ウェルネス:8期連続最高益、配当4%超の株価2倍高候補、健康データAI活用に期待
同社は、企業や健康保険組合向けに健診予約等の代行や健診データやそれ以外の健康データを健康管理クラウドにより収集・活用することで、企業の従業員の健康管理から健康経営の推進までワンストップで解決、高度化するデータソリューションおよびウェルビーイング支援企業である。足許では事業は主に「健診ソリューション事業(プロダクト名:「i-Wellness」)」と「健康管理クラウド事業(プロダクト名:「Growbase」)」の2セグメントで構成されている。「i-Wellness」は受診予約・精算代行・結果のデータベース化まで一括提供するプラットフォームであり、受診者本人だけでなく家族(扶養者)にもサービスを提供している。「Growbase」は、大企業の人事部や健康保険組合を対象に、健康管理計画の策定から法令対応(労働安全衛生法に基づく報告など)までをクラウド上で完結させる。これにより、企業は健診データや勤怠情報、ストレスチェック結果などを一元管理し、産業医面談記録やアンケート調査(サーベイ)データも統合できる。両事業を組み合わせることで、健康経営に必要なデータ収集・分析・施策実行を包括的に支援する独自のビジネスモデルを構築している。
同社の強みは企業の人事部・健康保険組合を主対象とし、大企業向けに健診ソリューションと健康管理クラウドを組み合わせたワンストップサービスを提供できる点にある。全国2,200件超の医療機関ネットワークを基盤に、健診予約から結果の統一判定によるデータ化・構造化までを迅速・高精度に実施するノウハウを有し、健診ソリューションのストック売上比率は約80%、解約率は0.2%と低い。また前述の健康管理クラウド「Growbase」では、20年以上にわたり大企業向けクラウドサービスを提供し、法令改正や顧客ニーズに即応する機能追加(直近6年で1,500超)を重ねてきた。こちらも契約継続率は99.8%と非常に高く、カスタマーサクセス部門によるハイタッチなサポートや情報セキュリティ対応も評価が高い。大企業市場では、健康管理クラウド分野において大手SIベンダーがオンプレ型を中心に展開し、健診ソリューション分野ではBPOや福利厚生提供企業も存在する中、同社はコーポレート・ウェルネス専業として健診結果の一元化を実現。一般的に紙で返却される健診結果を統一様式に整え、素早く健康管理に活用できる状態にする独自技術と体制を持つ。高い要求水準が求められる大企業に対してもほぼノーカスタマイズで導入可能な設計と、健康管理の知見を活かした充実のサポート体制が、同社の高い競争優位性を支えている。
2026年3月期は、売上高が14,778百万円(前年同期比5.1%増)、営業利益が1,186百万円(同6.9%増)と9期連続の増収増益、8期連続の過去最高益を達成した。「あしたのチーム」子会社化にともなうM&A案件のデューデリジェンス費用等を除いた場合、営業利益(調整後)は11.1%増の1,242百万円となり、期初計画を超過している。主要2事業の順調な成長に加え、過年度より注力してきた健診ソリューション事業におけるDX推進による生産性向上取り組み効果が顕在化している。主要事業である健康管理クラウド事業、健診ソリューション事業はいずれも増収増益で着地。健康管理クラウド事業は売上高で前期比23.7%増の1,523百万円、営業利益で同6.3%増の767百万円、健診ソリューション事業は売上高で同3.8%増の13,018百万円、営業利益で同29.6%増の379百万円となっている。健康管理クラウド事業は、契約企業グループ数が前期比+30の262企業グループとなった。新規導入顧客数の増加に加え、既存顧客におけるID数の増加もあり、ID数は前期比で約9.2万ID増、計180万IDを突破している。チャーンレートも0.2%と低位安定。結果、ARRも前期比で約7%増の1,223百万円と順調に拡大した。健診ソリューション事業は、契約企業グループ数が前期比+10の226企業グループ、サービス利用者数が前期比+0.94万人の39.8万人となった。2027年3月期は、売上高で前期比18.4%増の17,500百万円、営業利益で同34.9%増の1,600百万円が予想されている。Growbaseの価格改定、主要事業のオーガニック成長、あしたのチームとのグループ経営等を加速する方針だ。
市場環境は、人的資本経営や健康経営推進の潮流により拡大基調にある。同社が属するヘルスケア市場は企業の法令遵守義務(50人以上の事業場における年1回の健診実施義務)に支えられる安定的需要に加え、健康管理データの戦略的活用ニーズが高まっている。国内市場では大企業による買収や業界再編の動きも活発化しており、スピード感のある事業展開が競争力維持の鍵となる。競合は、大手SIベンダーによるオンプレ型システム提供やBPO・福利厚生企業などが中心だが、同社のように健診結果データの統合・構造化からクラウド管理、施策実行支援までを一貫提供する事業者は限定的である。このため、データ処理技術と顧客密着型のサポート力を併せ持つ同社のポジションは堅固であり、中長期的なシェア拡大が見込まれる。
今後の見通しとしては、まず大企業市場でのアップセル戦略を加速させ、顧客企業内でのウォレットシェア拡大を図る。健診結果や勤怠データ、メンタルヘルス情報、産業医面談記録などを統合管理するGrowbaseに新機能を追加し、高付加価値サービスの提供による単価向上の浸透も継続する。さらに、メンタルヘルス支援、eラーニング、組織分析、産業医・保健師の紹介によるカウンセリング、健康相談といった周辺領域への進出も計画している。中長期的には、営業利益成長率15%を維持しつつ、価格改定の効果や新規事業拡大により20〜30%の成長を目指す考えであり、非連続的な成長投資も継続する。
これらの成長戦略を支える経営陣も強化した。2026年4月にグループ管理や非連続成長を支えるCFOや事業開発管掌役員を外部から招聘し、あわせて事業管掌役員や事業オーナー制を敷くことで、事業のオーナーシップ・コミットメントを引き出す体制に移行をした。
株主還元については、累進配当が打ち出された。2027年3月期の一株当たり配当は前期(2026年3月期)の34.4円から5.6円増の40.0円が予想されており、配当利回りは4%に達する。グロースによるキャピタルゲインを取り込みつつ、インカムゲインも狙える企業として注目しておきたい。
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