Pウォーター Research Memo(4):収益力が向上し、財務基盤がさらに強化される
■業績動向
2. 財務状況
プレミアムウォーターホールディングス<2588>の2026年3月末の資産合計は前期末比23,188百万円増の135,265百万円と、資産規模が拡大した。主な増加要因は、現金及び現金同等物、その他の金融資産のうちの投資有価証券、並びに順調な顧客獲得に伴う有形固定資産(ウォーターサーバーを含む)や契約コストの増加である。負債合計は前期末比16,185百万円増の103,188百万円となった。営業債務及びその他の債務の増加、流動負債の有利子負債の増加、非流動負債の有利子負債の増加が主な要因である。資本合計は7,003百万円増の32,076百万円となった。主な増加要因は、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上により利益剰余金が増加したことである。有利子負債合計では10,016百万円増となったが、新規顧客獲得に伴うウォーターサーバー調達が使途であり、好調な営業活動を反映したものである。
経営指標である親会社所有者帰属持分比率は23.7%となり、安全性を維持しつつ上昇傾向である。現在は利益が拡大するフェーズにあり、内部留保が蓄積し続けていることから、中期的な目標であった20%以上を維持している。今後は成長しながら、30%を目指す。また、ROEは29.6%であり、食料品業界(約9%、2026年4月30日時点。出所:日本取引所グループ<8697>統計データ)などと比較しても高い水準であり、効率性・収益性の高いビジネスモデルを確立していることがわかる。
2027年3月期は営業利益で前期比6.7%増の135億円を予想
3. 2027年3月期の業績見通し
2027年3月期の連結業績予想は、売上収益で前期比2.7%増の82,500百万円、営業利益は同6.7%増の13,500百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同6.5%増の9,000百万円と、連続での増収増益を見込む。
売上収益は前期比2.7%増と微増にとどまるが、これは保有顧客数が増加するなか、浄水型ウォーターサーバー事業(天然水と比較して顧客単価が低い定額制モデル、利益は天然水と同等)の比率が上昇し、1件当たりの平均単価が減少したことが要因である。同社は、多様な営業手法で新規顧客を効率的に獲得する効率を高めるとともに、高機能サーバーの提供などを通じた既存顧客の満足度を向上や、継続率向上につながる施策(長期契約プランの販売などを含む)を実施することで、保有顧客の純増を目指す。
販売チャネルに関しては、有力企業との連携による商品提供も、今後の成長に寄与する可能性がある。特に、電力・ガス・通信などの大手企業とは、同社が業界首位であることから連携を促進する要因となっている。M&Aや資本・業務提携を通じた代理販売体制の強化の成果も期待できる。また、認知度の向上に伴い、SNSやWebを経由した販売もさらに加速するトレンドである。
利益面では、営業利益で前期比6.7%増と安定成長を維持し、営業利益率では16.4%と高い収益性を見込む。岐阜北方工場稼働拡大に伴う自社製造比率の向上や自社物流網構築により、最適な場所で製造し最適なルートで運ぶことができるため、コストを最適化(削減)する余地があり、容器原材料やエネルギーのコスト増を吸収する余力がある。
弊社では、営業面(好調な新サーバー機種、Web販売の進展、取次店との連携強化、大手企業への商品提供など)による売上拡大と、製造面(岐阜北方工場の稼働率の向上)、物流面(自社物流網の構築)の効果によるコスト抑制がかみ合い、収益性を向上させる余地が大きいと考えている。
■成長戦略・トピックス
成長する浄水型ウォーターサーバー市場でもトップレベルの顧客獲得。長期契約プランが新規獲得や解約率低下のドライバー
1. 成長する浄水型ウォーターサーバー市場でもトップレベルの顧客獲得
浄水型ウォーターサーバーの市場が近年の宅配水・ウォーターサーバー市場で成長性が高い。2025年の数字では、市場規模が274億円であり、これは宅配水市場全体の構成比で約13%に相当する。顧客数では126万台であり、宅配水市場全体の構成比で約21%に相当し、その存在感が増していることがわかる。同社は、2022年に浄水型ウォーターサーバーの市場に参入した。約1,300名が活動する営業現場では、天然水と浄水型のどちらも提案できることで、成約の確率を高めている。結果として、ウォーターサーバー市場において同社は顧客数182万件とトップレベルの実績を残している。ビジネスモデルは、天然水の配送は伴わないものの、ウォーターサーバーの初期設置やレンタル、フィルター交換などを伴うサブスクリプションに変わりはなく、1件獲得当たりのストック利益は同等レベルである。同社の業績を見るうえでは、天然水ウォーターサーバー事業から浄水型ウォーターサーバー事業に構成が変化していくと、売上の成長は鈍化するが、利益の成長ペースには影響を与えない。
2. 長期契約プランが新規獲得や解約率低下のドライバー
同社では、5年間の長期契約プランを営業提案の主軸に据えて活動しており、その成果は様々な形で顕在化している。このプランは、長期契約することにより、月々の浄水代が安くなり、サーバーレンタル料がかからないというメリットもある。これらの点がユーザーに受け入れられ、2026年3月期の新規獲得顧客の90%(前期は82%)が長期契約プランに加入した。過去には2年契約や3年契約が主体の時期もあったため、保有顧客のなかでは47%であるが、前期の33%からは大きく増加している。また、5年契約が増えると解約率が減少する効果も得られる。2026年3月期には前期比で0.14ポイント解約率が改善された。現在、同社では解約率の開示はしていないが、以前開示されていた時期には1.5%前後で推移しており、改善のインパクトが大きいことがわかる。
■株主還元策
4期連続増配。2027年3月期も増配予想の年120円、配当性向40.7%予想。自社株取得を実施中
同社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題であると認識している。2016年の経営統合から6年後の2022年3月期末に配当を開始し、内部留保や設備投資とのバランスを考慮しつつ、業績連動型の配当実施を基本方針とする。2026年3月期の配当金は上方修正を経て115.0円(中間55.0円、期末60.0円。前期比15.0円増)となり、4期連続で増配を継続してきた。2027年3月期の配当金は、120.0円(中間60.0円、期末60.0円。前期比5.0円増)を予想する。利益成長を背景とした増配とともに、高い配当性向(直近3年間は40%以上)を維持している。また、同社は、2026年5月12日に公表した上限5億円の自己株式の取得を実施中であり、株主還元をさらに充実させる。
2014年3月期に導入された株主優待制度では、毎年3月31日時点の100株以上保有株主を対象とし、5,000円相当のカタログギフト(20品から1品を選択)を贈呈する。さらに、宅配水サービスの契約者には、「ナチュラルミネラルウォーター1セット(2本)」を無料で追加提供する(定期購入の約1ヶ月分に相当)。これは顧客契約者の取り込みにも寄与しており、現在、株主の約2割が宅配水契約者である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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