ミガロHD Research Memo(5):DX推進事業の先行投資が早期収益化(2)
■ミガロホールディングス<5535>の業績動向
2. セグメント別の事業動向の続き
(2) DX不動産事業
DX不動産事業は、売上高53,247百万円(前期比10.8%増)、セグメント利益4,240百万円(同9.8%増)となった。リソースの最適配分を行った結果、新築投資用物件の販売比率が前期比で大幅に上昇し、全体の売上総利益率改善に寄与した。加えて、販売戸数も堅調に増加したことから、増収増益で着地した。
新築投資用マンションでは販売数が順調に拡大し、引渡戸数は前期比171戸増加した。中古物件については、賃料上昇を背景に販売単価が上昇した。新築物件が増加したことにより、中古の引渡戸数自体は減少したものの、販売価格上昇によって売上総利益は高水準を維持している。賃料上昇局面では投資用不動産の収益性評価が高まりやすく、販売単価改善につながったことが業績に寄与した。一方、居住用物件は郊外物件中心の販売構成となったことで販売単価が低下し、売上高は減少した。また、開発拡大方針を掲げるアパート事業についても需要は引き続き強く、販売価格は高水準で推移した。販売棟数も順調に増加しており、今後の収益拡大に向けた成長領域として着実に事業規模を拡大している。
営業面では、販売件数が前期を上回るなかで営業人員数は109人(前期は94人)と着実に増加しており、人材採用を継続しつつ、そのうえで1人当たり生産性を高める方針である。販売・顧客管理システムの改修や、営業現場におけるDXの促進を通じた仕組み化が成果を上げており、営業マン1人当たりの販売件数が約2割程度伸長している。
不動産市場は強い相場が続いており、仕入れに関しても2027年3月期以降に向けた在庫の積み上げが順調に推移、顧客ニーズに合わせた商品提供により、期を通して好調な販売状況であった。商品別の提供数は、新築マンションブランド「クレイシア」シリーズ等498戸、中古マンション798戸、新築コンパクトマンションブランド「ヴァースクレイシア」シリーズ等118戸、都市型アパートブランド「ソルナクレイシア」シリーズ9棟となった。居住用物件は1都3県を基本に開発数を拡大し、投資用物件は東京23区の都心エリアに特化しながら販売戸数を伸ばす方針である。一方、東京都に隣接する3県の中でも、郊外エリアについては建築費高騰を価格転嫁しづらく、価格吸収力が弱いため、現状では同エリアへの拡大は考えていない。また、ストック収入のベースとなる管理戸数も着実に拡大し、賃貸管理戸数7,272戸、建物管理戸数6,115戸と、ストック収入も着実に増加した。管理物件の入居率は、引き続き極めて高水準で推移しており、99.7%〜99.9%程度で安定している。
同セグメントは、DX不動産会員数に比例して販売数が増えるビジネスモデルであり、DX不動産会員数がストックデータとして拡大することで、同社グループのDX不動産経済圏が拡大する。見込み客となるDX不動産会員数は増加を続けており、2026年3月期末時点で191,153人(前期末比5,820人増)となった。不動産投資型クラウドファンディング「Rimple」や不動産情報サイト「不動産投資Times」など、顧客のニーズに合わせたプラットフォームを展開することで集客を図っている。
3. 財務状況
2026年3月期末の資産合計は、前期末比2,801百万円増の57,307百万円となった。DX不動産事業において、来期以降の販売物件を確保しながらも、販売在庫を適切にコントロールした結果、棚卸資産は1,008百万円減少した。2025年10月の公募増資以降、B/Sの改善を重要テーマとして、在庫回転率を踏まえた在庫水準の適正化を進め、中古在庫の仕入調整などを実施してきた。これらを加味したうえで、新築在庫の確保も順調に進んでおり、従来は土地を取得して開発を行い販売するモデルが基本であったが、足元では他社が開発した完成物件を取得するケースも増えている。一方で、物件引渡しによる資金回収に加え、増資による資本調達も実施したことで、現金及び預金は3,073百万円増加した。これにより財務基盤は一段と強化されている。また、負債合計は同1,282百万円減の41,950百万円となった。これは主に、DX不動産事業における物件開発の進行により買掛金が978百万円増加した一方、物件販売による回収資金で物件調達資金を返済したことにより、短期借入金が1,572百万円、1年内返済予定の長期借入金を含めた長期借入金が1,057百万円それぞれ減少したためだ。
純資産合計は前期末比4,084百万円増の15,357百万円となった。これは主に、配当を実施したことにより利益剰余金が409百万円減少した一方、公募増資及び第三者割当増資により資本金が1,479百万円、資本剰余金が1,461百万円それぞれ増加し、親会社株主に帰属する当期純利益1,434百万円を計上したことにより利益剰余金が増加したためだ。同社は、DX不動産事業における将来の成長に向けた在庫確保と、成長投資資金の確保を両立する資本政策を推進している。自己資本比率は同5.9ポイント上昇の26.3%まで向上しており、財務基盤の安定性が高まったことから、今後は間接金融をさらに積極的に活用する方針である。一方で、自己資本の増加に伴いROEは一時的に低下しているものの、今後は成長投資による利益拡大を通じて資本効率の改善を図る考えであり、現段階は将来成長に向けた財務基盤整備のフェーズと位置付けられると弊社では見ている。
同社は、間接金融を最大限活用しながら、DX不動産事業で獲得した収益資金をDX推進事業へ積極的にアロケーションする財務戦略を掲げている。安定した収益を創出するDX不動産事業を収益の柱と位置付け、そのキャッシュ創出力を活用して高成長が期待されるDX推進事業へ投資を振り向けることで、企業価値向上を図る構造である。DX推進事業は先行投資負担が大きい一方で、高い成長ポテンシャルを有しており、2026年3月期はその投資が早期に収益化へ結びついた。これにより、「安定収益事業」と「高成長事業」を組み合わせた成長モデルが機能しており、中長期的な企業価値拡大の余地は大きいと弊社では考える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)
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