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日本国土開発 Research Memo(6):2028年5月期にROEで8.0%、営業利益90億円を目指す


*11:06JST 日本国土開発 Research Memo(6):2028年5月期にROEで8.0%、営業利益90億円を目指す
■中期経営計画

1. 日本国土開発<1887>の中期経営計画2027
国内景気は雇用・所得環境の改善により回復傾向が続いているが、地政学リスクなどにより海外経済の先行きが不透明になってきたため、国内企業の成長も今後ペースが鈍化すると見られている。建設市場に関しては、堅調に推移しているうえ、脱炭素化関連投資や国土強靱化投資が拡大することが期待されている。一方、担い手不足や資材・労務費の高騰、少子化に伴う住宅建設投資の減退などにより収益性低下の懸念があるため、AIやICTなどのDXを進めることで各社とも労働時間削減や生産性向上につなげようとしている。また、大地震や豪雨など激甚災害の発生確率が高まるなか、今後、被災地の復旧復興に果たす建設業の役割が大きくなっていくと考えられている。

こうした外部環境認識を踏まえ、同社は2025年7月に「中期経営計画2027(2026年5月期〜2028年5月期)」を策定した。「中期経営計画2027」では、「持続的に利益を生み出す経営基盤を再構築し、『成長軌道への回帰』を実現する」というミッションを定めた。また、着実に収益力を向上することで、長期ビジョン最終年度の2031年5月期にはROE10.0%の達成を目指す方針である。このため「中期経営計画2027」では、各事業が後述する基本方針に沿って戦略展開し、安定的に利益を生み出す経営基盤を再構築・強化する考えだ。最終年度となる2028年5月期に向け、ROEで8.0%(2025年5月期は2.0%:同社は株主資本コストを6.0%〜7.0%程度と認識)、営業利益90億円(同23億円)、3ヶ年投資額740億円(前中期経営計画期間中は330億円)、DOE(株主資本配当率)2.5%〜3.5%(同2.5%〜3.0%)とする主要経営目標を掲げ、積極的な成長投資と株主還元の強化を並行して推進する方針である。

2. 基本方針
(1) 土木事業
土木事業では、適正利益を確保した受注活動と施工管理体制強化により3ヶ年で事業体質を改善する一方、強みを生かした事業に注力して「持続的な安定事業への回帰」を目指す。これにより、2028年5月期に売上高500億円(2025年5月期は377億円)、セグメント利益23億円(同45億円の損失)を達成する計画である。基本施策としては、「インフラリニューアル」「防災減災」「復興」への取り組みを強化し、社会課題の解決に貢献する考えである。また、同社が得意とする回転式破砕混合工法を使用する工事や大規模造成工事を拡大するとともに、前中期経営計画から進めている生産性の向上にも引き続き注力する方針である。

(2) 建築事業
建築事業では、適正利益確保のための受注活動を展開するとともに品質管理を中心とした現場管理を徹底するほか、設計施工から維持管理まで建物ライフサイクルすべてをサポートすることで、安定事業から成長事業への脱皮を図る。これにより、2028年5月期に建築事業の売上高870億円(2025年5月期は746億円)、セグメント利益35億円(同25億円)を目指す。基本施策として、主要領域である物流施設・オフィスビル・食品工場を中心に、エリア別の注力マーケットを確立する方針だ。また、設計・施工の品質向上はもちろん積算・購買力強化に努め、同社のみならず顧客の収益力向上を図る。さらに、竣工引き渡し後の維持管理も手掛けるなど、顧客に寄り添う「建物のトータルサポーター」へと進化することを目指す。

(3) 不動産事業及びエネルギー事業
不動産事業とエネルギー事業では、投資と回収のバランスを意識した堅実な投資によってストック収益を拡大する一方、適切なタイミングでの不動産売却によりフロー収益を確保し、2028年5月期までの3ヶ年合計で売上総利益約140億円、セグメント利益約120億円を目指す。資金調達においては、プロジェクトファイナンス※1やストラクチャード・ファイナンス※2など手法の多様化を図る考えである。

※1 特定の事業・プロジェクトに対して融資を受け、キャッシュ・フローを返済の原資として資産を担保とする手法。
※2 従来の借入や増資などによる資金調達とは異なり、特定の資産や事業を基に資金を調達する手法。

不動産事業における基本施策としては、優良な収益不動産の取得やアセットタイプの多様化、土地区画整理事業などによりストック収益を伸ばす一方、開発不動産の適時売却によるフロー収益を積み重ねていく。このほか、アセットマネジメント会社の設立による周辺分野への参入や、海外を含めた新規不動産事業の開拓・投資を推進する。エネルギー事業では、自社開発案件に加えてセカンダリーも活用し、2030年に累計発電容量200MWを目指す。また、長期安定適格太陽光発電事業者※を目指すとともに、系統蓄電所事業への参入、既存発電所のバリューアップ、高単価FIT(固定価格買取制度)案件の売却などを進め、安定した収益基盤を構築する。特に旺盛な都市部再開発や資源エネルギー庁の第7次エネルギー基本計画による需要増を着実に取り込む方針である。

※ 再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法施行規則(再エネ特措法施行規則)に基づき、太陽光発電を長期安定的かつ自立的に運営できることが経済産業大臣により認定された事業者。

(4) 新規事業
新規事業では、ANIONの本格販売開始や福島エコクリートの安定収益化、地域共創プロジェクトの事業化などを通じて、2030年代の成長を支える次世代収益基盤の構築を推進する。ANIONにおいては、南相馬工場で製造する独自製品「ADOXパウダー」の販売を拡大し、2028年5月期以降の本格的な利益貢献を目指す考えだ。石炭灰リサイクルを手掛ける福島エコクリートは、環境価値と安定収益を両立する事業としての育成を進める。このほか、地域活性化や官民連携を組み合わせた地域共創事業などを全国で推進し、新たな収益機会の創出を図る。

(5) 経営基盤の強化
同社は人財、DX、財務の各側面から経営基盤の強化を推進する方針である。人財戦略では、「働き方改革」「働きがい改革」を通じて魅力的な職場環境を構築するとともに、「採用」「定着」「育成」を通じて多様な人財の活躍推進やタレントマネジメントの実施などを推進し、人的資本の最大活用を図る。DX戦略では、システム・ツールの導入・開発と人財・組織の変革を両輪に建設DXを推進し、生産性向上とコスト削減、労働力不足への対応、品質・安全の向上、環境負荷低減に取り組む。

財務戦略では、ファイナンスの強化と財務健全性の維持を両立させる考えだ。中期経営計画期間中は自己資本比率40%以上、D/Eレシオ0.7倍以下を堅持する方針である。2028年5月期自己資本720億円を前提に、有利子負債による戦略的な資金調達力の拡大も目指す。一方、収益力強化と事業基盤拡充に向け、3ヶ年でトータル740億円の投資を計画、内訳は不動産事業420億円、エネルギー事業220億円、研究開発18億円、新規事業・M&A・DXなど82億円を予定している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)




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