Pウォーター Research Memo(1):天然水・浄水型で保有顧客が純増し、営業利益で8期連続の増益を達成
■要約
プレミアムウォーターホールディングス<2588>は、ウォーターサーバーを設置した家庭や事業所に自社製造のミネラルウォーターを届ける宅配水業界の大手企業である。2016年に、天然水製造が強みの(株)ウォーターダイレクトと営業力が強みの(株)エフエルシーが経営統合して誕生した。ブランドを「プレミアムウォーター」に統一して再スタートを切って以来、確立された営業組織と販売ノウハウを背景に、着実に成長を続けている。保有顧客数は宅配水業界で首位にある。
1. 2026年3月期の業績概要
2026年3月期の売上収益は80,323百万円(前期比4.5%増)、営業利益12,647百万円(同10.1%増)、税引前当期利益12,037百万円(同32.5%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益8,450百万円(同50.1%増)となり、営業利益で8期連続の増益を達成した。売上収益は、新規契約獲得が堅調に推移し、解約率の抑制ができた結果、保有顧客数が増加し着実に伸長した。2026年3月末の保有顧客数は182万件と、前期末から9万件の純増となった。新規顧客獲得では、同社の強みであるデモンストレーション販売をはじめ、テレマーケティング・Web販売による販売が伸びた。同社が得意としてきた天然水宅配型に加え、浄水型での顧客獲得も好調である。新規の顧客のうち長期契約プラン(5年契約)での契約が9割に達しており、安定した顧客の増加につながっている。最新鋭の岐阜北方工場の稼働率向上による原価低減や自社物流網の活用などに努めた結果、売上総利益率が前期比0.9ポイント増の85.8%に、営業利益率は前期比0.8ポイント増の15.7%と収益性がさらに向上した。
2. 2027年3月期の業績見通し
2027年3月期の連結業績予想は、売上収益で前期比2.7%増の82,500百万円、営業利益は同6.7%増の13,500百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同6.5%増の9,000百万円と、前期に引き続き増収増益を見込む。売上収益は前期比2.7%増と微増にとどまるが、これは、浄水型ウォーターサーバー事業(天然水と比較して顧客単価が低い定額制モデル、利益は天然水と同等)の比率の上昇に起因する。販売チャネルに関しては、電力・ガス・通信などの有力企業との連携、SNSやWebを経由した販売などによる伸びが期待できる。利益面では、自社製造比率の向上や自社物流網の活用により、コストを最適化(削減)する余地があり、容器原材料やエネルギーのコスト増を吸収する見通しである。
3. 成長戦略
浄水型ウォーターサーバーの市場が近年の宅配水・ウォーターサーバー市場で成長性が高い。2025年の数字では、市場規模が274億円であり、これは宅配水市場全体の構成比で約13%に相当する。顧客数では126万台であり、宅配水市場全体の構成比で約21%に相当し、その存在感が増していることがわかる(市場規模及び顧客数の出所:(一社)日本宅配水&サーバー協会)。同社は、2022年に浄水型ウォーターサーバーの市場に参入した。約1,300名が活動する営業現場では、天然水と浄水型のどちらも提案できることで、成約率を高めている。結果として、ウォーターサーバー市場において同社は顧客数182万件とトップレベルの実績を残している(日本流通産業新聞2026年1月8日号より同社算出)。ビジネスモデルは、天然水の配送は伴わないものの、ウォーターサーバーの初期設置やレンタル、フィルター交換などを伴うサブスクリプションに変わりはなく、1件獲得当たりのストック利益は同等レベルである。同社の業績を見るうえでは、天然水ウォーターサーバー事業から浄水型ウォーターサーバー事業に構成が変化していくと、売上の成長は鈍化するが、利益の成長ペースには影響を与えない。
4. 株主還元策
同社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題であると認識している。2016年の経営統合から6年後の2022年3月期末に配当を開始し、内部留保や設備投資とのバランスを考慮しつつ、業績連動型の配当実施を基本方針とする。2026年3月期の配当金は上方修正を経て115.0円(中間55.0円、期末60.0円、前期比15.0円増)となり、4期連続で増配を継続してきた。2027年3月期の配当金は、120.0円(中間60.0円、期末60.0円。前期比5.0円増)を予想する。利益成長を背景とした増配とともに、高い配当性向(直近3年間は40%以上)が魅力である。同社は、2026年5月12日に公表した上限5億円の自己株式の取得を実施中であり、株主還元をさらに充実させる。
■Key Points
・2026年3月期は天然水・浄水型で保有顧客が純増し、営業利益で8期連続の増益を達成
・2027年3月期は営業利益で前期比6.7%増の135億円、増配を予想。自己株式取得を実施中
・成長する浄水型ウォーターサーバー市場でトップレベルの顧客獲得。長期契約プランが新規獲得や解約率低下のドライバー
■会社概要
顧客獲得力を強みに業界首位を独走。保有顧客件数は2026年3月末時点で182万件に到達
1. 会社概要と沿革
同社は、ウォーターサーバーを設置した家庭や事業所に自社製造のミネラルウォーターを届ける宅配水業界の大手企業である。2016年に天然水製造が強みのウォーターダイレクトと営業力が強みのエフエルシーが経営統合して誕生した。ブランドを「プレミアムウォーター」に統一して再スタートを切って以来、確立された営業組織と販売ノウハウを背景に、着実に成長を続けている。
保有顧客数182万件(2026年3月末時点)は宅配水業界で圧倒的な首位である。同社は、オーガニックな成長に加え、積極的なM&A及び資本・業務提携を通じてグループの拡大を図ってきた。具体的には、ラストワンマイル<9252>、INEST<7111>及び(株)DREAMBEERとの提携や、関西電力<9503>や(株)カブ&ピースへのOEM提供、ビックカメラ<3048>グループの(株)ビックライフソリューションからのウォーターサーバー事業承継などにより、顧客基盤と販売チャネルを強化している。2025年3月期より同社を率いるのは、金本彰彦(かねもとあきひこ)社長であり、次なる成長に向けたギアチェンジを行っている。金本氏は、エフエルシー創業期に加わりプロモーション営業力で国内トップクラスに引き上げた実績を持つ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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