ローランド Research Memo(1):価格戦略とプロダクトミックス改善で関税影響を吸収、市場は再成長フェーズへ
ローランド<7944>は、電子楽器メーカーとして幅広い製品・サービスを提供している。主な事業内容は電子楽器の製造販売であり、主な製品には鍵盤楽器・管打楽器・ギター関連機器・クリエーション関連機器&サービス・映像音響機器がある。
1. 2025年12月期の業績概要
2025年12月期の連結業績は、売上高で前期比1.5%増の100,952百万円、営業利益で同5.4%減の9,412百万円、経常利益で同7.3%増の9,022百万円、親会社株主に帰属する当期純利益でアコースティックドラム子会社Drum Workshop, Inc.(以下、DW社)にかかる減損損失の計上等により同63.7%減の2,168百万円となった。主要市場である米国における年末商戦の好調な推移や当期に投入された新製品群の寄与により、売上高は会社予想レンジの上限水準、営業利益は同レンジの中間水準での着地となった。特に注目されるのは、米国の追加関税の影響を価格調整やプロダクトミックス改善によりほぼ吸収した点である。関税による約25億円のマイナス要因に対し、コストダウンやプロダクトミックス改善による約29億円のプラス効果が寄与し、損益面では概ねオフセットする形となった。販売数量を大きく落とすことなく単価引き上げを実現できたことは、同社ブランドの市場におけるプレゼンスの強さを示すものであり、ディーラー及び及び消費者双方から価格改定が比較的スムーズに受け入れられた点も評価できる。2025年12月期は、市場環境の底打ちと新製品効果により回復基調が確認された一年であり、今後も機動的な製品戦略と地域別販売体制が持続的成長のカギを握ると弊社では見ている。
2. 2026年12月期の業績見通し
2026年12月期の連結業績は、売上高で前期比5.4%増の106,400百万円、営業利益で同6.2%増の10,000百万円、経常利益で同6.4%増の9,600百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同232.1%増の7,200百万円を見込んでいる。楽器市場が回復局面へ移行することを前提に、前期及び2026年12月期投入の新製品群の寄与や価格適正化効果により成長を見込んでいる。追加関税の影響は一定程度想定しているものの、販売数量の増加や価格施策により吸収する。製品別では鍵盤楽器、管打楽器、ギター関連機器など全カテゴリーで増収を予想しており、電子ドラムの新製品が引き続き成長をけん引する見通しだ。地域別でも全地域で増収を見込んでおり、北米では価格適正化効果や管打楽器の拡販が寄与するほか、新興国市場の拡大も成長ドライバーとなる見込みである。一方で、2026年12月期は中期経営計画に沿った成長投資を本格化させる年でもある。販管費は前期比で約18億円増加する見通しであり、その約半分は直営店等の「Roland Retail」の拡大やソフトウェア開発を中心とした研究開発投資などの成長投資によるものである。人材投資の拡大も含めた組織基盤の強化を通じて、中長期的な成長に向けた体制整備を進める方針であり、市場回復を追い風に各地域の需要特性に応じた戦略展開が収益拡大のカギとなると弊社では見ている。
3. 中期経営計画
同社は、2026年2月に中期経営計画(2026年12月期~2028年12月期)を公表した。電子楽器の需要創造と体験価値(CX)向上への集中投資を通じて、持続的成長が可能な高収益企業へのトランスフォーメーションを推進する。また、前中期経営計画で進めてきたデータ利活用や経営基盤整備などの投資成果を具現化し、成長へ結び付ける段階に入る。同社を取り巻く事業機会としては、膨大な潜在顧客層の存在、Technologyの進化、電子楽器化の拡大、新興国需要の拡大が挙げられる。これらの機会を取り込むため、3つの重点戦略であるDirect Connect、Innovation、新興国販売拡大を推進する。この戦略成果として、業界を上回る売上成長、利益率向上、体験価値提供企業への進化を目指す。2028年12月期の売上高1,200億円、営業利益144億円、親会社株主に帰属する当期純利益102億円、ROIC18%以上、ROE20%以上を業績目標として掲げており、前中期経営計画で構築した基盤を生かし、攻めの経営へと舵を切る姿勢が明確化されている。成長と収益性の両立による中長期的な業績飛躍が期待できると弊社では見ている。
■Key Points
・2025年12月期は米国追加関税の影響を価格調整やミックス改善で吸収
・2026年12月期は市況回復と新製品群の寄与による販売数量増、価格適正化により増収増益を見込む
・中期経営計画(2026年12月期~2028年12月期)では、2028年12月期に売上高1,200億円、営業利益144億円、ROE20%以上などを目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)
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