NSグループ Research Memo(2):家賃債務保証事業を展開、審査から回収までの一貫体制で賃貸インフラを支える
1. 会社概要
NSグループ<471a>は、住居用及び事業用の賃貸不動産市場において家賃債務保証を中核事業とする企業グループである。中核子会社である日本セーフティーが入居者の連帯保証人となり、賃料や管理費などの支払いを保証するサービスを全国で展開している。主な顧客は不動産仲介会社、不動産管理会社、賃貸人であり、入居者に対しては保証機能を提供する立場を取る。賃貸借契約の際に保証委託契約を締結し、入居者から新規保証料及び更新保証料を受領するビジネスモデルである。
家賃債務保証サービスでは、入居者が賃料を滞納した場合に同社が賃貸人へ代位弁済を行い、その後入居者に対して求償を行う。賃貸人は賃料収入の安定化を図ることができ、入居者は連帯保証人を立てる負担を軽減することができる。少子高齢化、単身世帯の増加、保証人を確保しにくい社会環境の変化などを背景として、家賃債務保証の利用は拡大しており、同社は長年にわたり積み上げた審査ノウハウと回収体制を基盤に事業を拡大してきた。
同社は保証サービスに加え、集金代行サービスも展開している。金融機関と提携し、家賃等の収納業務を不動産会社や賃貸人に代わって実施する体制を整えている。入居者から預かった家賃や管理料などを指定口座へ正確に送金する仕組みを構築しており、賃貸管理業務の効率化に貢献している。特に、家賃と管理料などを分けて異なる送金先へ直接送金できる分別送金サービスは、実務ニーズに即した機能として差別化要素となっている。
同社の強みは、全国規模の営業ネットワークと不動産会社との強固な取引基盤にある。長年の取引実績に基づく信用力に加え、審査、代位弁済、回収までを一気通貫で行うオペレーション体制を有している点も競争力の源泉である。入居者対応や督促業務においても専門部署を設け、きめ細かな運営を行っている。家賃保証を軸に、賃貸市場におけるリスク補完機能を担うインフラ的な存在として事業を展開している。
2. 沿革
同社の実質的な事業の出発点は、1997年2月25日に設立された日本セーフティー(以下、旧 日本セーフティー)である。創業者は岩本祐司(いわもとゆうじ)氏であり、大谷彰宏(おおたにあきひろ)氏の出資を受けて大阪府大阪市にて設立された。創業当初から家賃債務保証事業を手掛け、入居者の連帯保証人となって家賃や原状回復費用の支払いを保証するビジネスモデルを確立した。当時は賃貸契約に連帯保証人が求められるケースが多く、保証人確保が入居の障壁となっていた。旧 日本セーフティーはこの課題に応え、賃借人の利便性向上と賃貸人の安定収入確保を両立する仕組みを提供し、事業基盤を築いた。
2000年代以降は商品・サービスの拡充と業務基盤の高度化に注力した。2009年にダウンロード契約書を導入し、業界に先駆けて手続きの効率化を進めた。2015年には家賃債務保証サービスを統括管理する自社開発の基幹システム「SIONS」をリリースし、審査や債権管理の高度化を推進した。2018年には顧客の操作性を高めた「N-pallet」を投入し、2019年には事業用分野の拡大を目的として「Nテナント」を発売した。取扱店登録数も拡大を続け、2023年6月には60,000店を突破し、2025年12月末時点には66,667店となった。2025年4月にはDataRobot Japan(株)のAIを導入した高精度な審査モデルの運用を開始し、審査精度と業務効率の向上を図っている。
資本構成の面で大きな転機となったのが、2021年のBain Capital Private Equity, LP及びそのグループ会社(以下、総称してベインキャピタルグループ)との提携である。2021年8月、ベインキャピタルグループが投資助言を行うファンドにより(株)BCJ-53及び(株)BCJ-54が設立された。同年12月、BCJ-54は旧 日本セーフティー及び大谷氏の資産管理会社である(株)BVアセットの全株式を取得し、事業承継を実行した。同買収はLBOローンを活用して行われ、有利子負債は当初32,000百万円であった。その後、2023年11月にリファイナンスを実施して返済を進めた結果、2025年12月末時点の残高は25,868百万円となっている。なお、買収に伴い36,039百万円ののれんが発生した。
2022年1月には、BVアセットが旧 日本セーフティーを吸収合併し、商号を日本セーフティーへ変更した。2023年には管理部門を持株会社側へ移管し、グループ経営体制を整備した。同年10月、BCJ-54はNSグループ(以後、旧 NSグループ)へ商号変更し、持株会社体制となった。一方で、BCJ-53は当初から持株会社として位置付けられており、2025年10月に旧 NSグループを吸収合併すると同時に、商号をNSグループへ変更した。これにより持株会社機能と事業会社を統合した現在の体制が確立された。
同社は1997年の創業以来、家賃債務保証事業に特化して事業基盤とシステム基盤を磨き、2021年以降はベインキャピタルグループの支援の下で資本構造を再編し、ガバナンスと財務基盤を強化した。2025年12月には東京証券取引所プライム市場へ株式上場を果たし、上場企業としてさらなる成長を目指す段階に入っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)
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