コレックHD Research Memo(6):攻守両立の経営を推進し、企業価値向上を目指す
■コレックホールディングス<6578>の今後の見通し
2. 中長期の成長戦略
同社は2024年4月に中期経営計画「CORREC Innovation 2029」を策定し、2025年2月期から2029年2月期までの5期を対象に、持続的な成長と収益性の向上及び企業価値の最大化を推進している。最終年度となる2029年2月期の定量目標は、売上高12,000百万円、EBITDA1,080百万円、ROE20.0%、DOE5.0%、D/Eレシオ0.5倍、Net Debt/EBITDA1.0倍を掲げている。安定的な財務基盤を維持しながら、高い成長性と資本効率性を両立することにより、定量目標の達成を目指す。各事業の成長戦略は以下のとおりである。
(1) エネルギー事業
エネルギー事業では、短期間で全国展開を進めた営業力、独立系ならではの柔軟な商品提案力、同業界では数少ない上場企業グループとしての信頼性を生かし、競争優位性の再構築と収益基盤の立て直しを推進している。同事業はAoieにおける助成金問題の影響に加え、C-clampの業績低迷も重なり、2026年2月期は売上・利益ともに前期を大きく下回った。こうした状況を受け、同社は性急な販売拡大を急ぐのではなく、組織マネジメントと運営体制を抜本的に見直し、再成長に向けた土台づくりを優先している。
今後は、C-clampとAoieの役割分担を見直し、営業、設計、施工、アフター対応を含む業務プロセスの効率化を進めることで、収益性の改善を図る。従来は販売拡大による成長が中心であったが、今後は販売から施工までを一気通貫で担える体制を強化し、施工領域を主な成長ドライバーとして位置付ける方針である。施工機能の強化は外部委託費の抑制だけでなく、品質管理や納期管理の精度向上にもつながる。販売面での強みを維持しつつ事業運営力を高めることで、顧客接点の拡大と利益率の改善を図る。
また、周辺領域での新規事業の準備も進めている。現時点で詳細は非開示であるものの、既存の住宅関連商材、施工ネットワーク、顧客接点を活用できる領域への展開が予想される。既存事業で培った営業基盤と施工体制を生かせる領域へ事業範囲を広げることで、エネルギー事業における収益機会の再拡大を図る。
一方で、再成長の前提となるのは、ガバナンスと内部管理体制の立て直しである。同社は、グループガバナンスの基本方針を整備し、子会社の営業部門から独立した管理機能の設置、親会社管理部との直接的なレポートラインの構築、経営会議やコンプライアンス・リスクマネジメント委員会の運用強化などを進めている。特に助成金申請業務では、対象子会社における管理部門の新設、申請マニュアルや業務フローの整備、親会社によるダブルチェック体制の導入により、問題再発防止に向け運用を強化している。顧客対応面でも相談窓口の設置や契約内容の確認体制を整え、親会社が運用状況をモニタリングする体制へ移行している。
エネルギー事業の再成長に向けた課題は、販売力の回復だけではなく施工を含むオペレーションの安定化と、グループ全体での管理体制の定着にある。同社は法務・リスク管理体制の拡充と経営監督機能の強化も進めており、攻めの事業展開と守りの管理体制を両立させる段階に入っている。エネルギー事業は一時的に業績が悪化したものの、販売・施工・住宅関連サービスを一体で展開できる体制を整備し、同社グループの成長を支える事業として再び収益貢献を高める考えである。
(2) アウトソーシング事業
アウトソーシング事業においては、個人向け営業に特化したマーケティングノウハウに加え、コールセンター、訪問営業、Web営業といった多様なチャネルを有している点が強みである。今後はこれらのアセットを活用し、ストック型商材の開発・販売を通じて、安定的な収益基盤の構築を進める。既存のライフライン関連商材に加え、新たな分野への商品展開を推進し、商材の多様化と収益機会の拡大を目指す。また、営業活動のデジタル化を推進して属人的な営業手法からの脱却を図り、地域や拠点に依存しない効率的な営業体制の整備を進める。加えて、他社との連携を活用したクロスセル施策の強化により、顧客単価の向上と、持続的な収益拡大に取り組む。
(3) メディアプラットフォーム事業
メディアプラットフォーム事業では、EBITDAマージン35%という高収益体質の維持・向上を中核テーマに掲げている。同事業の競争力の源泉は、100名を超えるディレクター・ライターによるトレンド対応力と、10ジャンル・45サイトからなる多様なメディアポートフォリオにある。今後は、未開拓分野の新規立ち上げやM&Aによるメディアの取得などを通じて、収益源の拡大とリスク分散を図り、不採算メディアと成長が見込まれる新規メディアを機動的に入れ替え、収益性の高いメディアポートフォリオを構築する。また、広告代理店を介さない「直接取引」モデルを推進し、収益性のさらなる改善を目指す。そして、同社グループが展開している商品やサービスのマーケティングを支援するメディアの構築にも取り組み、グループ全体としての販促力強化を図る。これらの施策を通じ、同事業はグループの持続的な成長を支えるキャッシュカウとしての役割を、より確実にするねらいである。
投資戦略については、財務レバレッジを活用して年間最低1件のM&Aの実行を目標に掲げており、足元では特にエネルギー事業の施工分野に関連する案件を重点的に検討している。同社はデューデリジェンス体制から統合後のPMI(M&Aの効果を最大化する経営統合の取り組み)までを担う体制を整備しており、M&Aの効果を最大化する方針である。資金面では2026年3月にりそな銀行と借入極度額10億円のコミットメントライン契約を締結し、機動的な資金調達枠を確保した。これにより効率的な運用が可能となり、成長投資を継続しやすい環境が整った。今後は、施工機能の強化やサービス領域の拡張に資する案件を、シナジーの見極めとともに着実に進められるかが焦点となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)
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