ハッチ・ワーク:株価は3倍高へ、月極駐車場のプラットフォーム力をさらに強化
1. 2025年12月期の業績概要
2025年12月期の業績は、売上高2,759百万円(前期比16.5%増)、営業利益242百万円(同32.1%増)、経常利益260百万円(同67.9%増)、当期純利益246百万円(同88.6%増)と着実な増収増益を確保。期初計画に対して全項目で好調に推移し、2025年11月に公表した上方修正値も当期純利益を除き、売上高から経常利益に至る各段階において、予想をさらに上回る好着地となった。管理会社向けの月極駐車場オンライン管理支援サービス「アットパーキングクラウド」の契約社数は引き続き拡大し、「アットパーキングクラウド」登録台数(月極駐車場区画数。以下、「APクラウド登録台数」)は2025年12月末で47.3万台(同26%増)と高い伸びを確保した。その結果、月極イノベーション事業の売上高は1,760百万円(同25.2%増)、ARR※も1,471百万円(同39.3%増)と引き続き高い成長を堅持した。ビルディングイノベーション事業の売上高は、2025年10月に五反田で貸会議室を新規出店したことなどにより989百万円(同3.4%増)と堅調に推移した。損益面においては、新規出店に伴う費用や地代家賃等の増加によりビルディングイノベーション事業のセグメント利益が216百万円(同17.4%減)となった反面、月極イノベーション事業のセグメント利益が512百万円(同39.7%増)と大きく伸長し全社業績を牽引した。
※ ARR:Annual Recurring Revenueの略称。各期末月のMRR(Monthly Recurring Revenue)を12倍して算出。
2. 2026年12月期業績見通し
2026年12月期の業績は、売上高3,385百万円(前期比22.7%増)、営業利益204百万円(同15.6%減)、経常利益200百万円(同23.0%減)、当期純利益216百万円(同12.2%減)と、本社の移転拡張に加え、各事業での戦略的投資が重なることで、大幅増収ながら減益を見込む。本社の移転拡張コスト(47百万円)を除けば、戦略的投資を織り込んでも前期に近い利益水準である。これまで市況を睨みつつ慎重に運営をしていたビルディングイノベーション事業の再始動となる期であるが、最大のポイントはやはり主力の月極イノベーション事業の一段の強化(=「時価総額100億円の早期達成」に必要な高成長エンジンとしてのポテンシャル強化)に置かれていると弊社では理解している。実際、月極イノベーション事業に関するAI導入への先行投資や営業体制の強化(112百万円)を進めることが最大の費用投下項目として計画されている。
3. 中長期の成長戦略
中長期の成長戦略としてはビルディングイノベーション事業の安定的な運営と利益獲得をベースに、「アットパーキングクラウド」を成長エンジンとして、月極イノベーション事業の成長を加速する。成長戦略を3段階に設定し、APクラウド登録台数の拡大、データの収集と活用、「ファーストワンマイルステーション構想」の実現へとステップアップする。月極駐車場の市場規模は、国内自動車保有台数6,205万台超の50%弱と推定され、現在のAPクラウド登録台数47.3万台と比較すると開拓余地は相当に大きい。競合他社も増えているため、同社はAPクラウド登録台数の拡大を最優先課題としている。月極駐車場を管理することで収集される利用者・駐車場などの属性データを活用した取り組みも積極的に進めており、リアルタイムの満空情報を活用した空き区画の短期契約サービス「アットパーキングウィークリー」、カーサポートサービス、カーシェアリング拠点の提供など、月極駐車場を再定義した新たな市場を次々と創造している。また、2025年2月には神戸市と「アットパーキングクラウド」駐車場の「災害ステーション」としての利活用に関する協定を締結した。2026年1月には早くも松山市と新たに協定を締結しており、連携の枠組み拡大を続ける。2030年度までに売上高65~70億円、営業利益10億円、時価総額150億円超、配当の開始、2031年度以降で第3の柱も含めて売上高100億円超、営業利益20億円超、時価総額250億円が目標として掲げられた。
4株価
厳密な意味で同社に類似した上場企業はないが、駐車場運営に関わる企業群や、時価総額100億円以下のプラットフォーマーなどと参考までに比較する。駐車場運営に関わる企業群としては、日本駐車場開発<2353>、アズーム<3496>、パーク24<4666>、パラカ<4809>などが挙げられる。負債先行のビジネスモデルでないこと、利益成長率、資本効率の観点を加味すると、アズームが同社に近しいと言える。また、時価総額100億円以下のプラットフォーマーという観点では、不動産に絡むことと利益成長率の観点から、ツクルバ<2978>などは比較対象となり得るだろう。アズーム、ツクルバと同社とは高いROE、高い利益率でも共通項がある。アズームのPERは25倍、ツクルバは同20~25倍であり、マーケット平均と比較しても高い評価を得ている。同社の今期は投資の時期となるが、足もとまでも含めて、売上高の成長、売上高総利益の確保は確認できている。2030年度の目標においてPER15倍となれば、グロース市場の1つの目標となる時価総額100億円が視野に入る。成長スピードが維持されていれば、さらに上が見えてくる。新たな中長期の目標は、後者を視野に入れたものであろう。利益成長はもちろん、PERの切り上がりが確認できるかにも注目しておきたい。
■Key Points
・2025年12月期は上方修正値も当期純利益を除き超過達成する好決算
・2026年12月期は本社移転に加え、各事業で戦略的投資を実施
・「災害ステーション」の全国拡充など、「ファーストワンマイルステーション構想」確立
<YS>
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