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紙の本VS電子書籍 脳に与える影響とは【Book】


皆さんは紙の本と電子書籍、どちらがお好きだろうか?

そんな質問に、私は迷いもなく「紙の本」と答える。
私は紙の本をこよなく愛している。電子書籍だと、なぜか“本を所有している”という感じがしない。紙の質感とめくるときの触り心地、紙のにおい、それは紙でしか得ることのできない価値であると思う。“モノ”としての本が好きだからこそ、やっぱり“所有している”実感がほしいのかもしれない。

本が好きな読書家は、本の付属品であるブックカバーや栞などにもこだわりを持つ。電子書籍ではそれが必要なくなってしまうので、それもまた寂しい。たくさんの本を一つのタブレットにまとめて、いつでもどこでも持ち運べる電子書籍の利便性は素晴らしいが、紙の本には利便性以上の価値を感じてしまうのだ。

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紙の本か?電子書籍か?この論争に、学究的な視点から答える興味深い本があった。言語脳科学の第一人者である酒井邦嘉氏が綴った『脳を創る読書』だ。本書は、読書と脳の関係性、脳の特性を明らかにした上で、紙の本と電子書籍で読書した場合、それぞれの脳の反応について解説している。

単に、紙の本と電子書籍の利点や欠点に言及するだけでなく、活字を読む、音楽を聴く、映像を観るといった認識行為に対し、脳はそれぞれどのように反応するのか、読書がどのように脳を育むのかなど、専門的な知識を交えて解説しており、勉強になった。

私は幼い頃から読書が大好きで、様々な本を読んできたが、読書という行為がここまで想像力を高めているものとは考えたことがなかった。脳の働きを知ることで、行間を読んだり不足している情報を補ったりしている脳ってすごい、読書ってこんなに想像力を使うものなのだと実感することができた。

そして、本題の「紙の本」か「電子書籍」か論争について。私はこれまで冒頭で述べたように、自分の経験や思考に基づき「紙の本」の素晴らしさを語っていたと思う。本書では、もちろん著者の思考も入っているが、“脳科学的に分析する”という視点にハッとさせられるものがあった。

本書の単行本は、『なぜ「紙の本」が人にとって必要なのか』という副題が付いており、一見「紙の本」論者であると見えるが、かたくなに「紙の本でないとダメ」と言っているわけではなく、電子書籍を否定するわけでもない。だから、どんな立場の人にとっても読みやすいと思う。著者の考えとその理由は、本書を読んでのお楽しみとしておこう。

本書は、紙の本が好きな人も、電子書籍が好きな人も、どちらを選ぶべきか悩んでいる人も参考になるだろうし、また読み書き能力をつけたい人も、脳の仕組みを知ることのできる良い機会になると思う。
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誰が何と言おうと、紙の本がこの世に存在する限り、私はこれからも紙で本を読むのだろうと思うが、調べ物や研究として本を読む場合は、文章中の文言を検索できる電子書籍のほうが適しているな、などと考えたりもする。どちらでも好きなほうを選べる時代というのは、贅沢なのかもしれない。

(フィスコ 情報配信部 編集 細川 姫花)

『脳を創る読書』(じっぴコンパクト文庫) 酒井邦嘉 著 本体価格660円+税 実業之日本社




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