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家賃滞納が発生した時にオーナーがすべきこと|強制退去のポイントを徹底網羅


家賃滞納が発生した場合、オーナーはまず電話・メール・書面で賃借人に催促することが重要です。その後、現地訪問や連帯保証人、家賃保証会社への請求、内容証明郵便での督促を検討します。一方で、賃借人と直接交渉したり、脅迫的な行動や不正な手段(夜間の頻繁な催促、無断入室など)は避けるべきです。滞納が続く場合は、法的手続きを考慮する必要があります。家賃滞納を防ぐためには、入居審査を徹底し、連帯保証人や保証会社の利用、管理会社への委託、自動引き落としの導入などが推奨されます。滞納後は迅速な対応が望まれます。強制退去の条件としては、家賃を3ヶ月以上滞納し、賃借人との信頼関係が破綻している場合です。

家賃滞納が発生した時にオーナーがすべきこと|強制退去のポイントを徹底網羅

家賃の滞納が起きた場合、オーナーにとっては家賃収入が途絶えてキャッシュフローを悪化させるだけではなく、家賃を回収するため法的手続きに発展する可能性もあるため、不動産投資を行ううえでもっとも避けるべきリスクのひとつとされています。

本コラムでは、家賃滞納が起きた時にオーナーがすべきことや、してはならないこと、強制退去の流れ・費用について詳しく解説します。

家賃滞納が起きた時の選択肢

家賃滞納が発生した時にオーナーがすべきこと|強制退去のポイントを徹底網羅
(画像:PIXTA)

ここでは、家賃滞納が発生した際にオーナーが行うべき行動について解説します。

賃貸管理会社に管理を委託している場合には、これらのステップはすべて管理会社が行うため、オーナーが直接対応する必要はありません。そのため以下に紹介する方法は、自主管理を行っているオーナーや、保証会社等を利用していない場合の対処法となります。

ステップ1.電話・メール・書面で催促する
ステップ2.現地を訪問する
ステップ3.連帯保証人や家賃保証会社に請求する
ステップ4.内容証明郵便で催促する

ステップ1:電話・メール・書面で催促する

家賃滞納が発覚したら、すぐに入居者へ電話・メール・書面などで、任意での支払いを催促しましょう。滞納が単純な支払い忘れや振替口座への入金忘れなどによるものであれば、一度の催促で支払われることもあります。まずは、家賃滞納している理由を把握することが重要です。

催促は、一日に何度も行うより、間隔を空けながら継続的に行うほうが効果的です。ただし、深夜や早朝に催促をすると不法行為になってしまう可能性があるため、時間帯や頻度には注意しましょう。時間帯の目安として、20時から7時以前の深夜早朝は避けるようにしましょう。

ステップ2:現地を訪問する

電話等による催促に反応がない場合、現地訪問も検討しましょう。しかし、対面での催促はトラブルに発展するリスクが高いため、慎重に行う必要があります。

そのため訪問の目的は、入居者の生活実態の確認にとどめることをおすすめします。例えば郵便受けに大量の郵便物が溜まっている場合には、家賃を滞納したまま退去している可能性や、最悪の場合には室内で亡くなっている可能性もあります。

入居者が行方不明になっている場合には、「公示送達」という方法で裁判を進めることが可能になります。公示送達とは、裁判所へ掲示することにより被告(入居者)へ訴状を送達した扱いにできる制度です。

また、断りなく第三者に転貸しているケースもあるため、必要に応じて近隣住民にも状況を確認してみるといいでしょう。

ステップ3:連帯保証人や家賃保証会社に請求する

賃貸借契約において連帯保証人や家賃保証会社が設定されている場合、滞納した家賃の支払いを請求できます。連帯保証人には賃借人と同等の支払い義務があるため、滞納家賃のほか遅延損害金も併せて請求することが可能です。

連帯保証人に請求する際には、まずは電話や書面で通知し、家賃の滞納状況を説明するようにしましょう。保証人になるのは賃借人の親族であることが多く、保証人から賃借人に連絡がいくことで心理的なプレッシャーとなり、賃借人が自ら支払うケースも考えられます。

また、家賃保証サービスを利用している場合は、家賃保証会社へ連絡をしましょう。家賃の滞納が確認できた場合、家賃保証会社より滞納家賃分の支払いが行われます。

ステップ4:内容証明郵便で催促する

通常の催促で返答がない場合には、次のステップとして内容証明郵便を利用して督促状を送付します。内容証明郵便とは郵便局が送付内容を証明する郵便のことで、「請求した証拠」として後に裁判などの法的手続きに進んだ際に強力な証拠となります。

督促状には、以下の内容を明確に記載します。内容証明郵便は自力で作成・送付することも可能ですが、法的措置へ移行する可能性を考慮し、弁護士などの専門家に依頼しましょう。

内容証明郵便に記載すべき内容
・賃貸物件の表示
・滞納している家賃の金額
・支払い期限
・遅延損害金の計算方法
・滞納している家賃等の支払い方法(振込先の銀行口座など)
・期限までに支払いがなされない場合の対応(契約解除・法的措置の可能性など)

内容証明郵便には「配達証明」をつけ、相手に送達された時期がわかるようにすることで、相手から「受領していない」と言われるリスクを避けることができます。

家賃滞納が発生した時のオーナーのNG行動

家賃滞納が発生した時にオーナーがすべきこと|強制退去のポイントを徹底網羅
(画像:PIXTA)

家賃滞納が発生したとしても、オーナーは以下のような行為をしてしまうと、契約の解除・強制退去が認められにくくなってしまいます

また、当該行為自体が違法なものであるとして、損害の賠償を請求されたり、場合によっては刑事事件として処罰されたりする可能性があります。

・管理会社がいる場合に、賃借人と直接交渉する
・脅迫的な言動により催促する
・玄関やポストなどに張り紙をする
・深夜早朝(20時以降・7時以前が目安)に催促する
・同日中に何度も繰り返し催促する
・勤務先や学校などに連絡する
・無断で室内に入る
・無断でポストを開ける・郵便物を取り出す
・無断で鍵を交換する

そのため、仮に家賃の滞納が長期間に及ぶ場合であってもこのような行動は避け、弁護士に相談するなど法的な観点から手続きを行うことが重要です。

強制退去にできる条件

家賃滞納が発生した時にオーナーがすべきこと|強制退去のポイントを徹底網羅
(画像:PIXTA)

家賃滞納は、賃貸借契約における賃借人の債務不履行に該当するため、賃貸人は相当の期間を設けて催告をし、この期間内に履行がなければ、契約を一方的に解除することが可能です(民法541条)。

しかし、賃貸借契約を解除されると、賃借人は住居を失うことになり、多大な不利益を被ってしまいます。そこで法律上、不履行が「軽微」な場合には、賃借人は一方的な契約解除ができないことになっています(同条ただし書き)。

(催告による解除)
第五百四十一条 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。出典:e-Govポータル (https://www.e-gov.go.jp

賃貸借契約において賃借人の地位は厚く保護されており、賃貸人による解除が認められるかどうかはケースバイケースです。以下では、どのような場合が「軽微」な不履行に当たらず契約を解除できるのか、過去の裁判例を挙げて紹介します。

家賃を3ヵ月以上滞納していること

契約を解除するには、債務の不履行、すなわち家賃の滞納があったことを証明する必要があります。しかし、家賃1ヵ月分の滞納のみで解除を認めるのは、賃借人にとって酷であると判断される場合があります。

例えば、3ヵ月に渡り複数回催促しているが、家賃が支払われない場合には強制退去が認められる傾向にあります。3ヵ月の滞納で契約解除が認められた事例もありますが、単なる滞納期間だけでなく、賃貸人と賃借人との信頼関係も重視されています。賃貸人と賃借人との信頼関係が損なわれたと判断されるほど長期間に渡って滞納が続いた場合に、初めて賃貸人は解除権を行使できるとされています。3ヵ月の滞納で解除を認めた判例もありますが、一般的には6ヵ月以上の滞納が解除の目安とされています。

また、賃借人との間で「一度でも家賃を滞納すれば催告なしで契約を解除する」との特例(無催告解除特則)を設けていたとしても、無催告での解除を認めることが不合理ではないような事情がある場合にのみ解除ができると解釈されています。

賃貸人との信頼関係が破壊されていること

賃貸人による契約の解除が認められるためには、賃借人・賃貸人の間で、信頼関係が破壊されていると判断される必要があります。具体的には、賃借人による以下のような行為があれば、信頼関係が破壊されたと評価される傾向にあります。

・3ヵ月以上にわたって家賃滞納が続いている
・賃貸人による督促を無視している
・相当程度、賃貸物を破壊している
・相当程度、賃貸物を無断で増改築している
・賃貸物を無断で転貸している
・賃貸人が被る不利益が甚大である(家賃が高額な場合など)

もっとも、賃借人と賃貸人の信頼関係が破壊されているかどうかは、不履行の程度、賃借人の行為態様、賃貸人が被る不利益などを総合的に考慮して判断される点に注意が必要です。

例えば、賃借人が交通事故に遭って一時的に就業できないという事情があり、そのことを真摯に賃貸人に説明しているなど不可抗力ややむを得ない事情がある場合には、家賃の滞納が3ヵ月以上に及んでいたとしても、未だ信頼関係が破綻していないと判断され賃貸人による解除が認められない可能性もあるでしょう。

なお「信頼関係」には「賃借人の、賃貸人に対する信頼関係」も含まれるため、例えば台風で賃貸物の一部が損壊したのに賃貸人がこれを放置し、賃借人が自費で修繕していたなどの事情があると、賃貸人による契約解除は認められにくくなってしまいます。

契約解除について詳しくは、下記の記事も参考にしてください。

【関連記事】家主から賃貸契約解除通知書を出すには?解約の正当な理由・書き方

強制退去の流れ

家賃の滞納が長期間に及び、すでに信頼関係が破壊されているといえる場合には、裁判所に申し立てることで賃借人を強制退去させることが可能です。強制退去に至る主な流れは、次の通りです。

1. 内容証明郵便による「督促状兼契約解除通知書」を送付する
2. 裁判所に建物明渡請求を申し立てる
3. 裁判所に強制執行を申し立てる
4. 執行官による現地確認
5. 強制執行(強制退去)

いずれも自ら手続きを行うことも可能ですが、強制執行手続きには高度な専門知識と経験が求められるため、できる限り弁護士・司法書士に依頼することをおすすめします。

強制退去の費用はどれくらい?誰が負担する?

強制退去に必要な費用は賃料や滞納期間等によって異なります。主な費用項目は次の通りですが、具体的な内訳は状況によって変わるため、弁護士・司法書士に相談して見積もりを出してもらうといいでしょう。

項目費用相場の目安
内容証明郵便・内容証明郵便の費用1,300円程度
裁判費用
(東京地方裁判所の場合)
合計:60万円程度
・明渡請求の訴訟費用:8万1,000円
・(内訳:予納費用:6万5,000円、予納郵便切手代:6,000円、印紙代:1万円程度)、不動産謄本など:5,000円〜
・保証金:50万円程度(訴訟後に返還)
強制執行費用
合計:20万円程度
・解錠技術者費用:2万円〜
・荷物搬出費用:15万円〜
・廃棄処分費用:2万円〜
・荷物保管費用:2万円〜
弁護士費用
合計:60万円~70万円程度
・相談料:5,000円〜/30分
・着手金:15万円〜
・報酬金:15万円〜
・明け渡し手数料:15万円〜

強制執行にかかった費用は、賃借人に対して請求することが可能です(民事執行法42条)。ただし弁護士費用の請求はできず、賃貸人の負担となります。

もっとも、強制退去に至るほど賃料を滞納している以上、賃借人は生活に困窮している場合が多いため、未払い賃料や手続き費用の全額を回収することは難しいのが実情です。特に賃借人が自己破産をすると、回収は事実上不可能となってしまいます。

家賃滞納を未然に防ぐためには

家賃滞納が発生した時にオーナーがすべきこと|強制退去のポイントを徹底網羅
(画像:PIXTA)

ここまで紹介したように、家賃滞納への対応や、強制退去などの法的手続きには多大なコストがかかるため、家賃の滞納が起きないようにあらかじめ対策を講じておくことが重要です。

以下からは、家賃滞納を未然に防ぐための具体的な方法を5つ解説します。

入居審査を徹底する

家賃滞納を防ぐために最も重要なのが、入居審査を徹底し、賃料の支払い能力を確認することです。

もっとも、不動産オーナーが個人で行える審査には限界があるため、賃貸管理会社や家賃保証会社と提携し、専門的な調査を依頼することをおすすめします。専門業者であれば、入居希望者の職業や収入・勤続年数、過去の賃貸履歴、信用情報などをチェックできるため、滞納リスクが高い入居希望者をあらかじめ排除することが可能です。

連帯保証人・家賃保証会社をつける

賃貸借契約について連帯保証人を設定することで、賃借人が家賃を滞納した際に保証人へ請求することができるようになります。ただし、連帯保証人自身が支払い能力に欠ける可能性もあるため、より確実な対策として家賃保証会社を利用するのもおすすめです。

保証人がいると滞納時に家賃収入が途絶えるリスクを軽減できるだけでなく、保証人がいること自体が賃借人への心理的プレッシャーとなり、滞納リスクそのものの軽減にもつながります。

賃貸管理会社をつける

賃貸管理会社に契約管理業務を委託することで、家賃回収や督促業務などを代行してもらうことが可能です。また、管理会社が賃借人との窓口となるため、賃借人と直接的な交渉をする必要がなくなり、心理的な負担も軽減されます。

ただし、管理会社によって提供するサービス内容が異なるため、どこまでの業務を委託できるのか契約前に確認することが重要です。また。管理委託費用が発生するため、収益とのバランスを考えながら管理会社を選択しましょう。

自動引き落とし・クレジットカード払いにする

家賃の滞納は、支払い能力の喪失など原因が一定期間継続するもののほかに、払込票の紛失や口座の残高不足など一時的なミスによるものもあります。そのため、家賃の自動引き落とし口座を給与口座や残高のある口座振替に設定したり、クレジットカード払いを導入したりすることで、滞納を防ぐことも重要です。

特にクレジットカード払いであれば、カード会社によっては家賃支払いであってもポイント付与の対象となるため、入居希望者にとっても魅力的であり、空室リスクを下げるという副次的な効果も期待できます。

滞納後は早めに対応する

家賃滞納が発生した場合、時間が経つほど回収が難しくなります。特に、滞納が長期化すると、訴訟や強制退去手続きを検討せざるを得なくなり、結果としてコストがかさむことになるからです。

そのため、滞納が発生したらできるだけ早い段階で入居者と連絡を取り、速やかに解決を図ることが重要です。早期の催促や柔軟な支払いプランの提案、場合によっては弁護士や管理会社と連携して適切な対応を進めることで、トラブルを最小限に抑えるようにしましょう。

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