO」をチェックしてみてください。
在宅介護から施設介護へのステップ
夫婦で認知症になると、頭に浮かぶのは施設介護です。
施設介護を考える際、夫婦同時に入居させてあげたいと思う方は多いものです。
その際のステップをご紹介します。
(1) 在宅介護の際は、ディサービスや訪問介護を利用しながら、介護施設の検索を行い、申し込みます。
(2) 施設は、比較的入居しやすい「サービス付き高齢者住宅」「有料老人ホーム」を探します。
※費用面が不安な時は、「特別養護老人ホーム」も申し込んでおきます。
(3) 順番が来れば「特別養護老人ホーム」へ移行します。
施設を探している間は、訪問介護やデイサービスを利用します。
訪問介護は、地域に「定期巡回」のサービスがあれば、定額料金でヘルパーに1日に複数回来てもらう事ができます。
≪画像元:兵庫県≫
【認知症の夫婦の、サービス提供事例】
朝7時、起床介助と簡単な朝食の準備と薬の内服
昼12時・夕18時、宅配弁当の提供と薬の内服
20時、オムツ対応と眠前薬の内服
現実問題、金銭面が厳しく、軽い認知症があっても在宅で一人暮らし、夫婦で暮らされている方はいます。
その場合、訪問介護やデイサービスを活用しながら生活されていますが、認知症が重度になると、施設へ入所することを考える必要があります。
現在の施設状況としては、「サービス付き高齢者住宅」「有料老人ホーム」の数が増えてきており、比較的入居しやすいです。
しかし、料金が高いのがデメリットです。
多くの家族は、「サービス付き高齢者住宅」「有料老人ホーム」に夫婦で入居され、「特別養護老人ホーム」が決まったら、「特別養護老人ホーム」へ夫婦でうつられる方が多いです。
夫婦での施設入居の場合、費用負担を安くするには?
夫婦で施設入居される場合、費用は2倍になります。
結論から言うと、施設入居の際にご夫婦で入居の際に、割引されるサービスはありません。
しかし、費用面を、少しでも安く抑えたいという方法として次の2点があげられます。
・ 2人部屋がある施設を探す
・ 介護度が低くても入れる「ケアハウス」の検討
2人部屋がある施設
「サービス付き高齢者住宅」「有料老人ホーム」「ケアハウス」の2人部屋を選択すると、居室代が1室分の請求で済みます。
公的施設であれば、費用面が安く済みますが、認知症があっても介護度が低い場合には「特別養護老人ホーム」の申し込みはできませんので注意が必要です。
しかし、介護度が低くても、入居ができる公的施設があります。
それは、「ケアハウス」と呼ばれる公的施設です。
≪画像元:学研cocofump≫
初期費用は、0円~100万円ほどかかります。
月額費用の平均相場は、6万~17万ですが、月額費用を決めるのは、所得です。
所得が安ければ月額費用も安くなりますが、初期費用がかかるのがデメリットです。
要介護度が低い認知症の方でも、入居が可能です。
一般型は介護サービスがないので、介護度が高くなれば退居の可能性があります。
しかし、介護型であれば、看取り加算が付いていれば、長く入居できます。
デメリットは、希望する高齢者の数に対して、施設数は少なく、費用面でも安く抑えられることもあるので順番待ちが発生している状況であるという点です。
夫婦で同時に入居を検討される場合は、「特別養護老人ホーム」と同じく、順番を待つことになります。
複数のケアハウスの申し込みをすることで、早く入居できる可能性が高くなります。
夫婦で同じ施設への入居もおすすめ
認知症の在宅介護は、大変です。
夫婦で発症となるともっと大変です。
遠方に住んでいる家族の方は、交通費の心配だけではなく、離れている間「何かトラブルを起こしていないか」といった気苦労を抱えておられるご家族も多いです。
施設がすんなり決まればよいのですが、決まらない間は、訪問介護やデイサービスの活用をおすすめします。
何かあればすぐに家族に連絡がいくようになっているので安心です。
夫婦同時に施設に入れば、認知症になっても一緒に過ごされている事が多いです。
同じ施設に入居する事で、家族の負担も軽減され、認知症のご両親も安心して生活をすることができるので、夫婦で同じ施設での入居を検討することをおすすめします。(執筆者:現役老人ホーム施設長 佐々木 政子)
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