海外企業インタビュー:暗号通貨メディア「AMBCrypto」(インド)【フィスコ・仮想通貨コラム】
○エイエムビー・クリプト
暗号通貨ウェブメディア。金融・IT方面での執筆及びメディア運営経験の豊富なジェーヴァン・トーマス氏と、AI・ブロックチェーンの技術的側面に詳しく執筆経験もあるヒマンシュ・クマー氏が共同で2017年12月に設立。バンガロールに本社を置き、全世界に向けて英語で暗号通貨関連の情報配信を行う。設立半年ほどだが、月間PVは100万を超え、ライターの数はすでに20名以上と急成長中の企業である。
—インドで暗号通貨はそれほどホットではない。国内にはいくつか大きな取引所が存在するが、著名なICOプロジェクトは少ない。
■インド国内における暗号通貨の認知度はどの程度か
現状そこまで高くはない。イベントはたくさん行われているが、基礎的なブロックチェーンの話などが多く、これから認知されていく段階だと思う。
■国内の主要取引所はどこか
バンガロールに本社を置くウノコインが最大ではないか。ムンバイにあるゼブペイも大きいという印象がある。
■国内でビットコインを直接決済に用いることはできるか
インド国内でビットコイン決済などの仕組みはない。暗号通貨を使ってモノを買うためには、取引所で一度法定通貨に戻す必要がある。
■暗号通貨に対する課税はどのように行われているのか
取引所での取引毎に日本のマイナンバーのようなものを入力する必要がある。その履歴に従って取引所が政府に税金を納める仕組みになっているので、課税逃れはできない。
■国内で有名なICOプロジェクトはあるか
プロジェクトとしては一つあったと思うが、ほとんどないに等しい。
—インド政府はブロックチェーン技術に対する理解はあるが、まだ暗号通貨の魅力を十分に理解できていない。暗号通貨が規制によって禁止されることに対して相当な反対運動があるだろう。
■規制報道を受けてどのように感じているか (※インタビュー後、4月5日にインド準備銀行(中央銀行)が規制を発表したことについて、ジェーヴァン氏にコメントを求めたもの)
国内で相当な抵抗があるのではないかと思う。すでにこの規制に対する反対運動が立ち上がっており、多くの人が賛同している。インド政府はまだ十分に暗号通貨の持つ魅力を理解しておらず、経済にとってリスクになると考えているのだろう。一方で、ブロックチェーン技術に対する理解は進んでおり、すでにいくつかの政府内のセクターにおいて実証実験が進んでいる。
現在、何か大枠の方向性が決まった訳ではないため、取引所が具体的な規制の対象になるまでは、インドにおいても暗号通貨の取引を行うことはできる。
■インドで暗号通貨に対して影響力を持つ人物はいるか
現状そういった立ち位置の人物はいないように思う。確かに大手取引所のオーナーはインドの暗号通貨の発展に貢献していると思うが、国全体の暗号通貨領域をリードするというよりは自社サービスの拡大にフォーカスしているというイメージが強い。
■国内の暗号通貨の情報配信に関してはどういった状況であるか
インドの暗号通貨に特化したウェブサイトは現状ない。youtubeなどにおいて、いくつかローカルの言語で情報配信を行なっているチャンネルはあるが、数は多くない。
—世界に通用する暗号通貨メディアを作りたかった。今は全世界からアクセスが来ており、今後拠点をインドの外に移す可能性もある。
■現在情報収集はどのような方法で行なっているか
SNSを中心に、全てインターネット上で行なっている。一次情報の発信者をフォローすることが大事であり、より早く正確な記事を書くためにそれを最も意識している。インド人以外のメンバーもおり、各国の報道を幅広く押さえている。
■日本の暗号通貨市場についてどのようなイメージを持っているか
大きな市場だと考えている。現在のメディアには全世界からアクセスが来ているが、日本とロシア、韓国だけは全くアクセスがない。なので、どうにか日本のユーザーのアクセスを増やせないかと考えている。
■今後の目標は
暗号通貨関連のニュース配信に関して、世界でトップになること。そのためには当然、日本や韓国、ロシアなどの地域へのアクセスも伸ばさないといけない。また、暗号通貨のみならずブロックチェーン関連のプロダクトに関する情報提供も行なっていきたい。
インドのバンガロールを拠点に事業をスタートしたが、元から全世界を対象としたメディアを構想していたので、インドの外に活動拠点を移し拡大していく可能性もある。いずれにしよ、情報配信という観点から暗号通貨業界の発展に寄与できればと考えている。
—最後に
バンガロールは、あの雑多で混沌としているインドのイメージとは異なり、もはや「普通の都市」であった。各所におしゃれなカフェやコワーキングスペースがあり、快適に仕事ができる環境が整いつつある。取材に訪れたエイエムビー・クリプト社のオフィスも綺麗なコワーキングスペースの一角にあり、日本でミーティングする際と比べ何ら違和感のない形でインタビューができた。
将来世界一の人口を擁する国において、何らかの規制を考えるとなった際、どうしても保守的にならざるを得ないのはある意味仕方がない。ようやくスマホが普及し、電子化に向けてインフラが整い始めた中で、あえて今暗号通貨を積極的に採用する理由はないのかもしれない。
しかし、一方的に全面禁止に踏み切るのではなく、その先の未来の可能性や事業者のモチベーションを考え、インド政府がうまく規制の枠組みをコントロールしながら業界の発展をサポートしていく未来を心から願っている。その意味において、こいうったインド発のウェブメディアが果たす役割は少なくないであろう。
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記事提供:株式会社Baroque Street
Twitter: @AbroadCrypto
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