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【住宅ローン】借り過ぎの原因と結末、対策について現役銀行員がアドバイス


「住宅ローンを借りすぎてしまい、いまは後悔している」

勤続30年の銀行員として、私は住宅ローンのお客様から良く相談を受けます。

  • どうして住宅ローンを借りすぎてしまうのか?
  • 適正な借入はどうやって決めれば良いのか?

 

今回は、住宅ローンの借りすぎが発生してしまう理由と、その対処法について解説します。

住宅ローンを借り過ぎた

築10年目「後悔しない住宅設備の直し方」 当初予算より22万節約できた実例2つ

住宅ローンを借りすぎてしまう理由1:周囲が多く借りることをすすめる

自宅を手に入れる方法は、マンションや一戸建ての購入、新築などいくつもありますが、それぞれにさまざまなお金が必要になります。

そして、それぞれに対応している業者がいて、こうした周囲の人が口をそろえて「なるべく多く借りたほうがいいですよ」と勧めてくる傾向があります。

ここでいう業者は、

  •  マンションや建売、中古住宅 → 不動産屋さん
  • 新築 → ハウスメーカーの担当者
  •  住宅ローンを借りる → 銀行など金融機関の担当

といった人達です。

こうした担当者は、家を売る、土地を売る、住宅ローンを貸すのが目的で、可能な限り契約を早く、そして確実に進めようと考えます。

そのため自己資金に不安がある人に対しては、

「借入れが可能なら、できるだけ多く借りたほうがいい」

自己資金がそれなりにある人に対しても、

「将来のため、なるべくお金は残しておきましょう」

とどちらにしてもなるべく多くローンを組むべきと進めます。

住宅リーンを借りすぎてしまう理由2:ローン審査の年収は「手取り」ではない

住宅ローンの融資審査では、年収に対する住宅ローン返済額の比率を「返済比率」と言い、一般的に年収の3割(30%)程度が目安と言われています。

ここでいう年収とは、手取りのことではありません

住宅ローンの申し込みでは、源泉徴収票や所得証明書が必要になりますが、こうした年収証明書類にある「支給額」がローンで言う年収のことです。

たとえばサラリーマンの場合、給料の支給額から税金や社会保険、失業保険などが天引きで差し引かれ、最後に残ったお金が給料として銀行に振り込まれます。

これが「手取り」で、現実にはこの手取りで住宅ローンを返済することになります。

一般的に、給料支給額の8割程度が手取り

ローンの返済比率30%であれば、年収(支給額)500万円の人なら年間150万円までの返済ならローン審査が通るという計算になります。

このとき、年収(支給額)500万円の人の手取りは400万円(支給額×80%として)となり、月給に直すと1か月33万円の手取りとなり、毎月12万5,000円(返済額年間150万円÷12)を返済していくことになり、手取り400万円に対した実際の返済比率は37.5%に上昇します。

パーセンテージだとイメージしにくいので金額に直すと、

「年収(支給額)500万円で返済比率30%の住宅ローンを組むと、手取り毎月33万円で、13万円弱の住宅ローンを毎月返済していく」ことになります。

手取り金額からは生活費や学費などさまざまな出費を支払わなければなりませんので、決してラクではないと思います。

ローン審査で用いる年収と、実際の手取り額とは違うことを認識していないと、借りすぎになってしまう原因になりますので、ここにも注意が必要です。

いまできる対策

紹介した実例のように、住宅ローンを借りすぎてしまえば、遅かれ早かれ「住宅ローン貧乏」に陥ります。

住宅ローン貧乏とは、収入の大半を住宅ローン返済に回さなければならず、生活が貧乏になること。これを防ぐには、どのようにすればよいのでしょうか。

対策1:家計を見直す

借りすぎてしまったとして、もしも住宅ローン返済が苦しくなり始めたなら、とにかく家計を見直しましょう。

なかには「もう節約はしていて、これ以上けずるお金はないよ」という人もいます。

見直し先例:生命保険

住宅ローンは団体信用生命保険加入が必須ですが、これはローンを借りている人が死亡した場合などに保険金が支払われ、ローンが完済される仕組みです。

2,000万円の住宅ローンを借りている人は、死亡すれば2,000万円が支払われてローンがなくなる生命保険に加入していると考えられます。

団体信用生命保険は、毎月ローン返済に含む形で保険金を支払い、その時点のローン残高が保証されます。

死亡時にはローンがなくなりますが、不足も余剰も発生しない原則です。

対策2:売却して「リセット」も考える

それでもローン返済が大変になると、自宅売却を検討する場合もあるでしょう。

自宅を売却することを「任意売却」と呼び、持ち主が任意で不動産を売却するという、つまりはよくある不動産売買を指します。

返済ができなくなると担保になった自宅が強制的に売却される「競売(ケイバイ)」になる可能性があります。

強制的に売却するので、当然ながら売却以前に自宅を明け渡さなければいけません。

任意売却は、自分が売主として不動産業者に買主を探してもらい売却をします。

任意とはいっても、ローンを融資している銀行の許可が必要になります。

原則として住宅ローン残額を完済できる額以上でないと、銀行は売却を許可してくれません。

自宅の建物は時間経過とともに価値が下がりますし、購入した時より高く売れることは、最近の地価動向からまずあり得ません。

ローンが減るスピードよりも家の価値が下がるスピードのほうが早いので、希望する金額で売るのは難しくなり、不足する分を自分で準備することも良くある話しです。

対策3:住み続けながらリセット

こちらは、自宅を売却して住宅ローンをリセットするまでは任意売却と同じです。

売却してもそのまま自宅に住み続けることができるリースバックになります。

売却したことで業者の所有になりますが、そのまま今まで通りに住み続けられるという仕組みになっています。

リースバックの流れは、

  •  住んでいる自宅を、専門の業者に売却する
  •  売却して受け取ったお金で住宅ローンを完済
  •  売却した業者から自宅(元自宅)を賃貸する
  • 毎月家賃を払って、元自宅に住み続ける

任意売却とリースバックは、銀行員として手放しでおすすめするものではありません。

たとえば任意売却では、ローンがなくなる代わりに自宅も手放し、そのあとはアパートなど賃貸で暮らす場合もあります。

リースバックではそのまま住み続けられるとはいっても、その家は自分の持ち物ではありません

万一、家賃の支払が滞れば、今度こそ出ていく必要に迫られるかも知れません。

任意売却やリースバックをアピールするサイト記事の中には、これらへ誘導する意図が感じられるものも多く、ご自身でしっかりと契約内容を確認して、慎重に考える必要があります。

住宅ローンをいくら借りると借りすぎか

自分自身で考える

その人その人に適正な借入額があるとも言えます。

ハウスメーカー、不動産業者、そして銀行員など、それぞれが提案もしてくるでしょう。

このとき、相手の話をしっかり確認せず「流されて」しまうと、気づいたら借りすぎという結果も招きかねません。

自宅を手に入れるのも、住宅ローンを借りるのも、返していくのもあなたです。

登場人物は、仕事が終わったら去って行きます。

1人になって後悔しないよう、必ず自分の考えを持ち続けることが大切です。(執筆者:銀行員一筋30年 加藤 隆二)

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